仕事も一段落つき、ようやく息がつける。千夏は大きな伸びをした。明日から一週間、資料集めの取材旅行に出かける予定になっていた。
机を離れて窓辺に近寄るとポプラの木を眺める。千夏は時にポプラに向かって独り言を呟く。そうやっていると自然に心が安らいでくるのだ。
小説家として千夏はサンシャイン・ハウスの一室で執筆をしている。何か行き詰ると窓から見えるポプラを眺めるのだ。風が木を揺らす様を見ていると、心の中で何かが解けていく。その感覚は千夏の意欲を高めてくれた。
千夏は太陽の光に誘われるように池の方へ視線を向ける。太陽の光が池の水面に反射して、きらきらと煌いていた。
ふと窓の下に目を向けると白っぽいものが揺れるのが見えた。窓を開けて下を覗き込む。
「バンチャン、散歩?ひょっとして催促しているの?」千夏はクスリと笑う。
バンチャンは盛んに尻尾を振り、いつものように長い舌を出してへらへら笑っているように見える。
―またそこがかわゆいのであるが・・・―
千夏は気分転換もかねてバンチャンの散歩に出かけた。
散歩はいつもの日課でもある。バンチャンの散歩をさせているつもりであるが・・・。
彼は元気が有り余っていると言った方がいいのか、愛犬に引っ張られ、引きずられながら散歩をさせられている千夏である。
机を離れて窓辺に近寄るとポプラの木を眺める。千夏は時にポプラに向かって独り言を呟く。そうやっていると自然に心が安らいでくるのだ。
小説家として千夏はサンシャイン・ハウスの一室で執筆をしている。何か行き詰ると窓から見えるポプラを眺めるのだ。風が木を揺らす様を見ていると、心の中で何かが解けていく。その感覚は千夏の意欲を高めてくれた。
千夏は太陽の光に誘われるように池の方へ視線を向ける。太陽の光が池の水面に反射して、きらきらと煌いていた。
ふと窓の下に目を向けると白っぽいものが揺れるのが見えた。窓を開けて下を覗き込む。
「バンチャン、散歩?ひょっとして催促しているの?」千夏はクスリと笑う。
バンチャンは盛んに尻尾を振り、いつものように長い舌を出してへらへら笑っているように見える。
―またそこがかわゆいのであるが・・・―
千夏は気分転換もかねてバンチャンの散歩に出かけた。
散歩はいつもの日課でもある。バンチャンの散歩をさせているつもりであるが・・・。
彼は元気が有り余っていると言った方がいいのか、愛犬に引っ張られ、引きずられながら散歩をさせられている千夏である。
私有地から出て街道をしばらく歩き、折り返して戻って来た。私道に入ると千夏はバンチャンの首輪を外し、晴れやかな空を見上げて大きく息を吸い込んだ。
バンチャンは千夏の周りをくるくる回りながらじゃれた。
「バンチャン、おとなしくしなさいよ、もう!」そう言いながら千夏は笑った。
バンチャンはまたもや、ほやっと笑って尻尾を振り、先頭を切って歩き始める。一度振り返って、立ち止まっている千夏を見てワンと吠えた。歩き始める千夏を確認すると、前を見て悠々と歩き始める。
太陽が雲に隠れて翳ると、空を見上げて目を細める。再び太陽が顔を出すと同時に、バンチャンが激しく吠え始めた。
こんなに興奮して吠えるバンチャンを今まで見たことがなかった。ただ事ではないとバンチャンの元へと急いだ。
愛犬の側に立ち彼の視線を追った。歯を剥き出しにして唸る彼の視線は池に向けられていた。池の水面は陽光に反射し煌く。
千夏は嫌な予感に襲われる。バシャッという音がして千夏は肩をピクリとさせた。
水面に波紋が広がって行く・・・。あれは一体・・・。千夏は池の水面に目を凝らし、思わず手で口を覆う。
何か塊のような物が浮き上がるように見えた。得体の知れない塊が徐々に浮き上がる。黒ずんだビニールシートのような物だろうか・・・。塊をぐるぐる巻きにした紐が、擦れてずるずると池に引きずり込まれて行く。ぷくぷくと音を立てて・・・。
紐はこれでもかというように複雑に結ばれている。しかし、頑丈に結ばれていた紐は時を経て擦り切れたようにほつれて細くなっていたのだ。ビニールの紐がプチッと言う音をたてた。最後の砦を崩壊させ、時を経て塊の全容が姿を現す。
千夏の体は凍りつき、声もなくそこに立ち尽くす。
バンチャンは千夏の周りをくるくる回りながらじゃれた。
「バンチャン、おとなしくしなさいよ、もう!」そう言いながら千夏は笑った。
バンチャンはまたもや、ほやっと笑って尻尾を振り、先頭を切って歩き始める。一度振り返って、立ち止まっている千夏を見てワンと吠えた。歩き始める千夏を確認すると、前を見て悠々と歩き始める。
太陽が雲に隠れて翳ると、空を見上げて目を細める。再び太陽が顔を出すと同時に、バンチャンが激しく吠え始めた。
こんなに興奮して吠えるバンチャンを今まで見たことがなかった。ただ事ではないとバンチャンの元へと急いだ。
愛犬の側に立ち彼の視線を追った。歯を剥き出しにして唸る彼の視線は池に向けられていた。池の水面は陽光に反射し煌く。
千夏は嫌な予感に襲われる。バシャッという音がして千夏は肩をピクリとさせた。
水面に波紋が広がって行く・・・。あれは一体・・・。千夏は池の水面に目を凝らし、思わず手で口を覆う。
何か塊のような物が浮き上がるように見えた。得体の知れない塊が徐々に浮き上がる。黒ずんだビニールシートのような物だろうか・・・。塊をぐるぐる巻きにした紐が、擦れてずるずると池に引きずり込まれて行く。ぷくぷくと音を立てて・・・。
紐はこれでもかというように複雑に結ばれている。しかし、頑丈に結ばれていた紐は時を経て擦り切れたようにほつれて細くなっていたのだ。ビニールの紐がプチッと言う音をたてた。最後の砦を崩壊させ、時を経て塊の全容が姿を現す。
千夏の体は凍りつき、声もなくそこに立ち尽くす。
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