フラワーショップの店先にクリスマス・ツリーが飾られ、クリスマスの雰囲気を醸し出している。街では十二月以前からクリスマス・ツリーのイルミネーションが競い合うようにライトアップされ始める。クリスマスが近づく頃になると、なぜか誰もが心を浮き立たせてしまう。まるで魔法にでもかかったかのように・・・。
相場は自分の立てた計画がようやく一段落した事にほっとしていた。着々と進めてきたものがようやく形になろうとしている。友美に店をまかせっきりだった事を心苦しく思っていたが、絶好の機会を逃すわけにはいかなかった。
友美がいつもの時間に店に来てみると、長く店に出てこなかったことなどなかったかのように、先に相場が店を開けて準備を始めていた。任せっきりで悪かったと謝罪するわけでもなく、おはようと何食わぬ様子で声を掛ける相場に、友美は内心腹が立っていた。
共同経営者とは名ばかりで、自分の意見などどうでもいいに違いないと考えると腹が立ってくる。もう何日も顔を合わせず、ほとんど連絡もなかった相場とどう向き合えというのだろうか・・・。
自分に対して不満があることは相場にも友美の態度から察する事はできたが、どう切り出そうかと相場は思案していた。ぐずぐずしていると絶好の機会を逃しそうだ。相場は思い切って友美に声を掛けた。
「クリスマスも近づいて街は華やいで活気に満ちているね」
「ええ」
「去年より景気もいいようだし・・・。友美さん?」
友美はショーケースのガラスを拭くのに忙しくしているふりをしているが、友美の思いは別のものに向けられていて、まったく相場の話など耳に入っていない。大沢弁護士と浅井が店に来た時のことを思い返していたからだが・・・。二度繰り返し声を掛けてやっと友美は反応を示す。
「え?何か言った」硝子を拭く手を止めてゆっくりと振り向く。
「何を考えている」相場はむっとした表情を浮かべている。
「別に、何も考えてないけど・・・。相場さん、今日は出かけないの?」
「何か私に言いたいことがあるんじゃないのか?」
相場はどう友美が答えるのかと身構える。しかし、友美はただ肩をすぼめただけだった。
「ここの所ずっと外回りして忙しそうだけど、今日は出かけなくていいの?」
「ああ。今日は店にいる」
「あなたがいるなら、今日は上がらせてもらえない?」
「どうした?気分が悪いのか?」
「そうじゃないわ。ちょっと用事を済ませたいの・・・。ここの所忙しかったから・・・」
相場は了解も得ないうちにエプロンをはずし始める友美を見つめる。身構えていた相場は拍子抜けして・・・。
「それは構わないが・・・」
「良かった。じゃあ、よろしくね」
「友美さん・・・」
「何か話したいことがあるのなら明日聞くから・・・」
話し合うべきことはたくさんあると分かっていたが、結局のところ言い争う事になるだろう。たとえ、相場は自分が正しいと思ってしてきたことであっても、友美も同じ思いかどうか確かめる事もしなかった。だが、些細な事でも意見や思いの疎通をおろそかにしていた責任は自分にもある。二人の溝を埋める機会が何度かあったのに、気付かないふりをしてそのチャンスを逃がしてしまった。今その機会が再び廻ってきたけれど、すぐにでも解決するべきと分かっているが、友美は少し考える時間がほしかった。
相場は友美が出て行ってしまうと改めて店内を見回した。ずいぶんと店を離れていたものだと感じる。他の従業員がいるとはいえ、彼女ひとりに店を任せるかたちになってしまった。以前は何でも二人で相談して決めてきたのに、最近は自分ひとりで突っ走って友美をないがしろにしてきたのかもしれない。任せたままにしておきながら、今日になって戻ってきて話を聞いてもらおうと思うのは虫が良すぎる。
店の経営は軌道に乗って、安定してきた事で欲が出てきた。現状を維持していくだけで満足するような事はしたくなかった。上を目指したいと思うこと自体悪い事ではないはずだが、だからといって彼女も同じ考えとは限らない。むろん自分の考えを押し付けるつもりはない。きっと彼女なら分かってくれるはずだ。
相場は千夏の顔を思い浮かべた。相場は彼女とは結果が出るまで会わないと決めていたのだ。計画を一日でも早く実現して彼女との時間を持ちたいと思っていた。その為に努力しているというのに、彼女は理解するどころか信頼してくれていない。彼女は作家として成功しているが、自分は小さな花屋を営んでいる平凡な男だ。だからこそ彼女と対等だと証明したい。私とて男だから見栄もプライドもある。目標までもう少しというところまできているんだ。これは私のエゴなのか?
