恋をすると、待つ時間ばかり上手になる。




昔の私は、こんなにスマホを見る人じゃなかった。

通知が鳴れば嬉しくて、鳴らなければ少し寂しい。

ただそれだけの、小さな箱だったはずなのに。




いつからだろう。、

画面が暗いままの数分で、心まで冷えてしまうようになったのは。



「今日は忙しいだけ」
「きっと運転中」
「疲れて寝ちゃったのかも」


そんな言い訳を並べるのも、ずいぶん上手になった。


前はね。
“会えなくなったけど、それでも会いたい”
って、ちゃんと言葉にしてくれたんだよ。


好きって。
会いたいって。
愛してるって。


あの頃の言葉を思い出しては、今の静けさと比べてしまう。





人の気持ちは変わる。

そんなこと、本当はずっと前から知っていたのに。

それでも私は今日も、通知欄をそっと引き下げる。

来ないとわかっているLINEを、何度も何度も確かめるたびに馬鹿だなぁ、と思う。

恋ってきっと「待つことをやめられない」一種の病気なのかもしれない。

もういっそ病気であってほしい。





今日も私は何事もなかったみたいに夜を迎える。

――期待しない。

最近覚えた、いい女のふりをしながら。