前回までのあらすじ
ついに始まったジャジメントグループ内部での戦い。
日本支部社長の神条紫杏の秘書 カイとの決闘を申し込んだのは
アストルティア支部社長のてるきよである。
カイ「また一撃で終わらせてあげましょう」
てるきよ「……こい」
まるで移動速度120%の足装備でもつけてるんじゃないかと疑いたくなる速さでカイはてるきよに肉薄し、そのまま勢いののった拳を叩き込まんとしてきた。
てるきよ「速い! 大神の劣等と言われるジャジメントのサイボーグ技術もここまでのものだったのか」
だが、しかし
てるきよ「魔法の迷宮で俺は貴様より速いメタルスライムさんと戦い続けてきたんだ!」
カイの拳はがっちりとてるきよの手につかまれた。
ミス! ダメージを与えられない。
てるきよ「次はこちらの番だ」
てるきよの特権能力は協力なものだ。
それは武器鍛冶職人と戦闘特技の合成。
てるきよ「みだれうち+メラゾーマ! 言ってしまえばメラゾストーム!」
あの虹のむこうまで届け!
ただでさえも強力な呪文メラゾーマをみだれうちと合成することで
4連発同時発動が可能なのだ。
すさまじい轟音が鼓膜を揺らし、草木の焦げる臭いが鼻孔を刺激する。
てるきよ「煙が目にしみるぜ……いや、これは圧倒的な勝利に嬉々とした俺の純粋な涙か?」
紫杏「ばかみたいなことを言ってないで前を見ろ」
てるきよ「!!」
なぜか無傷のカイが目前まで迫っているという光景に、てるきよは固まっていた。
カイ「第4世代のサイボーグは呪文を受け付けません。支部長のくせにそんなことも知らなかったのですね」
てるきよ「はあ? 知ってるしぃただちょっと忘れてただけだしー、あと3日寝てないしー」
言い終わった頃にはカイの回し蹴りを顔面にくらっていた。
10メートルほど吹っ飛ばされ、背中から地面に落下した為、肺から空気がドバってなってなんかもうダメージがすごかった。
さらに、その落下地点。
てるきよ「……クモ?」
小さなメカっぽいクモがうじゃうじゃとうごめいている。
とても数えきれない。
カイ「そろそろ終わりにしましょうか」
そう言って、彼女は目を閉じた。
なにかがくるのは歴然だが、てるきよはダメージのせいで動けない。
そして、
地を穿つクモ達が、一斉に爆発した。
確実に死んだと、てるきよは悟る。
だがなぜか爆発の中心点にいたにも関わらず一切のダメージをおっていないのだ。
紫杏「少しやりすぎだカイ。もしもの時のために呼んでおいてよかった」
ホンフー「ドゥームチェンジ・デイライト。光の屈折で最期の爆弾の設置時にカイとてるきよにはいわゆる幻を見てもらいましたよ」
完全に命拾いしたてるきよだが、そんな彼に紫杏は近寄っていく。
カイ「危険です社長。隙をついて攻撃を受ける可能性が……」
ホンフー「その時は私が彼を殺しますよ」
笑顔で言うホンフーに、カイはもう何も言わなかった。
紫杏はいまだに地面で仰向けに倒れるてるきよへと手を差し出した。
紫杏「いい戦いだった。君はこれから強くなるだろう」
てるきよ「天使様でしたか」
それから1年ほどが経過し、現在に至る。
紫杏に好意をよせすぎたためか、てるきよは今。
紫杏の下着を盗んだ犯人の容疑者として、裁判を受けていた。
君にこいつが押せるかな?