ま、今日も気ままにいきましょ。

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本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

吉田修一の作品。

 

角川書店から、2024年に刊行。

 

産経新聞に2024年4月から9月に連載していたものに、加筆修正した。

 

吉田の作品を読むのは久しぶり。

 

『国宝』を読むことも考えたが、「最近の本を読もう」と思い、本作を選んだ。

 

タイトルになっている「一万年愛す」は、宝石の名前だ。

 

長崎・九十九島を舞台に探偵・遠刈田が、ある老人の謎に迫る。

 

老人は家族が集まった場で翌日に行方不明になるが、その理由は?

 

自室に残されていた3本の映画の意味は?

 

歴史をさかのぼり、戦争孤児のことが後半かなり出てくる。

 

それに加えて、人間の冷凍保存。

 

SFっぽいなあと思った。

 

最後は、吉田自身が文中に登場する。

 

文章は読みやすく展開も様々なので、どんどん読める。

 

読み終えると、「一万年愛す」の意味をぐっと感じる。

原田ひ香の作品。

 

2023年にポプラ社から刊行。

 

5つの話が収録された、連作中編である。

 

夜のみ開館し、作家の蔵書を集めるという、少し変わった図書館が舞台。

 

そこで働く人々のことを中心に描く。

 

働く人は、書店員だったり、古本屋を経営していたり、図書館員だったり、様々な事情を抱えている。

 

でもみんな、どちらかというと本が好き。

 

ある有名な作家の蔵書を取りに行くところは、みんなで一緒にというのが伝わり、生前の作家の様子も垣間見えて面白かった。

 

図書館は、「事件」をきっかけにしばらくの間休む。

 

明かされることのなかった、オーナーの正体も明らかになる。

 

タイトルは、小説の中に出てくる料理をまかないとして再現し、カフェで出しているところから。

 

このお料理が、どれもとても美味しそう。

 

続編が読みたいな、と思わせる1作だった。

松たか子のエッセイ集。

 

2003年に朝日新聞社から刊行。

 

写真も松が撮っている。

 

松のことは演者としても、歌い手としても好きだ。

 

ドラマ、映画はもちろん色々見ているし、ライブにも行ったことがある。

 

ふと、「本は何かないのか」と思い、本作を手にした。

 

2001年から2003年にかけて雑誌『person』に掲載されていたエッセイをまとめている。

 

演じること、犬のこと、撮影や舞台で一緒に仕事をしている人のこと、自分の周りのことを思うがままに書いている。

 

2001年というと相当前のことに感じるが、松はこの頃も、ドラマや舞台に活躍していた。

 

舞台はあまり見ていないが、本書では「ラ・マンチャの男」や「セツアンの善人」「嵐が丘」「オイル」といくつも出てくる。

 

印象が変わらないからかもしれないが、そのキャリアの長さと多様さに驚く。

 

初のコンサートツアーの様子も出てくる。

 

後に夫となるギタリスト・佐橋佳幸も写真に出ていて、佐橋ファンでもある私は「佐橋さん!」と嬉しかった。

 

今の松が、このエッセイ集を見返したらどんなことを思うのだろう。

 

これからもより一層の活躍を期待したい。