◆OSK日本歌劇団 京都南座『レビュー in Kyoto』2023.11.11~19

  

11月15日に11時からのOSK日本歌劇団の公演を観に行ってきました。

公演を観に行くきっかけとなったのは、今NHKで放送中の朝ドラ『ブギウギ』です。

それまで、OSKという歌劇団が大阪にあることは何となく知ってはいましたが、詳しいことは何も知りませんでした。

それが今回、『ブギウギ』の主人公鈴子が梅丸歌劇団(USK)に入団して成長していく過程で、初代トップスター男役の橘アオイ役をOSK日本歌劇団の翼和希さんが演じられ、劇中のレビューシーンではOSKの劇団員のみなさんのショーやラインダンスを観て本物のOSKの舞台を観たくなり、チケットを取りました。

OSK初観劇ということと、京都駅から南座への行き方がよくわからなくて不安だったので、大阪在住の娘に同行を頼みました。

 

まず、京都駅で娘と合流し、娘が調べてくれたバス乗り場を探しました。

が、南座近くまで行く路線のバス乗り場と時間を調べているうちに、開演時間がどんどん迫ってきたので、急きょタクシーで行くことにして、タクシー乗り場に向かいました。

観光シーズンですが平日なので、すぐにタクシーに乗れ15分ほどで南座前に着きました。(意外と道路は混んでいたので、バスだと遅れたかも)

 

劇場入り口には、今回の公演の大きな看板が掲げられていて、あ~本物のOSKの舞台にやって来たんだという実感がわきました。

歌舞伎が上演される劇場とあって、格調高い建物に緊張しつつ入場しました。

 

 

開演時間が迫っていたので、ロビーでパンフレットとパラソルを急いで買って中に入りました。

赤い欄干のついた桟敷席や内装、下手側の花道を見て、さすが歌舞伎が演じられる劇場だと思いました。

 

 

 

今回は六列目花道寄りの席だったので、舞台も花道も近くてオペラグラスなしでも十分舞台がよく見えそうで期待に胸が膨らみます。

 

 

 

◆公演感想

 

OSK初観劇で一回しか観ていないため、正確な記憶ではないとは思いますが、自分なりの解釈と感動したところを備忘録として、ブログに書きとめておくことにしました。

どうしても目が翼さんを追いかけてしまったので、翼さん中心でOSK観劇初心者の感想ということでよろしくお願いします。

(【】内は私の心の声)

 

 

☆京都をイメージした和のシーン

 

今回は和物と洋物のレビューで構成された70分ノンストップのショーとのことで、最初のシーンは京都をイメージして作られたそうです。

娘役さんたちは、帯を前で垂らし深くスリットの入ったロングドレスに薄い紗の上衣をまとった花魁風着物ドレスで優雅に踊り、煌びやかな世界にまずうっとり。

和洋折衷の斬新な着物ドレスは紗の上衣とよく調和していて、娘役さんたちは踊りながら上衣の裾を踏むこともなく、古の京の都へと引きこまれていきました。【娘役さんたちがみんなダンスがとてもうまくて、レベルが高いことに冒頭からびっくり】

トップスターの楊琳(やん りん)さんはまばゆいばかりの麗しい光源氏の姿で登場。

楊琳さんの匂うような品のあるお色気が舞台から客席に放たれ、その強烈なオーラと圧倒的な存在感に驚かされました。【勝手に宝塚より地味なイメージを抱いていたけれど、全然そんなことはなく華やかで素敵な世界!!】

 

朝ドラで橘役を演じられた翼和希さんは、義経役で薄いグリーンの和装(水干という衣裳のようです)に白いブーツといういで立ちで颯爽と登場され、その凛々しさにまずハートを射抜かれました。【翼さん、テレビで観るより細く凛々しく美しく、実物を見てなんだかウルウル】

そして、その後、義経と弁慶が五条橋で闘うシーンとなりますが、剣さばきも立ち回りもシャープで華麗で一瞬も目を離せませんでした。

その上、義経と闘う男たちを演ずる若手男役スターさんたちが、みなさん男前でカッコよくてあっちを見たりこっちを見たりと忙しかったです。【若手男役さんたちも、みんなスラっとしていて美形!しかもみんな歌もダンスも上手い。OSKハイレベル!眼帯していた男役さん、天輝レオさん?カッコイイ】

義経のシーンの最後は、翼さんが『ゴンドラの唄』を情感たっぷりに歌い上げ、その歌声は胸にしみて涙が出てきました。

翼さんの歌声は、声量たっぷりでよく響き伸びやかで、人の心を捉えて離さないすごい引力を感じます。

あの細い身体のどこからあの声が出てくるのか、と驚かされます。【翼さんの生の歌の迫力は、事前に観た動画の何百倍もある!】

 

