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由依:「せめてもう少し、」
「満開でいてくれたらなぁ…」
「桜が散らなければさ、
私たちまだ一緒にいられたかもしれないのにね」
理佐:「うん、そうかも(笑)」
由依:「~♪」
桜並木の下で、由依が小さく歌い始める。
初めて聞いたその歌声は
美しく繊細で
でもどこか力強くもあって
すごく儚かった。
そっと、
気づかれないように、
瞼を閉じながら
由依のその声に耳を傾けて
記憶の中に残そうとした。
…忘れたくない。
由依の声も
匂いも
その笑顔も
忘れられないよ…
ピピピ…
理佐:「…もう行かなきゃ。」
腕時計のアラーム音。
今日のこの時間が
私にとって最後の外出だった。
今日、病院に戻ったら
検査があって痛み止めの投与があって
綺麗に人生を終わらせるための
準備をしなければいけない。
お医者さんが言うには
気づかないだけで体は限界まで弱ってきているらしい。
心はこんなにも生きたがっているのに。
あまりに自分の心は元気だから
余命宣告されたのが本当は嘘なんじゃないかって
勝手に信じてみたりする。
由依:「行っちゃうの…?」
理佐:「うん。」
それまで明るく振る舞っていた
由依の瞳に
悲しい色が映る。
ごめん、
そう言うのはなんだか違う気がして。
理佐:「ありがとう、由依。」
目の前で泣くまいと頑張って耐えようとしている
由依を抱きしめる。
由依:「…ぐすっ、」
もう泣いちゃってた(笑)
でも私も
無自覚のうちに
涙がこぼれ始めていて。
余命を知らされてから、
何があっても泣かないって
自分の中で決めてたんだ。
笑顔で人生を終わらせたいって。
決めてたのに…
由依にハグしながら
必死に笑顔を作ろうとするけど
涙はボロボロ止まる気配がなかった。
理佐:「へへっ、」
「幸せだなぁ…」
由依:「理佐っ、やだっ、」
「ずっと理佐といたいっ」
理佐:「私もだよ、」
桜の花びらが一枚、また一枚と
散っていくのが見える。
理佐:「…由依、」
「大好きだよ。」
私がやり残していたこと。
この想い、
ずっと伝えたかったの。
やっと言えた…
由依:「…私も。」
「理佐のこと、」
「ずっと、ずっとずっと、」
「大好きだよ」
由依は私の耳元で
そう呟いた。
そっか…
なーんだ。
両想いじゃん。
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純玲のつぶやき
皆様、ここまで読んでいただき
本当にありがとうございました!
櫻坂46の楽曲「桜月」をモチーフにした
「桜の散る頃」「桜が散るまで」
昨年Instagramで連載させていただいていた
お話の改訂版だったのですが、
いかがだったでしょうか…?
理佐ちゃんとの出会いで世界が桜色に
染まっていくことに気づく由依ちゃん。
由依ちゃんが大好きだからこそ、
自分の現実を隠してしまっていた理佐ちゃんの
優しさと葛藤。
ぜひ二人の視点から
もう一度お話を読み返してくださいね🌸
そして。
皆様からのご要望があれば
アフターストーリーがあるとかないとか…
お楽しみに!
ではこの辺で!
東京ドーム公演、配信最高でした!!
またね