昼の部に引き続き、豪華でめでたい演目が続きます。
春を寿ぐ雰囲気にあふれます
「五斗三番曳」
白鷗さんが初役ということです。
冒頭の猿之助さんが亀井六郎で舞台を盛り上げます。本当に華がある役者さん。空気が変わる。
最近、こういった時代物、それも普通の若者役をしている猿之助を見ていなかったので、目新しく、お年玉感が満載です。
爽やかな姿がいいし、カッコいい役は二枚目にできる、所作が美しく改めて巧い役者さんなんだと実感。
白鷗さんの五斗兵衛は、軍師なのに、そんなに酒に目がないのって大丈夫ですか?っていうぐらい、ガンガン飲む。
おじいさんなんだけどまっすぐで、少し抜けてるけど、媚びなさそうな武士の気位というのも感じ取れて、とても軽快で、素直に笑える。
お酒を飲んだくれながら、このような立体感のある人物像を浮かび上がらせる、白鷗さんの役者としての深みに改めて気づかされました。
「連獅子」
澤瀉屋の連獅子は初めてでした。全然違う!ってかんじで、なんか物珍しさにあっというまでした。
まず式台が3つ、真ん中にまさに橋のように架けてある。衣装も中が緑。
派手!演出も派手!親獅子が子獅子けって、えっそっちに転がるの!とか、え?今なにした?とか(笑)細かいことまではわかりませんが、とっても違っているんでしょうね。
本当の親ではないんだけど、芸の上での親になろうとしている猿之助さんと、必死でついていく團子ちゃんの、素敵な絆を見せていただきました。猿之助さんの踊りは、癖というのではなく、いい意味でなにを踊っても猿之助さんの味に溢れています。猿之助さんに教わって、猿之助さんの舞踊スタイルを継いでくれたら嬉しいなと思います。
ちょっと前に高麗屋も連獅子を出しておられた、染五郎君とちょうどよいライバルなので、仲良く切磋琢磨して成長してほしいな、などと考えながら見た連獅子です。
連獅子はやっぱり親子の絆や、子供の成長、また親としての成長、家の繁栄など自然に思うすごい演目ですね。
「鰯賣戀曳網」
待ってました!と叫びたくなる、勘九郎七之助の鰯賣
まあ、二人ともかわいい、かわいい。 若々しくて、きれいでもう、正月から眼福、眼福。
勘九郎の魚尽くしの合戦話、まあ、古典的に美しくやること
膝ついたまま開脚後、スッともどす。「いだてん」で鍛えてきた脚自慢
嬉しいです、兄弟で楽しそうに演じている姿が。
やっと勘九郎さんを見て笑えるようになってきた。ハッピーパワーが伝わるようになってきた。
泣かせるより、笑わせたり、幸せにさせるのがどんだけ難しいかわかる演目です。
勘三郎さんの猿源氏は、品のある愛嬌がすごかったし、玉三郎さんの蛍火の本当にまっすぐな可愛がりたくなる可愛さ。
最後手を引いて引っ込むときの勘三郎さんが、本当に大好きなものを手に入れて、得意得意、もう絶対離さないないぞー、みたいな蛍火の手の引き方。そういう表現を重ねるよることで、思いがけず一緒になれたことに幸せが止まらない二人の醸し出す幸福感。
みんなを心底笑顔にする、勘三郎さんの伝播力。
本当に勘九郎さんを見ていると声がそっくりでいろいろ懐かしくなります。
でも、勘九郎さんの方が顔、体つきが精悍なので、お父さんと同じ役でも同じにはならないし、一方で、田村麻呂みたいな役をやれば、お父さんが絶対できなかったようなキレッキレの格好良さがあるので、見ている方も、今後どんな変化をしていくか本当に目を離せません!
本当に勘三郎さん、團十郎さん、三津五郎さんが旅立たれたのが残念ですが、若い世代がぐんぐん素敵になってきているので、
歌舞伎が楽しくて仕方ありません!