 

☆タンゴのシーン

 

このシーンでの翼さんは、花道前方のセリから登場。

美しいポーズで静止したままの凛々しい翼さんがセリ上がってくると、ため息が漏れました。

その後、舞台上で寄ってくる女たちを次々払いのけながらクールに歩き、最後に選んだ相手と熱くタンゴを踊ります。

私の感じる翼さんの魅力って、ちょっと翳りがあって悲壮感や孤独感が漂うところですが、このシーンはそれが全開でノックダウンさせられました。【私も翼さんに振り払われたい!】

 

 

☆フラメンコのシーン

 

スペインのマタドールという闘牛士のようなお衣裳に身を包んだ凛々しい翼さんは、ゴールドのフラメンコ風ドレスに身を包んだ娘役さんと熱く歌って踊っていて、とても情熱的でした。

(とても素敵だったのに、日が経つごとにいろんなシーンが交錯してしまって、はっきりくっきり思い出せなくてもどかしいので、早くDVDで確認したい)

このシーンでは、トップスターの楊琳さんがキラキラがいっぱい装飾されたミントグリーンのマタドールで花道のセリから上がってきて、その華やかさ美しさがとても眩しかったです。

 

 

☆白燕尾・黒燕尾での群舞、デュエットダンス

 

男役さんたちが白燕尾に身を包み、ステッキを持っての群舞は、素敵でオシャレな紳士たちが華麗に舞う姿に酔いしれました。

二十数年前に宝塚ファンだったことがあり、燕尾服での群舞が大好きだったので、久しぶりに観てゾクゾクしました。

そして、白燕尾でうっとりしていたら黒燕尾での群舞もあって、なんて贅沢なひと時かと思いました。

紫の衣裳でのダンスシーンも、男役さんの燕尾の裾からふわふわの裾が揺れて美しく、同じ色のドレスをまとった娘役さんとのダンスシーンは、まるで夢の世界の舞踏会を見ているようでした。

どのシーンだったのか記憶が定かではないのですが、男役さんと娘役さんとのダンスシーンで、男役さんが娘役さんをリフトして回すところがうっとりするほど素敵で、自分はやっぱりこういうダンスシーン、レビューが大好きなんだなと改めて感じました。

そんな群舞のシーンをうっとり眺めつつも、やっぱり目はいつも翼さんを追ってしまっていました。

翼さんのダンスは、切れが良くてどんなに激しく踊っても上半身がブレずにピンとしていて姿勢がよく、美しくてすごく惹きつけられました。【ブギウギの劇中劇でのショーシーンでの橘先輩のダンスも素敵でしたが、OSKの舞台での翼さんのダンスはそれの比ではなく別物!】

でも、他の男役さんや娘役さんたちのダンスも、みなさんそれぞれ個性が出ていて素敵で、これはもう少し後方か三階席で観たら、さぞ壮観だったことと思いました。

次回、もし同じ公演を二度観劇する機会があったら、一度は全体を見渡せる席で観たいと思いました。

 

 

☆チアガール姿でのラインダンス

 

朝ドラ『ブギウギ』の中の舞台でスズ子たちが踊っていたラインダンス(OSKの劇団員さんたちも参加)がとても素晴らしくかったので、そこからOSKの実際のラインダンスのシーンをとても楽しみにしていました。

今回はどんな衣裳だろう?と思っていたら、チアガールのお衣裳で登場。

衣裳からのぞく細くてもしっかり鍛えられた腹筋にうっとりしつつ、はつらつとして力強く美しく揃ったラインダンスが素晴らしく、なんだかドラマを思い出して涙が・・・

劇団存続の危機を幾度も乗り越え、ブギウギから100年後にこうして客席で観られたことに感動。

100年後の今、出会わせてくれてありがとう、という気持ちでいっぱいになりました。
 

 

☆スワンレイク

 

白鳥の湖の音楽に乗って、白鳥と黒鳥に扮した男役さんたちがダンス。

音楽と相まってとても素敵なシーンだったのに、もう頭の中がこんがらがってきて、どんなダンスだったのかよく思い出せなくて・・・DVDが発売されたらしっかり確認してみようと思います。

 

 

☆ワルツ

 

ここは、娘役さんだけのダンスシーンですが、娘役さんだけの群舞はとても素敵で、特にソロで踊られた舞美りらさんは、黄色のドレスを身にまとい、まるで一匹の黄色い蝶が舞台に迷い込んだかのような軽やかで美しい舞を見せてくれ、もうその姿に目が釘付けになりました。

