幻想一夜 | 紫苑の扉

紫苑の扉

主にストーリーと詩を書いています。
あるがままに、そのままに・・・。
徒然に気ままに

切れ切れな雲の間から
星々が輝いている
昼間の空がそのまま闇に溶けたような
そういう錯覚に陥る
夜風は冷たく肌を差す

夕暮れの空に
高く高く半月が裸体を曝していた
西の空には茜色の陽光が
裸木の枝から
光を放っていた
その美しき幻影が思い出されて
この一夜と重なり
深い吐息を漏らす

風向きから波の音が押し寄せ
凛とした空気を引き裂く
薄雲から月明かりが毀れ
おぼろげな半月が
張り詰めた心を
そっと優しく包んだ

一夜の幻想が
現実の姿となって
我を包んだ
叫び出しそうな孤独感さえ
わんわんと響く波に飲み込まれていく

月も眠る幻想一夜
我は沈静の闇に眠れる者