「虚偽公文書作成」(ニセの公文書作成)という、行政への信頼を根底から揺るがす「違法行為」を「組織的にやった」のに「可罰的違法行為(罰せられるべき犯罪)とは言えない」などとわけのわからない言い逃れをする習志野市当局

習志野市議会12月定例会で大問題になっている「虚偽公文書作成」事件、市議の質問に「回答拒否」を連発する市長や市の幹部の態度が「怪しすぎる」と話題になっています。

 

 

この問題について、市は「違法行為を組織的にやった(上司の命令に部下が従ってやった)」ことを認めていながら「可罰的違法行為(罰を与えるべき違法行為)とは言えない、と市の顧問弁護士が言っている」(?!)と苦しい言い訳で逃げ切ろうとしていますが、そんな言い逃れは通用しない、ということを、法律に詳しいブログ読者が説明してくださいました。

(ブログ読者の投稿です)

公務への信頼を破壊しておいて可罰的でないわけがない

形式的には文書偽造であっても可罰的違法性がない、というケースはあり得ると思います。例えば、机上に置いていた決裁済み伝票にコーヒーをこぼしてしまった。そこで、伝票を作り直して上司に改めて印をもらい、汚れた伝票を破棄した(いわゆる「差し替え」)、なんていうものは、公文書の信頼性を貶めたというところまではいかないのではないでしょうか。

犯罪には保護法益というものがあります。一厘事件では、乾燥タバコの葉1枚、1厘相当という財産権が保護法益でした。

葉煙草一厘事件 - Wikipedia

これに対して、偽造罪は公の信頼というプライスレスなものが保護法益になります。例えば千円札1枚を偽造した奴がいたとして、被害額は1,000円でしょうか。そうではなくて、紙幣に対する公の信頼を損ねている。だから古今東西、贋金作りは重罪です。そう考えれば、今回の文書偽造、虚偽公文書作成も、公文書に対する市民の信頼を根底からぶっ壊しているのですから、被害額1厘であろうはずがありません。

 

宮本市長がやっていることは刑事訴訟法239条2項(告発の義務を怠った)違反であり、刑法103条(犯人蔵匿等)104条(証拠隠滅等)の問題でもある

刑事訴訟法239条2項は「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と規定しています。犯罪になるかどうか、可罰的違法性の有無まで判断して、可罰的違法性ありとなってから告発しろ、などとは言っていません。

 犯罪とは「構成要件を充足する違法・有責な行為」をいうのですが、構成要件を充足すれば違法性・有責性もあるものと推定されます。つまり官・公吏は構成要件を充足する行為があると思料するときは告発しなければならないのであって、その先の違法性があるかどうか、有責か否かは告発を受けた検察庁が判断することなのです。

 違法性がないと思ったから告発しなかった、有責性がないと思ったから告発しなかった、というのが許されるのであれば、刑事訴訟法239条2項は空文に過ぎないことになるのは明らかですね。


 なお市長がやっていることは、刑法103条・104条の問題でもあります。
第103条(犯人蔵匿等)
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第104条(証拠隠滅等)
 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。