下水道課不正事件について、続報です。

「軽すぎる処分」を決めた「人事審査会の会議録」は存在しない、と隠ぺいする「ブラック習志野市」

下水道課の不正事件で、違法行為(虚偽公文書作成)を19回も行ったことに対する処分が「軽すぎる」のは違法行為を隠ぺいするためではないか、ということで、市民がその処分を決めた、とされる「人事審査会の議事録」を公開するよう求めたところ、「議事録はない」という驚くべき回答を習志野市がしてきたことは、このブログでもお知らせしました。

 

 

職員の処分は重大な行政行為であり、「習志野市文書管理規程」でも「職員の任免、賞罰など人事に関する文書等」は「永年保存」(廃棄してはならない)とされているのに、「保存」するどころか、「存在しない」と居直る習志野市、一体どうなっているんでしょうか?

悪質な違法行為についての市長の責任を問う市民に「ご飯論法」で逃げ回る宮本市長

この問題について市民の方が二度にわたり質問状を宮本市長に提出し、それへの回答がきていますが、それぞれ内容を見てみます。(抜粋:市民の方が不当な圧力を受けないよう、お名前等は伏せてあります)

(第1回目の市民の質問)

(第1回目の質問への宮本市長の回答)

市民の1回目の質問内容の概要)

習志野市企業局の不正に関する疑問
① 6回も契約書を交わさないで行った業務の発注は、緊急な事案に対応するためとあるが、…緊急な事案などはなかったと聞いているが如何。


19回もの水増し請求を業者にさせたとあるが、明らかに企業局も業者も不正を自覚して行ったこと。…

③ 無契約の業者へ未払金を支払うために他の業者の支払いに水増し請求をさせたとあるが、 19回もの「虚偽公文書」偽造に当たり良心の呵責はなかったのか。 そして業者は喜んで市の要望に応えたとは思えない。


④ 報告書には、部長が不正の報告を受けていなかったから「組織的な関与は認められなかった」との結論であったが、報告がなかったこととして共謀したと考えるのが妥当で自然な考えではないでしょうか。つまりは、上司はわかっていながら目をつぶったとは言えないでしょうか。…

⑤ 市は、職員の着服や市への損害が無かったを理由に刑事告発をしなかったと言うが、このような事件を「損害の有無」で考えるべきなのかと同時に、損害を受けたものがいることを知るべきではないでしょうか。
それは、公文書という市民の財産を虚偽公文書としたことです。
公文書は市のものではなく「市民」の財産であって市の職員は市民の代行者であるはずだからです。

これほどの事件を内部での判断で処理すること自体が不自然であり、第三者へ結論や処分を委ねないことこそが疑問視されるのです。

⑦ 市は大方の予想に反して極めて軽度の処分を下しましたが、…


告発から2年以上公表しなかったことは故意以外の理由は考えられないが、如何

(これに対する宮本市長の1回目の回答)

①、②、④、⑤に対しての回答
今回の処分内容が重い、軽いというのは、…本市としましては、人事審査会で十分に審議し、適切に判断した結果であると考えております。
さらに、本市と全く同一の事案は見つかりませんでした。

(編集部注:この市長の説明はウソですね。習志野市と同じ不正事件で延岡市は警察に告発、市議会百条委設置し、虚偽公文書作成の職員に6カ月停職、など重い処分を行っています)

 

 

③に対しての回答
今回の事案については、公文書偽造や虛偽公文書作成にはあたらず、行った行為については「不適切な事務処理」 と判断しておりますので、刑事訴訟法上の対応は必要ないものと判断しております。

(第2回目の市民の質問)

(第2回目の宮本市長の回答

(市民の2回目の質問)

①に関しての回答ですが、「習志野市人事審査会」及び「企業局」で審査を行ったとの回答でした。
正確には「虚偽公文書作成罪」と確信しますし、この件を人事課へ訊ねましたら「正しい」との回答がありました。
それから、処分は妥当であるとの回答ですが、「虚偽公文書作成罪」は刑法156条…この事案は「刑事犯罪」であって…

⑤ に関して金銭の移動が伴う違法性がなかったと市長は言われていますが、何を裏づけに言われるかが全く理解できませんので、市民を納得させる事が出来る資料の提出をお願いいたします。…

それに、市長が言われた三つの犯罪がないと言われますが、「談合罪」が市役所と水増し請求に同意した会社の中で成立していたんじゃないでしょうか。何故なら、少なくとも水増し請求を受入れ、合意したこと考えるのが自然じゃないでしょうか。もし、「談合」と思しき合意がなかったとしたら、役所からの入金が少なかった場合は勿論、多く入金した場合は、「請求よりも入金が多いのですが•••」と連絡するのが自然な成行じゃないでしょうか。


⑥ 、⑦に於いて「刑事訴訟」に当たらないとの判断ですが、この件も顧問弁護士の見解が含まれていますか。そうであれば、顧問弁護士の存在すら疑いますが、如何でしょうか。
それに姿形が見えない、名前さえ不明な顧問弁護士はどなたですか。


⑧の中で調査の結果、詐欺、横領、収賄罪が無く違法性がないと言われて金銭の移動が無いと御断言されていますが、水増しされた金銭を得た業者のところに入金され、そこで留まりましたか。…経理、帳簿面での合法性のある説明がなされなければ、役所と水増し実行行した業者との「合意」について何故犯罪性がないのかを市長に説明をして戴きたいと思います。同時に水増しした業者がどの様な理由で水増しした金銭を支払えたのでしょうか。 以上

