都市計画、まちづくりの専門家として数々の再開発事業、区画整理事業等にも取り組んで来られた村山和彦さん(習志野市鷺沼在住)に編集部からお願いして送っていただいた投稿です。

 

村山先生は、早稲田大等で教鞭をとり、都市計画、まちづくりの専門家として豊富な実績をお持ちです。現在進められている鷺沼土地区画整理事業。うまく行くことを願っておられます。

 

 

私は小学校を卒業していません。6年続いた国民学校の最初の入学生で最後の卒業生です。鷺沼に同級生が、野郎っ子が13人、アマッ子が2人(男児女児の津田沼弁)居ます。今顔を見るのは私を入れて4人。多くが農家です。

組合施行の都市計画事業を25組合清算まで代行した経験から、同級生、その家族、遺族が安寧な生活ができることを願っています。

 

現役で活躍したのは50年前で、今は法律の運用が事業遂行上便利になっています。法律は多数決になっていますが、50年前は全員一致を認可権者の行政が求めました。今は多数が賛成なら実行と、法にクソ忠実に運用されています。運用は変わっても原則は変わりません。原則をお話しします。

組合施行区画整理事業は完全な民間事業です。好きで営業している、魚屋さん、バー、美容院と同じ、完全自己責任の民間事業です。違うところは都市計画に協力する部分に公金が入りますから、理事は準公務員とされて贈収賄の対象になります。

 

事業を単純化して説明すると、減歩(げんぶ)した土地で工事費を支払う事業です。事業が始まると土地を組合に渡します。事業中は勝手に売買や事業に使うことができません。工事をします。工事が終わると工事金を支払います。組合は保留地を売るまではお金がないので金融機関から借金をします。工事債権は優先債権ですから、工事金を払わないと組合に土地は戻って来ません。土地が戻って来て初めて保留地を売ることができてお金が手に入ります。普通はこの短い期間ですが、理事が保証人になって借金王になります。

 

保留地処分金が入って借金を返して清算です。組合は清算解散できます。清算の責任者は理事と決まっています。無事に清算・解散した後は、事業中の背任とか違法行為以外は追及されません。綺麗さっぱり、めでたしめでたしです。

 

上手くいかなくて、同級生の子孫が困ることを心配しています。細かいことを言わずに算数で考えると工事費が倍になったら4割減部が倍の8割減歩になります。工事が終わっているので減歩を増やすことができないのでその分、賦課金(精算金)として組合員から徴収することになります。お金がないときは物納の形になるでしょう。工事費だけではなく、マンションの販売価格が半分になっても同じことが起きます。複合することもあるでしょう。勿論工事費が上がった分売値も上がればトントンです。代行契約者は、文字通り組合の事務手続き業務を代行するのであって、事業内容を保証するものではありません。

保留地を売っても借金が返せない状態になると、保証人が返済することになります。

 

私がてがけて事業途中で定年になった、岡山県津山市の事業は、事実上100%減歩になりました。退職してからも裁判の傍聴に行きました。理事長が代表して借金の保証人になったので、老舗の呉服屋も、個人も破産して自宅を競売にかけることになりました。法律で決まった生活費だけを受け取って返済を続けていました。自宅を持てず息子の家にお住まいでした。正確に知りたい方は、岡山地方裁判所の記録を辿ってください。

 

 

事業計画を作ってから3年とすると工事費は既に2割は上昇しています。減歩に直すと4割減歩の予定でしたら、4.8割減歩相当になっているでしょう。毎回の中間決算の時に賦課金(精算金)の見込みを確認してください。そうしないと最後になってドスンと請求書が来ることになります。

私は事業を途中で止めた経験はありませんから、アドバイスはこれが限界です。もし駄目だと想定できた時には事業全体を組み直す必要があります。

 

 

 

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