長くバレエを習われていたようですが、まるでトゥシューズを履いているかの如く、しなやかで美しいダンスに心奪われました。

最後、花道のセリから下がっていかれる時の静止した姿は、まるでバレリーナの人形のように美しくて、感極まって泣いてしまいました。

OSKは娘役さんだけのダンスシーンとかソロシーンがあって、とてもいいなと思いました。

 

 

 

☆桜パラソル

 

フィナーレでは、ブギウギのUSKのフィナーレで観た桜パラソルをぐるぐる回すあのシーンが目の前で展開されます。

観客は、前もって物販でミニ桜パラソル(¥1,000)を買って持っていることが多く、トップスターの楊琳さんに促されて、みなさんパラソルを出して準備。

『桜咲く国』を歌いながら、舞台上で出演者全員でパラソルを開いたり閉じたりするのに合わせて、私たち観客もパラソルを回しながら(うまく回せなくて、手で持って振ってるだけでしたが)、一緒に歌いました。

この演出、出演者と観客が一体感を味わえてとても素敵ですね。

満足感でいっぱいで、観終わることができます。

 

最後のご挨拶で、トップスターの楊琳さんが「歌劇とレビューをこれからも愛してください」とおっしゃっていましたが、楊琳さんの劇団と劇団員さんだけでなく、歌劇やレビューへの温かく大きな愛を感じ、ジーンとしてしまいました。

一緒に観劇した娘が「OSKは全員野球的な良さを感じる」と言っていましたが、私もチームワークの良さとか劇団員みなさんの温かさがとても心地よく感じられました。

SNSでは、わからないことを呟くとすぐに気が付いたファンの方が教えてくださったりと、ファンの方も初観劇の方にもとても温かく接してくださり大変うれしく思いました。

 

最後、パラソルを回しながら幕が下りていくので、名残惜しくてパラソル片手に舞台上の翼さんに向かって手を振り、さようならのご挨拶をしてきました。

OSKの公演を観に行く時には、パラソルをファンの方は皆さん持参されるのですね。

私も次回行く時にも必ず持って行きたいと思います。

 

 

☆OSK

 

宝塚より規模が小さく、組も一つしかないです。

その中で今回のレビューには30人ほどが出演されていました。

劇団員さんの中には、宝塚を受験して不合格だった方もいらしゃるらしく、行く前までは歌もダンスも宝塚よりもレベルダウンしたものなのかな?(失礼ですみません)と勝手に想像していたのですが、実際に観てみたら、そんなことは全然なくて、むしろ少人数で構成されているので、どの方も出番が多いのにみなさん歌もダンスも上手くとオールラウンドで、その上スタイルもよくお美しく、びっくりしました。

同行した元宝塚ファンの娘も「出てくる人がみんな、歌もダンスも上手くてスタイルもよく綺麗でびっくり。これで宝塚不合格だった人もいるというのが信じられない。それと、オケ(生オーケストラ)も大階段も派手な舞台装置もないけど、全然そんなこと気にならないぐらいハイレベルでよかった」と言っていましたが、私は娘に言われるまで、オケがないことなど全然気が付きませんでした。

というより、余計なものをそぎ落として、シンプルに実力で勝負している気がしました。

今まで、OSK日本歌劇団と翼和希さんをよく知らずにいたことを後悔しましたが、今こうして、ブギウギを通して知ることができたことはよかったと思いました。

コロナ以降、すっかり何かに熱中する気持ちや外出から遠ざかっていましたが、OSKと翼さんを観て明日への活力と希望を頂いた気がします。(二週間前に抜歯した親知らずの跡がずっと痛んでいましたが、観劇した翌日からすっかり治ってしまいました)

 

 

 

☆パンフレットと桜パラソル

 

公演プログラムや劇団員さんの写真などが載ったパンフレットは、公演内容を思い出したり、出演者の方を確かめたりするのに必須アイテム。

そして、フィナーレの最後に舞台上の劇団員さんと一緒に『桜咲く国』を歌いながらパラソルを回すのに必要なミニパラソル。

これから、OSK観劇の際には持参したいです。

パラソルを入れる透明な袋はついていましたが、専用の袋を作ろうかな。

 

 

 

パンフレットには、これから先の公演チラシがたくさん挟まれていて、悩ましい限りです。

公演の他に、大阪市内にOSK専用のスタジオ?ライブハウス的なところがあって、そこでは毎週のように短いショーが催されています。

翼さんのスペシャルライブも来月にあるようなので、あの歌声をまた聴きにいきたくなりました。

 

 

 

機会があったら、みなさんも一度ぜひ、OSK日本歌劇団の生の舞台を観てくださいね。

ひと時現実を忘れ、夢の世界に浸ることができます。