由依:「今思い出したんだけどさ、」
理佐:「うん」
由依:「私ね、小さいとき入院してたんだ」
理佐:「入院…」
…知ってる。
由依:「いつだったかな、同じ病室に女の子が来て。」
「お友達になろうって、声をかけてくれたの」
ある日の放課後、
二人きりの教室で
すごく楽しそうに
寂しそうに
病室の友達の話をする由依。
理佐:「…どんな子なの?」
由依:「うーん、」
さすがに覚えてないか…
由依が覚えていないことに
寂しくも
ホッとした。
だって。
由依が入院中に仲良くしてた
「あの子」
…私だから。
もし、由依が
入院中のあの子と
私を結びつけてしまったら
たまに出してしまう痛みの原因も
桜が散ったらもう会えない理由も
勘付かれるかもしれない。
由依、
なかなか勘が鋭そうだからな…
🌸🌸🌸
母: 「理佐、お友達が来るんだって」
りさ:「お友だち…?」
母: 「大人しい子みたいなんだけど、
きっと仲良くなれると思うよ?」
そう母に言われたあの日、
私の長くてつまらなかったはずの病院生活に
ぱっとお花が咲いた気がした。
”りさちゃんりさちゃん!”
りさ:「どうしたの~?」
「ゆいちゃん。」
ゆい:「今日はなにしてあそぶ~?」
りさ:「ん~」
「あっ!」
「プリンセスになろうよ!」
ゆい:「プリンセス!なるー!」
りさ:「私はしらゆきひめ!」
ゆい:「りさちゃんのしらゆきひめ
ぜったいかわいい!!」
「じゃあゆいは~」
「んーと、ん~」
ゆいちゃんのお目目がパッと大きくなった。
ゆい:「こびとさんになる!!」
りさ:「こびとさん??」
ゆい:「うん!」
「しらゆきひめさんのちかくにいるから!」
りさ:「ゆいちゃんもプリンセスじゃなくていいの?」
ゆい:「うん!いいの!」
「ゆいはりさちゃんのそばにいたい!!」
りさ:「ゆいちゃん…」
「うん。ずっといっしょがいいね!」
ゆい:「ずーーーっといっしょ!」
由依とはすぐに仲良くなって
毎日たくさん二人で遊んだ。
辛いことがあっても、
由依も頑張ってるんだって思ったら
自然と力が湧いてきて。
りさ:「ゆいちゃん本よんでるのー?」
ゆい:「そう!」
「この本ね、星がふるんだよ~」
りさ:「ほし…?」
ゆい:「この本をよんでると、
お星さまがキラキラ~ってするの!」
「夜まっくらでも、お星さまがいるって
思ったらさみしくないんだ~」
りさ:「へぇ~!!」
ゆい:「りさちゃんもよむー?」
りさ:「うん!よみたい!」
「ゆいちゃんのベッドの方に行ってもいい?」
ゆい:「おいでー!」
「お姉ちゃんたちに見つかっちゃうから
しずかに…ね!」
お姉ちゃんというのは
病院の看護師さんのこと。
電気が消えた後、
眠りにつくまでの間
由依とはいつもヒソヒソと
声を抑えながらお喋りをした。
りさ:「おじゃましまーすっ」
ゆい:「いらっしゃいませ…!」
「えへへ~」
りさ:「ちかいね…!」
ゆい:「いつでもギュってできる…!」
りさ:「じゃあさ!
本よんだらギュってしながらねよう!」
ゆい:「うん!ギューだいすき!」
入院への不安や孤独さから
寝付けない日も多くて
二人でよく一つのベッドに入った。
朝、目を覚ました時に
お互いがいなくならないように
抱きしめ合いながら寝た。
ずっと一緒だって、
言ったのにね。
由依は、
私より先に退院していった。
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純玲のつぶやき
こんばんは!
予告なしに投稿が空いてしまってすみません💦
今週末はずっと忙しいかもなので
すこーし長めの投稿です💭
二人の微笑ましい回想シーン、
ぜひニコニコしながら読んでくださいな
いつも読んでくださってありがとうございます!
ではでは!またお会いしましょう