相場は自分の立てた計画がようやく一段落した事にほっとしていた。着々と進めてきたものがようやく形になろうとしている。友美に店をまかせっきりだった事を心苦しく思っていたが、絶好の機会を逃すわけにはいかなかった。
友美がいつもの時間に店に来てみると、長く店に出てこなかったことなどなかったかのように、先に相場が店を開けて準備を始めていた。任せっきりで悪かったと謝罪するわけでもなく、おはようと何食わぬ様子で声を掛ける相場に、友美は内心腹が立っていた。
共同経営者とは名ばかりで、自分の意見などどうでもいいに違いないと考えると腹が立ってくる。もう何日も顔を合わせず、ほとんど連絡もなかった相場とどう向き合えというのだろうか・・・。
自分に対して不満があることは相場にも友美の態度から察する事はできたが、どう切り出そうかと相場は思案していた。ぐずぐずしていると絶好の機会を逃しそうだ。相場は思い切って友美に声を掛けた。
「クリスマスも近づいて街は華やいで活気に満ちているね」
「ええ」
「去年より景気もいいようだし・・・。友美さん?」
友美はショーケースのガラスを拭くのに忙しくしているふりをしているが、友美の思いは別のものに向けられていて、まったく相場の話など耳に入っていない。大沢弁護士と浅井が店に来た時のことを思い返していたからだが・・・。二度繰り返し声を掛けてやっと友美は反応を示す。
「え?何か言った」硝子を拭く手を止めてゆっくりと振り向く。
「何を考えている」相場はむっとした表情を浮かべている。
「別に、何も考えてないけど・・・。相場さん、今日は出かけないの?」
「何か私に言いたいことがあるんじゃないのか?」
相場はどう友美が答えるのかと身構える。しかし、友美はただ肩をすぼめただけだった。
「ここの所ずっと外回りして忙しそうだけど、今日は出かけなくていいの?」
「ああ。今日は店にいる」
「あなたがいるなら、今日は上がらせてもらえない?」
「どうした?気分が悪いのか?」
「そうじゃないわ。ちょっと用事を済ませたいの・・・。ここの所忙しかったから・・・」
相場は了解も得ないうちにエプロンをはずし始める友美を見つめる。身構えていた相場は拍子抜けして・・・。
「それは構わないが・・・」
「良かった。じゃあ、よろしくね」
「友美さん・・・」
「何か話したいことがあるのなら明日聞くから・・・」
話し合うべきことはたくさんあると分かっていたが、結局のところ言い争う事になるだろう。たとえ、相場は自分が正しいと思ってしてきたことであっても、友美も同じ思いかどうか確かめる事もしなかった。だが、些細な事でも意見や思いの疎通をおろそかにしていた責任は自分にもある。二人の溝を埋める機会が何度かあったのに、気付かないふりをしてそのチャンスを逃がしてしまった。今その機会が再び廻ってきたけれど、すぐにでも解決するべきと分かっているが、友美は少し考える時間がほしかった。
相場は友美が出て行ってしまうと改めて店内を見回した。ずいぶんと店を離れていたものだと感じる。他の従業員がいるとはいえ、彼女ひとりに店を任せるかたちになってしまった。以前は何でも二人で相談して決めてきたのに、最近は自分ひとりで突っ走って友美をないがしろにしてきたのかもしれない。任せたままにしておきながら、今日になって戻ってきて話を聞いてもらおうと思うのは虫が良すぎる。
店の経営は軌道に乗って、安定してきた事で欲が出てきた。現状を維持していくだけで満足するような事はしたくなかった。上を目指したいと思うこと自体悪い事ではないはずだが、だからといって彼女も同じ考えとは限らない。むろん自分の考えを押し付けるつもりはない。きっと彼女なら分かってくれるはずだ。
相場は千夏の顔を思い浮かべた。相場は彼女とは結果が出るまで会わないと決めていたのだ。計画を一日でも早く実現して彼女との時間を持ちたいと思っていた。その為に努力しているというのに、彼女は理解するどころか信頼してくれていない。彼女は作家として成功しているが、自分は小さな花屋を営んでいる平凡な男だ。だからこそ彼女と対等だと証明したい。私とて男だから見栄もプライドもある。目標までもう少しというところまできているんだ。これは私のエゴなのか?
