海老蔵で最後となる新橋演舞場。
「鈴ヶ森」
莟玉さんの白井権八に痺れました。いやいや、すごかった
襲名のお祝いお披露目を兼ねてという演目でしょうが、いつも可愛いお役や、まじめなお役が多い印象でしたので、白井権八、それも海老蔵さんの幡随院長兵衛相手にどうなるか、ハラハラしておりました。それというのも、莟玉さん襲名披露公演の鬼一法眼では、養父の梅玉さん相手に苦戦していらしたようにお見受けしたからです。
ところがところが、なんのなんの👏パチパチ!今回の莟玉さん、暗闇のなかで、ひときわ輝く若さというか幼さも残る美しい顔立ちが、前髪残る白井権八そのものです。美しい所作の立ち回りで、若いが剣は達つことが説得力を持って伝わりました。
雲助が笑いを誘っているのですが、いいとこの少年だけど道外した剣士オーラは維持し、緩急を持った間で自分の周りに緊張感を醸し出していました。
特に、舞台中央で雲助の喉元にとどめを刺す場面は、たっぷりの間とキレで、幼さの残る絶世の美男子が若さ故の少し狂気めいたものを持ってあまり感情もなくやってしまうのですから、あまりの美しさと残酷さで、ゾクゾクしました。型だけではない、内面からでるエネルギーを感じました。莟玉さんって、こんな一面あるのかな~なんて、思ってしまうぐらい。
海老蔵さんはどんな幡随院長兵衛をなさるのかなと思うと、意外や意外、なんかとても情のある兄貴分でした。だから莟玉さんのびのびお役ができたんでしょう。セリフのやり取りはさすがの海老蔵さん、定番のセリフなんですが、聞かせます。莟玉さんセリフになると普通の若者になります。白井権八のセリフって難しいですね。
莟玉さんの良さが活きたお芝居でした。また、海老蔵さんのやさしさが出てました。その優しさを育てていくのが大きな役者になる道筋でもあるのかなーと思いました。
「雪月花三景」
ぼたんちゃんの純粋なパワーでなんと華のあること。
ナチュラルなコケティッシュな雰囲気であの小さい姿で魅了する。
ご本人を拝見したのははじめてですが、もうアイドル~~!
生真面目に一生懸命踊っているのですが、あふれるコケティッシュさ。
驚きました、お見それしました。
「Ninja Kabuki雪蛍恋乃滝」
これは秋元さんが脚本を書かれた、歌舞伎版ロミオとジュリエットですが、ストーリーやセリフなどで残るようなものがなかったです。なんとか、海老蔵さん、児太郎さん、獅童さん、右団次さんたち役者の皆さんのそれぞれの持ち味で見ることはできましたが、タイトルといい、内容といいどこかのアミューズメントパークのショーのようで…秋元さんはやはりポップカルチャーのクリエイターなんですね。カンゲン君が元気いっぱい会場を駆け抜ける姿が健気でした。