今市議会で問題になっている「虚偽公文書作成事件」に関する8日の市議会での与党議員(「真政会」)の発言について、読者の方から以下の投稿がありました。

(読者投稿)

一般質問で、与党議員が市長擁護

下水道課不正契約事件をめぐって、12月8日、金子友之議員(真政会)から「職員の不正行為の再発防止策について」という一般質問が行われました。以下はその要旨です。

金子: 私は前職で、社内の内部通報制度の制定に携わっていたので公益通報者保護法についてはよく知っている。公益通報者保護法は昨年改正されており、通報者保護の強化が図られた。12条には公益通報対応業務従事者の守秘義務が、また21条には罰則が置かれている。通報者の特定につながるようなことを漏らしてはならない。今議会での議論を聞いていると、市民は当局が情報公開に後ろ向きであると思うだろうが、もし通報者の特定につながるような情報が出てしまったら処罰されてしまう。大変リスキーな質疑になっている。本件に関する質疑は慎重に行うべきである。

市長: 再発防止に当っては、これまで行ってきたコンプライアンス意識を高める研修に加えて、全職員を対象に改めて、契約事務における公正な職務執行を確保するための手続きについて周知徹底を図っていく。

 

金子: 民間企業では突発事案について、事後決裁やむなしとする場合はある。その点、今回の事案では懲戒処分を受けた職員はほぼ個人が特定されるような形で新聞等にさらされるという非常に厳しい制裁を受けており、本当に高い倫理観とコンプライアンス意識が求められていることがよくわかる。

私は民間企業で職員のコンプライアンス意識の向上に従事してきたが、こちらがいくらコンプライアンス意識を引き上げようと思っても、個々人の意識に負うところがあって困難さがあり、教育効果も検証しづらいものがある。そこで提案したいのだが、そもそも不正行為をやろうと思ってもやれない仕組みづくりを考えなければならないと思う。

習志野市の「懲戒処分の指針」を他市とも比較・検討したが、今回の処分は極めて妥当なものだと思う。金額や回数、過去の懲戒処分などだけでは決められないものがある。延岡市は同じ日に懲戒が2件発生し、1件は懲戒免職だったという特殊な事案だったため、市長が市長自身を処分したものである。仮に今回、習志野市長の処分を求める声があったとしても、延岡市の事案と今回の習志野市の事案を同列に並べるのは、いささか無理がある。

 

他の議員と同じように不祥事を批判しているように見えるのですが、よくよく聞いてみると、実は与党議員らしく、市長・執行部を擁護するものになっています。

今回の事件の詳細に立ち入った質問は、公益通報者保護法に抵触するリスクがあるから慎重にすべきである。

(注:要するに「市がやった違法行為に立ち入った質問をするな」という主張)

事件を起こした職員は既に非常に厳しい制裁を受けている。

(注:ほとんど処分とは言えない「戒告」「1カ月だけ給与の10分の1カット」を「厳しい制裁」という議員の主張には無理があります)

懲戒処分の指針は妥当である。市長が自身の処分をすべきだとして延岡市の例を持ち出すのは無理がある。

(注:延岡市では同じ虚偽公文書作成で、議会に百条委員会を設置。職員を刑事告訴し、停職6カ月などの「厳しい制裁」を行っている、と、このブログにも書かれている

 

 

このように野党議員を牽制するものでした。なお、金子議員は公益通報者保護法について質問したはずなのに、市長答弁は部内のコンプライアンス研修について述べるなど、議事録を読んでみればトンチンカンな問答になっていることがよくわかると思います。

 野党議員の追及の中で、「内部告発者は誰なのか、氏名を明かせ」などという質問は一切出ておらず、事件の真相に迫ることが公益通報者保護法に抵触するとは思われません。結局、市民に当局が情報公開に後ろ向きだと思われてしまうことを警戒して公益通報者保護法を持ち出したのでしょうが、これだけ答弁拒否を重ねていて情報公開に積極的だと言っても、有権者はだませないだろうと思います。

 

今回習志野市がやったのは「バックデート処理」ではなく、架空の別件に散らすという手の込んだ偽造

金子議員は「民間企業では突発事案について、事後決裁やむなしとする場合はある」というのですが、これはいわゆるバックデート処理です。
 今回企業局で起ったのは、バックデートで事後決裁したのではなく、架空の別件に散らすという手の込んだ偽造でした。

 例えば工事は8月に終っているのに、9月に発注したように処理した、というのなら、ウソはウソでも、それこそ可罰的違法性がない話でしょう。しかし、不正発注をカバーするために、全然別の架空工事をでっち上げて散らしたとなると、なぜそんな手法を使ったのかが問われるべきですね。
公文書、ひいては公務そのものの信頼性をぶっ壊しておきながら、可罰的ではない微罪だ、と言い張る習志野市ある意味、自滅でしょう。