(宮本市長の2回目の回答)

①について
前回、回答しましたとおり、作成権限がない者が作成名義を偽る公文書偽造とは異なるものであり、作成権限を有する者の行為であること、当該職員や業者に対する利得を図ったものではないこと等を総合的に考慮すると、刑罰をもって臨むほどの違法性はないと考えております。
⑤ 、⑧について
今回の事案につきましては、本来必要な契約手続きを行わないまま、業者に業務を実行させ、その費用を同業者へのその後の別契約において、数回に分けて上乗せし、分割して支払いをしていたもので'す。
なお、清算等はすでに終わっております。また、調査の結果、横領、贈収賄、詐欺など違法性を伴う金銭の移動があった事実はありませんでした。
⑥ 、⑦について
12月5日付けで回答いたしました「刑事訴訟法上の対応が必要な公文書偽造や虚偽公文書作成にはあたらない」との判断に当たりましても、顧問弁護士の見解をいただいています。
見解をいただいたのは、山下洋一郎弁護士です。

このやりとりについて、法律に詳しい読者の方に伺ったところ、こんなご意見をいただきました。

市が今回やった犯罪は「文書偽造罪」ではなく「虚偽公文書作成罪」、そして地方公務員法違反の「信用失墜行為」 こういう言い逃れの仕方を「ご飯論法」と言う

市長の言い草は、文書作成権限を持っていない者が文書作成すれば、文書偽造罪になる。文書作成権限がある者が文書作成すれば、内容がウソであっても文書偽造罪にはならない、ということです。それは間違ってはいません。しかし、文書作成権限がある者が内容虚偽の文書を作成するのは、偽造ではなく、虚偽公文書作成罪です。

(注)「虚偽公文書作成罪」を犯したのに、「文書偽造罪」は犯していないから、とまるで犯罪を犯していないかのような言い逃れ。こういうのを「ご飯論法」と言います。

 

 

私人が自分名義で内容虚偽の文書を作成しても、虚偽私文書作成罪という犯罪はありませんから無罪です(但し、何か良からぬ目的があってそんなことをするのでしょうから、その虚偽私文書を使って人をだましたりすれば、それはまた別の犯罪が成立し得るでしょう。なお、医師が内容虚偽の診断書を作成するのは、例外的に虚偽私文書作成として処罰されます)。
 では、公文書の作成権限がある公務員が内容虚偽の公文書を作成するのはどうでしょうか。これは虚偽公文書作成罪という、文書偽造とは似て非なる犯罪が成立します。そもそも、公務員に内容虚偽の公文書を作る自由などありません。そんなことをすれば、信用失墜行為です。

(信用失墜行為の禁止)

地方公務員法第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

 

虚偽公文書作成罪は「虚偽の公文書を作って行政への信頼を失わせた」罪であり、そのことで利得を得たかどうかは関係ない
市長は「作成権限を有する者の行為であれば、刑罰をもって臨むほどの違法性はない」と答えているのですが、作成権限を有する者の行為であっても内容虚偽では許されない、ということを巧妙に文脈から隠していますね。

なお、虚偽公文書作成が成立するか否かと、「当該職員や業者に対する利得を図ったものか否か」は関係ないことです。

犯罪を見つけたら告発しなければならない義務が公務員にはあるので、市長は刑訴法239条第2項に違反

最後に、刑罰をもって臨むほどのものかどうかを決するのは市長村長の権限ではありません。刑事訴訟法第239条第2項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めています。

市長は検察官ではないので「犯罪に当たるとは思わない」などとは言えないはず

今回習志野市長が口にできるのは、本件は犯罪に当るとは思料しないので、私は告発の必要はないと思います、といったことでしかないはずです。まるで自分が検察官にでもなったかのような回答には、首を傾げざるを得ませんね。

 

虚偽公文書作成罪は告発がなくても捜査機関が動ける

なお、虚偽公文書作成罪は親告罪(告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪。過失傷害罪、器物損壊罪など)ではありませんから、習志野市長の告発がなくても捜査機関が動き出す可能性は大いにあります。

有印公文書を虚偽作成した場合、時効は7年

公訴時効は、有印公文書(1年以上10年以下の拘禁)であれば7年、無印公文書(3年以下の拘禁または20万円以下の罰金)は3年とされています。犯人は、この間は枕を高くできないわけです。

市長は「違法性を伴う金銭の移動がなかった、というオレの言葉を信じてくれ」と言っているだけで、それを判断するのは検察・警察

 次に「また、調査の結果、横領、贈収賄、詐欺など違法性を伴う金銭の移動があった事実はありませんでした」というくだりもその調査内容が公表されるわけではなし、ただ「私を信じてください」というだけですね。

「信用失墜行為」がこれだけ行われたのに「信じてちょうだい」は虫が良すぎる。横領や贈収賄、詐欺などの捜査をできる職員は市役所にはいない

上に見たように、既に充分、信用失墜行為が行われているのに「信じてちょうだい」というのも、どういうことなのか。また、習志野市役所内に、横領や贈収賄、詐欺などの捜査が出来る職員がいるというのも、にわかには信じられないことですね。

 

(編集部より)

宮本市長は記者会見で「市民の信頼を損ねる違法行為。深くお詫び申し上げる」と、違法行為(虚偽公文書作成)を認めているのに、市民からの質問には「違法行為はなかった」と真逆のことを言っています。到底許されないことですね。