今月はとにかく、秀太郎さんがよかった💛 

最近人間国宝になられましたが遅すぎるぐらい。昔から秀太郎さんのかわいらしさが大好きだったし、最近足腰が弱っておられて心配していましたが、これまでにも増して可愛らしくて、気品や色気があって、何度も幕見に行きました。

 

もちろん菅相丞は唯一無二の気持の入った神々しい仁左衛門さんの菅相丞でした。

文七元結の座組もこれ以上ないほど。

 

「菅原伝授手習鑑」

加茂堤-明るい、華やか!勘九郎さんが何とも男盛りの美しさ。セリフが際どくと

も、品があって。ま、際どすぎて、午前中からあんまり笑えないので、あれぐらいのセリフ回しがちょうどいいのかと思います。米吉さんの斎世親王がほんとステキで、千之助さんとちょうど年頃もストーリーとマッチして気持ちよいスタートです。

 

「筆法伝授」

 まずは秀太郎さんの園生の前の気品とかわいさ!そして源蔵、戸浪夫婦に対する愛情などがにじみ出て、すごいものを拝見させていただいているという感謝の気持ちで楽しみました。

 そして、御簾の中から現れる菅相丞そのものの仁左衛門様!静謐な緊張感。仁左衛門さんから仁左衛門さんを消して、無私の心を感じた。そして神のオーラをまとう。

 橘太郎さんの佐中弁が本当に素晴らしかった。

ナウシカ歌舞伎のミト役の時も思ったのですが、本当に役柄の仁をつかむというよりか、役柄に溶け込み、なりきってしまうというか。それでもって頃合いもよく、結果、橘太郎さんが実際に佐中弁だったんじゃないか、ミトは実は橘太郎さんのことだよね?みたいな気にさせる素晴らしい役者さんと再認識しました。

 ちょっと出の橋之助もしっかり印象に残る芝居をしていて、今回、お父様につながるものを感じました。

 源蔵、戸浪夫婦を演じる梅玉さんと、時蔵さんも安定のお芝居存在感で、寺子屋へと続く展開に説得力を持たせる渋い演技でした。

 

「道明寺」

玉三郎様、出てきたときからの、お母さん怒ってますよオーラが凄い。

でも口では厳しく言いつつも、愛情が残る、やるせない複雑な気持ちがすごく伝わってくる😢

 それにしても、全身全霊役になり切って、青い炎が見えてくるような、演技と気迫。娘が婿に殺されてたことがわかって、おのれ〜、となるところ、老婆に一瞬、明王が降りて来たような、そういった、老婆は自分の持つ力以上を発揮して仇討ち遂げる。いやー、玉三郎さんは、こういうのこそ良さがさらに理解できる。

 

土師兵衛の歌六さんと宿禰太郎の彌十郎さんの親子が本当の悪党というのではなくおバカな仲良し小悪党親子、とは言っても嫁殺すのですが、カラッとしてる。だから、勘九郎の奴が入ってきても大丈夫。御馳走登場ですね。初日はちょっと奴に囲まれて、暖まってる間の演技が過ごしていると思いましたが、中日過ぎて行ったら、大人しくなっていました。

 

なんといっても、苅谷姫と菅相丞の別れが、仁左衛門千之助で再演があるかどうかと考えるといろいろな感情がよぎって、こみ上げてくるものがあります。

 

見所満載でした。

菅原伝授の脚本の素晴らしさについても、改めて堪能しました。