フラワーショップを出た友美はまっすぐに夫の店である紅影へ向かった。冷たい風が街路樹に容赦なく吹き付けている。マフラーをしっかり巻きつけても剥ぎ取られてしまいそうな強い風だった。友美は紅影の店内の暖かさが恋しくて自然と急ぎ足になる。店に入って園田の姿を目にすると心からほっとした。
「相場さんにチャンスをやるべきだ」
「分かっているわ。でも、私も考える時間がほしいのよ」
「だったら・・・」
「店をもっと大きくしたいと思う彼の気持ちも良く分かるけど、無理しているようにしか見えない・・・。それに、私も自分が何を望んでいるのか分かっていないのよ」
「共同経営者になることを決めたのは君だろう?福山さんが亡くなって、君が自分で望んで共同経営者になった。相場さんとは対等なんだ。自分の考えをはっきり伝えるべきだ」
「だから、自分の考えをきちんと整理したいの」
「ただそれだけか?他に引っかかっていることがあるんじゃないかと思うんだが・・・」
「ええ・・・」
「やっぱり、そうか・・・」
「相場さんは、正次さんの事にこだわっている。千夏さんと正次さんの絆は彼が亡くなった後も切れない。だって、正次さんは千夏さんにとって特別な存在だった。だから今も、正次さんの千夏さんへの思いが相場さんの心に影を落としているわ」
「確かに、思い出を消してしまう事は無理だろうな。それでも、正次さんはすでに過去の人に過ぎないじゃないか・・・。だからといって彼との思い出まで取り上げる事はできないよ。誰にもね・・・。君だってそうだろう。直也さんのことを忘れられるかい?彼との思い出を消すことができるのか?彼が生きていた事実を消せるのかい?」
「あなた、なんてことを言うの」
「勘違いするなよ。君は私の妻だから、私を愛してくれているよね。その事は疑ってはいないから心配する事はない」園田は笑いながら言った。
「当然でしょ」
「この世の人ではないと勝負しようとしても無理な話。まさか、相場さんは正次さんを超えることができれば、千夏さんと一緒になれる資格ができるとか思っているわけじゃないだろうね・・・」
園田が話している途中にもかかわらず、友美の頭の中は色々な考えが渦巻いているらしく、いきなりまったく別の話を持ち出した。
「浅井さんは千夏さんのことをどう思っているのかしら・・・」
「突然何を言い出すかと思えば・・・。いきなり話題を変えないでくれよ」
友美にとって三姉妹とは血の繋がりはなくても、一度は家族として暮らしてきた中で生まれた絆がある。園田と結婚してからもその絆は固く結ばれている。園田は理解しているつもりでも、正直なところ彼女たちに嫉妬している。友美には彼女たちのことは何でも自分のことのように考えてしまう癖がある。時々、私と彼女たちのどちらが大切なんだと言いたくなってしまう。
「浅井さんと正次さんと似ているじゃない」
「浅井さんとの面識がない私に聞いてもわかるはずがないだろう」
「正次さんの代わりに担当になった人だってことぐらいは知っているでしょ」
「いきなり浅井さんの話を持ち出して、君は何が言いたいんだ」
「浅井さんが来るようになってから、ますます二人の距離ができたみたいで心配なのよ」
「そういえば、相場さんは浅井さんの妹が絡んでいるし、千夏さんには浅井さんが絡んでいるともいえるな・・・。昨日のこともあるし・・・」
「そうだわ・・・相場さんに昨日のことを話すのを忘れていた・・・」
「大沢弁護士の方から出向いてくるだろう」
