(「ドイツ兵士の見たニッポン」の著者Hさんからの投稿です)

 

謎のスポーツ「拳球(ファウストボール)」

 

音楽や演劇、食文化などの面から取り上げられることが多い習志野のドイツ捕虜ですが、スポーツの面でもサッカーはじめ、いろいろな足跡を残しています。その中でもよく登場するのがファウストバルFaustballという競技。板東や久留米など、他の収容所でも盛んにプレーされています。

ファウストとはドイツ語で「にぎり拳」のこと、またバルは英語のボールです。直訳すれば「拳球」ということになりますが、これはいったいどんなスポーツなのでしょうか。

 

バレーボールの原型、ファウストボール

日本ファウストボール協会という組織が出来ているようで、そのホームページは、ドイツ語のFaust(こぶし)と英語のball(ボール)をちゃんぽんにした「ファウストボール」と名付けて、バレーボールの原型と紹介しています。

 

・コートの広さは縦50メートル×横20メートルの芝。インドアの場合は縦40メートル×横20メートル。

・コート中央にはバレーボールのネットの代りに「ストリングス」というベルト状のものが張られている。その高さは、男子は2メートル、女子は1.9メートル。

・ストリングスを挟んで5人対5人で対戦する。

・試合は1セット11点の5セットマッチ。先に3セットを取った方が勝ち。

・ポイントはラリーポイント制で、10-10のデュースの場合は、先に2点差をつけた方がそのセットの勝者になる。但し、14-14の場合は先に15点目を取ったほうが勝ち。

・ストリングスから3メートル離れたところにサービスラインが引かれており、ここからのサーブで始まる。3回以内で相手コートにボールを返さなければならない。ボールを扱えるのは片手のみで、アタックを打つ時は「拳」しか使えない。

・3回以内でボールを返さなければならないが、ボールはそれぞれワンバウンドさせることができる。

・サーブ権はポイントを取られた側に移る。

・公式ボールは外周65~71cm、重さ300~350g。バレーボールよりも少し重い。

 

こんな動画もあります。

 

 

「ティモンディ」高岸は、何と!ファウストボール日本代表の一人

野球選手としても知られるお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸氏は、ファウストボール日本代表チームの一員にもなっているそうで、こんな動画でファウストボールを紹介してくれています。

 

 

それによると、バレーボールより人数が少なく、コートが大きい分、体力を使うそうです。

 

1977年に日本に再上陸したファウストボール

大正のドイツ捕虜が伝えたファウストボールは日本に根付かず、昭和52年(1977)に改めて日本に伝えられたそうです。まず秋田県ファウストボール協会が設立され、1998年には日本ファウストボール協会と改称されました。この年の第2回女子世界選手権大会(オーストラリア)に日本代表視察団を派遣、翌99年の第10回男子ファウストボール競技大会(スイス)に初めて日本代表選手団を派遣したそうです。

 

板東(ばんどう)ドイツ人俘虜収容所があった徳島県鳴門市では、こんな取り組みもやっているそうです。

 

 

習志野や板東、久留米、名古屋など、かつてドイツ捕虜が盛んにファウストボールをやった地でチームを作り、リーグ戦をやったり、本場ドイツに親善チームを送ったりしたら楽しいかも知れませんね。

 

(編集部より)

そう言えばゲーテの「ファウスト」という作品があったな、と思いましたが、こちらはラテン語のFaustus(幸運な、祝福された)から来ている人名だそうで、「こぶし」とは関係ないようです。

それにしても「ティモンディ」の高岸さん、大河ドラマの「鎌倉殿の13人」にも出演していましたが、多方面で大活躍です。

 

 

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