下山事件(その1)すごい番組 NHKスペシャル「下山事件」

戦後未解決事件の「下山事件」の極秘情報から真実を浮かび上がらせました。

 

この頃、日本はまだアメリカの占領下にあった。GHQ(連合国軍最高司令部)は、停滞する日本経済の立て直しを理由に国鉄(現JR)に10万人の人員削減を求めた。

社会不安が広がる中、国鉄の下山総裁が謎の死をとげ、9日後には三鷹事件が起きる

三鷹事件の翌日、当時の吉田首相は「三鷹事件は一部の労組、共産主義者の扇動によるもの」との声明を発表。

下山総裁の死も、過激な共産主義者による他殺、と見られるようになった。

しかし現場付近を徘徊する下山総裁の目撃情報が多数寄せられたことで、総裁は「精神的に追い詰められたことによる自殺」という見方も広がり始める

警視庁捜査一課は「目撃証言による自殺」説、捜査二課は「法医学的見地から他殺」説を主張

列車が接触する地点の手前にルミノール反応(血液反応)があることがわかり、他殺の線が濃厚になる。血液型も下山総裁のものと一致した。

12月31日、突如捜査本部解散。布施検事は最小限の人数で秘密裏に捜査を続けた。

そんな時、「ソ連のスパイ」を名乗る李中煥という男(詐欺の罪で小倉刑務所に収監されていた。実はアメリカとソ連の二重スパイ)から「ソ連による犯行」という密告の手紙が届く。「ソ連大使館に下山を連れ込み、血を抜いて殺害し、線路に下山の遺体を置いて列車にひかせた」というもの。しかしその供述調書は何者かに強奪される。

しかし情報屋の渡辺から「李中煥の言っていることはウソ。私李中煥ともう一人の三人で、アメリカの情報をもとにソ連のしわざとするストーリーをでっち上げた」という情報がもたらされた。

李がアメリカの指示のとおり供述したか確認するため供述調書を奪ったのは、アメリカCIC(アメリカ陸軍対敵諜報部隊)。だとすれば下山総裁暗殺を企てたのはCICのしわざだったのか?CICが李中煥への取り調べをやめるよう圧力をかけてきた。

Z機関(キャノン機関)ビクター・マツイの証言

下山暗殺がソ連のしわざだとなれば共産主義への反発が広まる。GHQの狙いはそこだろう。ところが渡辺がそのアメリカのたくらみを告発してしまった。

深堀りされ、でっち上げがバラたらまずい

李中煥が韓国に強制送還された2か月後、朝鮮戦争が勃発。

李中煥の身柄はアメリカがひきとっていた。

そしてGHQの圧力で捜査は中止に追い込まれた。

 

元CIC宮下英二郎「下山総裁を三越から連れ去ったのは東京神奈川CICのアーサー・フジナミ、そいつが犯人だ」

しかし彼は検察の追及には話をはぐらかし、本国に帰ってしまった。

下山を呼び出したのは情報屋の塩谷好太郎(元関東軍情報参謀)。

 

7月5日の朝、塩谷は「ストライキ計画の情報を渡す」と言って下山総裁を三越に呼び出した。待ち合わせ場所に来た下山氏をアーサー・フジナミたちが誘拐

どこに連れ去られた?

本郷ハウス(旧岩崎屋敷:アメリカ陸軍少佐ジャック・Y・キャノン率いる「キャノン機関」のあった場所)だ。

 

アーサー・フジナミの遺族は、アーサー本人から「下山は暗殺された(assassinated)」と聞かされていた。

 

実行部隊として動いていたのは日本人、その多くは元軍人。キャノン機関が重用したのは陸軍中野学校出身者など。戦時中の任務を明かせないかれらは仕事につけず、困窮する者もいた、右翼の児玉誉士夫、キャノンと関係のあった矢板玄。上海で憲兵隊長だった長光捷治(戦後「柿の木坂機関」のリーダー)

 

下山総裁暗殺は、アメリカG2が計画し、キャノン機関が実行。共産主義者による謀略と仕立てれば国民は反発し、増大する共産主義勢力を封じ込められる。

しかし、事件当日下山総裁の目撃証言が多数得られた。それで自殺説が主流となった。

元関東軍の塩谷は「自殺だ」と言い張っていた。実際に手をくだした連中が自殺説を流したかった。

自殺なら総裁殺しの罪をかぶらずに済む。

それだけではない。もし総裁を殺したのが旧日本軍の関係者だと国中に知れ渡ったら、日本国民は日本が軍国主義に逆戻りすることを非常に恐れている。

旧日本軍の再建や再軍備を目指すものからすると、それだけは絶対に避けなければならない。だから彼らは自殺にしたかった。それで替え玉を放った。

だとすると替え玉はアメリカ軍も把握してない軍人たちの暴走?

児玉義男「当時米軍は、戦争の時米軍が縦横に使える鉄道を米軍に差し出せ、と言ったが下山はそれを断固拒否した。鉄道マンとして鉄道を軍事利用から守った」

アメリカと日本の旧軍閥は反共と再軍備で結びついた。かつての戦犯がアメリカと手を組み、着々と軍の復権に向けて暗躍していると知ったら日本国民はアメリカへの不信を募らせるだろう。

自殺説はアメリカにとって誤算だった。

その後布施検事は地方にとばされた。(以上)

 

アメリカの言いなりにならない下山総裁を抹殺し、それをソ連の犯行に見せかけるため、アメリカG2が計画し、キャノン機関が実行。実働部隊に動員された旧軍部の特務機関出身者らは、総裁殺しの罪をかぶらずにすむよう、替え玉を現場付近にうろつかせ、自殺説が有力になった。

旧軍部の連中が調べられれば、ソ連に罪をなすりつけるどころか、アメリカの謀略がバレてしまうかも知れない。そこでアメリカG2は下山事件の捜査を打ち切らせた、ということのようです。

 

 

(三鷹事件のことが載った過去の投稿です)