秀太郎さんがお亡くなりになられてしまいました。

もっともっと長生きしていただきたかった。

あの、いつも可愛らしく、品があり、情があり、芸には厳しい秀太郎さんが。

もうあのお姿が見れないのだと思うと涙が出てきました。

 

秀太郎さんの良さは映像ではなかなか伝わらない、細かい動き、しぐさ、モノの扱い、座るとき、立つときの畳の音、着物の裾、からげ方、あらゆるすべてで表現しておられる。

またすべての役を全力でプライドを持ってやってらっしゃったのがとても伝わってくる役者さんでした。

 

 

ああ悲しい。藤十郎さんに続いて秀太郎さんまでも。

秀太郎さんの素晴らしさは海のように深い。

短い時間でお役の人柄を深く表すことができる凄さ。

人間国宝になるのが遅すぎたと思います。

昭和31年から秀太郎、それからずーっと秀太郎さん。

唯一無二の秀太郎さん。

 

最後に見た2020年2月の歌舞伎座での新口村の梅川のかわいらしさといったら。足元がおぼつかなくなってきてたので心配していましたが、みじんも感じさせずうまく可愛く。あまりの素敵さに2度拝見しました。

 

 

同じく、2月の筆法伝授の園生の前の高貴さと戸浪と源蔵に示す愛情。

 

吉田屋のお茶屋のおかみ、おきさの明るい何気ないやさしさといったら。このお役大好きでした。

封印切のおえん。

助六の母、満江もすてきだった。

景虎配膳は秀太郎さんのを見てやっと面白さがわかった。

手習鑑の覚寿、品、情、清廉さが混じり混じって、素晴らしかった。

文楽をこよなくリスペクトして、つねに上方歌舞伎の柔らかさを持ち、かぁいらし(可愛らしい)女形でした。役者としては常にブレることなく凛としておられました。

「芝居はみぃんな、おにんぎょさん(お人形さん)に教えてもらいました。」

「心がないといけません」の声が耳に残る。

 

あー、残念、寂しい。

でも、昨年末の南座の顔見世が最後の舞台というのが松嶋屋らしい。

仁左衛門さんも、頼りになる相手役がいなくなってさぞ寂しいでしょう。