夕方になると風の勢いはさらに強まり雨まで降り出した。友美は店の中から外の様子を見る。この様子であれば客足も鈍るに違いないが、常連客の為にも店を閉めるわけにはいかない。
「雨まで降ってきたわね」
「この調子では早仕舞いかな・・・。ん?あれは千春さんじゃないか?」
雨の中傘を差さずに慌てた様子で千春は店に駆け込んできた。さらに千春の後ろから背の高い男性も一緒に入ってくる。
千春は女性にしては背が高い方だが、連れの男性はさらに背が高い。帽子を深く被っているせいで顔の表情は分からない。ジーンズ姿で驚くほど足が長く見え、園田はその男に対して羨望の眼差しを向けた。
「ひどい目に遭ったわ・・・。急に降り出すんだもの・・・」
「千春がこんな時間に来るなんて珍しいわね」友美はちらりと男の方に目をやる。
「撮影が思ったより早く終わったから、コーヒーを飲みにここへ来たのよ」
千春の隣に座った男は誰なのか、友美は気になって仕方がない。千春が男性を連れて現れる事は珍しい。いや、ありえない・・・。
「ご苦労様・・・。すぐにコーヒーを入れますね。お連れの方も・・・」
「友美、どうしたの、まだフラワーショップにいる時間よね」
友美は男の正体が気になって仕方なかったが、どうにか千春の問いに答える。
「珍しく相場さんが店に出ているわ。それより・・・」
自分が連れてきた男が誰なのか固唾を呑んで待っている二人に対して。あまりじらすのも可哀相だ。千春は心の中でにんまりしながら隣の男に微笑む。
「ちょうど良かったわ・・・。紹介するわね。私の親友の友美と、その旦那様の園田さんよ」
千春は促すように男に向って頷く。男はゆっくりと帽子を取って頭を下げ、それから男は顔を上げて二人に向ってにっこり笑った。男の顔を見て唖然とする二人を、千春は満足げに見守った。
「初めまして、お二人のことはよく聞いています。娘さんの緑さんのことも・・・」
「相場さんにチャンスをやるべきだ」
「分かっているわ。でも、私も考える時間がほしいのよ」
「だったら・・・」
「店をもっと大きくしたいと思う彼の気持ちも良く分かるけど、無理しているようにしか見えない・・・。それに、私も自分が何を望んでいるのか分かっていないのよ」
「共同経営者になることを決めたのは君だろう?福山さんが亡くなって、君が自分で望んで共同経営者になった。相場さんとは対等なんだ。自分の考えをはっきり伝えるべきだ」
「だから、自分の考えをきちんと整理したいの」
「ただそれだけか?他に引っかかっていることがあるんじゃないかと思うんだが・・・」
「ええ・・・」
「やっぱり、そうか・・・」
「相場さんは、正次さんの事にこだわっている。千夏さんと正次さんの絆は彼が亡くなった後も切れない。だって、正次さんは千夏さんにとって特別な存在だった。だから今も、正次さんの千夏さんへの思いが相場さんの心に影を落としているわ」
「確かに、思い出を消してしまう事は無理だろうな。それでも、正次さんはすでに過去の人に過ぎないじゃないか・・・。だからといって彼との思い出まで取り上げる事はできないよ。誰にもね・・・。君だってそうだろう。直也さんのことを忘れられるかい?彼との思い出を消すことができるのか?彼が生きていた事実を消せるのかい?」
「あなた、なんてことを言うの」
「勘違いするなよ。君は私の妻だから、私を愛してくれているよね。その事は疑ってはいないから心配する事はない」園田は笑いながら言った。
「当然でしょ」
