宮島未奈の作品。
2025年に新潮社から刊行。
「成瀬」シリーズの第3弾だ。
「小説新潮」に掲載されていた話と、書き下ろしが入っている。
全部で6つの話。
どれもよくて、毎回のごとく「成瀬ー!」と叫びたくなるが、一番よかったのは「親愛なるあなたへ」。
第1作に出てきた広島の同学年の男・西浦との話である。
西浦は第2作では出てこなかったので、今作で出ると知り、「2人はどうなるの」と気になっていた。
成瀬の1日を追うことができる話でもあり、最後は微笑ましいやり取りもあって、これからが楽しみになる。
成瀬は本当に、活動的だ。
人と関わって、1位とか優勝とか取って脚光を浴びるけれど、周りの人のことも明るくする。
名前の「あかり」をここまで意識したのは、本作が一番強い。
成瀬の母目線で描かれる「そういう子なので」も、「そうだったんだ」と気づかされることが多かった。
第1作で亡くなった祖母(母の母)のことも出てきて、「そうだったなあ、あの時」と思い出す。
成瀬の叔母も出てきて、成瀬一家のことがよくわかる話だった。
本作で、「成瀬」シリーズは完結ということになっている。
でも私は、成瀬をもっと読みたいと思う。
たとえばこの先、就職活動はするのか、それとも大学院へ行って研究を続けるのか。
就職したら、どんな仕事をするのか。
興味は尽きない。
「成瀬が帰ってきた!」という日を待ちつつ、このシリーズがますます多くの人に届くことを願う。