初恋
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2018年発売の、宇多田ヒカル7枚目のオリジナルアルバム。
ヒカルの音楽はもう、20年くらいずっと聴いている。
2010年からの活動休止期間も、どこかで何かを聴いていた。
「初恋」というタイトルを聞いて浮かぶのは、やはり「FirstLove」。
あの頃は、ヒカルの一挙手一投足にメディアが取り上げ、日に日に過熱していた。
私は当時中学生で、「アメリカ生まれのインターナショナルスクール通いでバイリンガル」「藤圭子の娘」と言われてもあまりぴんとこなかった。
彼女は歌手なのだから、曲を聴いて、いいなと思えばそれでいいじゃん。
そんな風に思っていた。
この「初恋」は、広く言えば、「誰かへの思慕や憧れ、懐かしさ」を歌った曲が多い。
それら全部をひっくるめると、初恋の時に抱いた感情なのではないかと思えてくる。
01 Play A Love Song
サントリーのCMで初めて聴いた。
突き抜けたように歌っているが、ポップな曲調も忘れていない。
間奏で入る音が、ディズニーランドのパレードの音楽を思い出させる。
02 あなた
このアルバムの中で、歌詞が一番好きな曲。
情景的で、刹那的で、でも力強くて。
「あなた」は今目の前にいる人のことでもいいし、もう二度と会えない人のことを思ってもいいと思う。
03 初恋
最初はドラムが入っていて、しっくりこなくて全て抜いたと知り、「脱皮した曲だな」と思う。
とても繊細なんだけれど、思いは強く、激しく。
音楽業界の人はこの曲を「素晴らしい!」と称えているけれど、私はまだその境地まで行けていない。
04 誓い
最初聴いた時、「なんだこのずれたリズムは」と驚いた。
でも進んでいくうちに、ずれが合ってくるというすごさ。
1曲の中で感情の上下が激しい曲なので、歌うのはヒカルの曲の中でも特に大変そうと思う。
05 Forevermore
MVの影響もあるのか、一人で歌うのよりも隣で誰かがいてくれる(踊る、佇む、歩くなど)ほうが、曲が引き立つと感じる。
サビでキーがどんと上がるので、その上がりとともにリズムをしっかりつかむ必要あり。
06 Too Proud featuring Jevon
ラップが入り、これまでの5曲と様相を変える。
「小休止」みたいな位置にあるのかなと思うけれど、歌詞を見ると主張が強く、「まだまだここから!」という意気込みも感じる。
07 Good Night
歌詞がとても数少なく、静かな曲。
寂しい気持ちにもなるし、励まされるような気持にもなる、不思議さがある。
ヒカルにとっては、新境地ではないかなと思う。
08 パクチーの唄
「ぼくはくま」のような曲、と書けばそれまでなんだけれど、こっちのほうが深く、考えさせられる。
パクチーを通して、人間関係を問うている。
切ない歌い方も、余計にそう感じさせるのかも。
09 残り香
この曲も、今までのヒカルにはないタイプと思う。
「肩を探す」というのは、相手に寄り掛かろうとしても寄り掛かれないことを指しているのか?
実体験を踏まえての曲のような気もする。
10 大空で抱きしめて
サントリーのCMで初めて聴き、「ずいぶん明るい曲を作ったな」というのが第一印象。
でも聴き込むと、切なさや寂しさも歌っていると気付く。
大空「を」でなく、大空「で」抱きしめるというのが、遠くへ行きたい気持ちの表れかなと思った。
11 夕凪
このアルバムの中で、理解するのが一番難しい曲。
すごく寂しい曲調だし、間に入る「ゼイヤーゼイヤー」が、最初聴いて「えええ?」と思った。
前の曲で空へ行こうとして、この曲で海に還ってきた、という流れで聴いてもいいのかな。
12 嫉妬されるべき人生
最後にふさわしい、というか最後でなきゃぴたりとこないだろう曲。
タイトルに受け身の表現を入れるのが、ある意味すごい。
嫉妬、という感情が人の抱くもの前提で書いていることに、今後のヒカルの行く道を想像する。