團十郎の星合世十三團 正直めちゃくちゃ辛口なので、成田屋ファンのかたは以下読まないでください。ただ、本当に團十郎さんにはもっと宗家として王道を行き、そしてだれもがさすが宗家、と思うような役者になってほしい一心です。(だから現状確認の意味でほとんど毎回みる、團十郎になって良くなったと思います。だからこそ…)
前回の早変わりの時にも観たのですが、今回もやっぱりという感想
たしかに13役は凄いですよ、そりゃ團十郎さんしかできないかも(いや、実はやろと思えば、勘九郎、愛之助ならあれぐらいはできる)
これはもう團十郎白猿の早替わり千本桜ショー
全然落ち着かず、歌舞伎初心者には今何が起こっているのか全く不明、仮面つけた役者の芝居や殺陣をみさされて、変な間を持て余し
歌舞伎初心者や外国の芸術家がみたら、日本の歌舞伎ってこんなちゃちなショーだったのかとびっくりされてしまいます
猿之助さんの早替わりは面白いのに、團十郎白猿さんのは、ああ、衣装変わりましたね、表情かわりましたね、はい、ってかんじで面白くないのです~
猿之助さんは女形から女形への早変わりでも、例えば踊りでいうと「浮世風呂」、後ろ姿の立ち姿だけで、あ、役が変わった、入った、何か猿之助さんに憑依した、うわ~~~!ってゾクゾクするのです。猿之助さんの加賀見山再岩藤も、役柄それぞれ全然違うのですが、しっかりその役としてそれぞれ見ごたえがある
でもこの早変わりはどの役もブログで見飽きた團十郎さんなんですよね
13役する意味が全く分からない。
特に言葉を失ったのは隈を書き直す暇がないからと隈取のお面(口元は開いていますが)を付けるという演出は本当に悪手だと思います。隈取とはまさに表情筋が隆々としている様子で、それが実際の表情筋の動きと合わさって躍動感がでるのに、ボトックス注射打った隈取顔は興ざめなだけです
また、すし屋では弥左衛門に早かわる必要性は全くなかった、数合わせで言うと、その前の小金吾討死で弥左衛門と小金吾の早変わりしているのだから、あそこは権太の芝居をじっくり見せてもいいのでは?
せっかく團十郎さんは権太のニンが合っているんだから、ここぐらいシッカリ芝居を見せてほしかった、話の流れと関係ない様々な早変わりのための動きや衝立の移動が見てて不快
また、狐忠信に関しては、海老蔵時代に見た、團十郎さんの狐忠信が猿之助さんより、勘三郎さんより、勘九郎さんより、だれよりも好きです。楽しみにしていましたが、なんかお腹いっぱいでみたからか、あっさりしていて、心が動かされず
大物浦もよかった、顔がキレイ! ですが、弁慶もしなくていいですよ~!
全体的に詰め込みすぎててという感じでした
裏表太閤記
馬盥の光秀役松也、あの短い間に彦三郎春永にいじめられて謀反を起こすまでの恨みを持つことをしめさなければならない。ずっと頭を下げながらも、白い顔にゆがむ口、怒りに充血してくる目と光秀の心の変化が手に取るようにわかり、迫力がすごかった、血管切れるんじゃないかと心配するぐらいの熱演
澤瀉屋と高麗屋がからむ重厚なセリフ劇で歌舞伎らしさを感じられる、備中高松塞の場
ま、それから、いろいろあって…
最後の幸四郎、松也、巳之助、右近、染五郎の五人の三番叟に酔いました
いや~、美しかった~
でも、松也ってやっぱりわさわさしてますよね。どなたかがSNSで松也を「バーサク」かかったよう、と表現していたのがとても似合ってて爆笑しました。
染五郎さん、黄色の衣装で、細くて成長中のアンバランスな手足の長さがカバーされていて、絶世の貴公子のお見た目でした。踊るととても華がありました。
踊ると巳之助君の振りの正確さというか安定感が比較してよくわかりました
体は動かすより止める方が何倍も難しいというのがよくわかります
5人で色とりどりの華やかな三番叟、本当に眼福、圧巻でした。
松竹さんが少しティーザー動画を出しておられたのがとても良くて、延々リプレイ。
結局色々若者目当て、インバウンド目当て、アニメやゲームが元の新作色々考えても、結局この基本中の基本である三番叟が一番歌舞伎を楽しんでもらえて、感動してもらえると確信した演目でした