「この世の人ではないと勝負しようとしても無理な話。まさか、相場さんは正次さんを超えることができれば、千夏さんと一緒になれる資格ができるとか思っているわけじゃないだろうね・・・」
園田が話している途中にもかかわらず、友美の頭の中は色々な考えが渦巻いているらしく、いきなりまったく別の話を持ち出した。
「浅井さんは千夏さんのことをどう思っているのかしら・・・」
「突然何を言い出すかと思えば・・・。いきなり話題を変えないでくれよ」
友美にとって三姉妹とは血の繋がりはなくても、一度は家族として暮らしてきた中で生まれた絆がある。園田と結婚してからもその絆は固く結ばれている。園田は理解しているつもりでも、正直なところ彼女たちに嫉妬している。友美には彼女たちのことは何でも自分のことのように考えてしまう癖がある。時々、私と彼女たちのどちらが大切なんだと言いたくなってしまう。
「浅井さんと正次さんと似ているじゃない」
「浅井さんとの面識がない私に聞いてもわかるはずがないだろう」
「正次さんの代わりに担当になった人だってことぐらいは知っているでしょ」
「いきなり浅井さんの話を持ち出して、君は何が言いたいんだ」
「浅井さんが来るようになってから、ますます二人の距離ができたみたいで心配なのよ」
「そういえば、相場さんは浅井さんの妹が絡んでいるし、千夏さんには浅井さんが絡んでいるともいえるな・・・。昨日のこともあるし・・・」
「そうだわ・・・相場さんに昨日のことを話すのを忘れていた・・・」
「大沢弁護士の方から出向いてくるだろう」
夕方になると風の勢いはさらに強まり雨まで降り出した。友美は店の中から外の様子を見る。この様子であれば客足も鈍るに違いないが、常連客の為にも店を閉めるわけにはいかない。
「雨まで降ってきたわね」
「この調子では早仕舞いかな・・・。ん?あれは千春さんじゃないか?」
雨の中傘を差さずに慌てた様子で千春は店に駆け込んできた。さらに千春の後ろから背の高い男性も一緒に入ってくる。
千春は女性にしては背が高い方だが、連れの男性はさらに背が高い。帽子を深く被っているせいで顔の表情は分からない。ジーンズ姿で驚くほど足が長く見え、園田はその男に対して羨望の眼差しを向けた。
「ひどい目に遭ったわ・・・。急に降り出すんだもの・・・」
「千春がこんな時間に来るなんて珍しいわね」友美はちらりと男の方に目をやる。
「撮影が思ったより早く終わったから、コーヒーを飲みにここへ来たのよ」
千春の隣に座った男は誰なのか、友美は気になって仕方がない。千春が男性を連れて現れる事は珍しい。いや、ありえない・・・。
「ご苦労様・・・。すぐにコーヒーを入れますね。お連れの方も・・・」
「友美、どうしたの、まだフラワーショップにいる時間よね」
友美は男の正体が気になって仕方なかったが、どうにか千春の問いに答える。
「珍しく相場さんが店に出ているわ。それより・・・」
自分が連れてきた男が誰なのか固唾を呑んで待っている二人に対して。あまりじらすのも可哀相だ。千春は心の中でにんまりしながら隣の男に微笑む。
「ちょうど良かったわ・・・。紹介するわね。私の親友の友美と、その旦那様の園田さんよ」
千春は促すように男に向って頷く。男はゆっくりと帽子を取って頭を下げ、それから男は顔を上げて二人に向ってにっこり笑った。男の顔を見て唖然とする二人を、千春は満足げに見守った。
「初めまして、お二人のことはよく聞いています。娘さんの緑さんのことも・・・」
