しまった。
テーブルのチョコレートがクタァ~ッとしてます。
さすがにこの時期、一旦夏日が来る
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
酒類がよ~く売れるこの時期、昼呑みの美味しさを再確認できるゴールデンウィーク。
ちょっと変わったお話をさせていただきます。
半泣きで変形したチョコを冷蔵庫にしまいつつ。
実は最近、趣味程度ですが民謡研究をしております。
本来のJ-POPがそこに在ると仮定して、日本で長く培われた音楽の面白さを再確認しております。
先日はラップを使った世界初のレコーディングは日本人であるという説で、川上音二郎という稀代のアーティストのオッペケペー節を掘り下げましたが。
なんのなんの。
唄とラップを織り交ぜた楽曲がJ-POPにはあります。
それがおてもやん。
熊本民謡 おてもやん
おそらくこの動画が正調でよろしいかと思います。
アレンジしてしまうと本来の意味が歪曲されやすいと考えております。
長年おてもやんだったはずの熊本県イメージキャラでしたが、最近はくまモンに取って代わられてしまった感が否めません。
しかし。
よく考えてみるとこんなイイ女キャラは居ないではないかと。
改めて考えております。
おそらくTV等の演出の影響で、少し三の線というか、おかめ面の女性を起用した時におてもやんを引用する事で笑いを取っていた時代がありましたので、それでほとんどの人が洗脳されてしまったのではないかと考えております。
おそらく熊本県民も「おてもやん」を語るとすぐに笑いの方の話しかなと反射的に笑顔になってしまうかもしれません。
(おかめ面・・・平安時代の美人がおかめであり、御亀もしくは御多福という事で吉相の由来とも言えますし、日本史最初のストリッパーであるアメノウズメノミコトがモデルとされておりますので、神由来の美人、貴重なイイ女である事はもう明白)
最初のレコーディングに近いおてもやん 「熊本甚句」 赤坂小梅 1950?
30万枚という当時だと大ヒット曲となっております。(最初のレコーディングが1935年辺り、この音源は一番普及した1950年盤だと思われます)
元は熊本甚句と呼ばれていた俗謡で発祥がいつか分かりませんが、作曲者と言われる永田イネが1900年代前後で活躍しておりますので、そう考えるとオッペケペー節と似たような年代に作られている事が分かります。
合いの手や囃子(はやし)と言われる唄の合間のパフォーマンスがまさにラップ調になっております。
本来は主旋律を唄う歌手が居て、お囃子と共に合いの手で盛り上げて・・・ というのが舞台でのパフォーマンスだったであろうと思います。
実際に、レコードの売り上げは最初はいまひとつだったようですが、舞台で火が付いた楽曲のようです。
というか、実際はお座敷で頻繁に唄われていた思います。
さて、本題に戻って。
「本当はおてもやんはイイ女説」
この前提で語ってみたいと思います。
歌詞からおおまかに流れを解釈していくと
第一場面では最近ご縁があったでしょう?と問われますが、まだ盃(さかずき)しなかったと返します。
第二場面ではちゃんと惚れてるから、結果は出すわよ そもそも煙草入れの銀金具が因縁よね・・・。
こういった流れになりますが、婚約したはしたがいろいろと引っ張って時間稼ぎをしている状態です。
しまいには「アイツとは因縁たい・・・」と言いながら煙草の煙をスパ~ッと、遠い目で照れ隠しするような流れになっております。
どう考えても惚れられて周りからどんどん固められている様子が伺えますし、それを根掘り葉掘り聞きたがる連中に渋い顔しながら「そんなイイもんじゃないわよ、因縁よ因縁」 そんな情景を私はイメージしてしまいます。
ではおてもやんという人の意味から。
所説ありますが、「お女中さん」「お手間さん」から来ているのが私は濃厚だと考えております。
もう一つの説では「手芋(ていも)」という説があります、イチョウ芋と呼ばれる事もある山芋の事で、確かにこれは見た目を揶揄する方向性であれば色黒もしくは茶色でゴツゴツしておりますので、おてもやん=芋おんな という図式は成り立ちますが、実は手芋というのは高級食材です。 滅多に出会えない貴重な存在。
従ってピンキリで言えばピンの上物の女という事になってしまいます。
私も小さい頃はお女中さんのいるお家に遊びに行った事がありますし、実際に父の実家にはお女中さんが居ましたので、どういった存在かある程度理解しておりますが、器量というものが無ければ簡単に他人の家の中の人の、特に主人勢の世話をする事はなかなかありません。
もちろん女中歴の長い女性落ち着いた人はまた違うと思いますが、今回は婚期を迎えた年頃に近い女性のお話しですから。
器量がまだ備わっていない女性やもう少し若い娘の場合は子守りやお遣いくらいしかさせてもらえませんので、おてもやんの立ち位置はなんとなく、家人のお氣に入りであろうと推測できます。
歌詞第一番で「嫁入りした事はしたばってん」ココでもう嫁である事は決まっているのに「ばってん」という否定形を使います。
亭主が菊石平(ぐじゃっぺ)であったので盃(さかずき)をしていない、おそらく比喩として「夜伽(よとぎ)を断った」とも取れます。
ぐじゃっぺは天然痘の病み上がりで肌の状態が良くない事を意味するようです、つまりそれを理由に嫁である事は確かだが深い関係に至っていないと言って暗に「ラブラブでは無いよ」といきなりうまく行っていない夫婦像を印象着けようとしております。
あくまでも当時の事ですが、ぐじゃっぺとは熊本では醜男を意味する・・・亭主はブサイクと言ってのけるわけです。
川端町ぁんきゃーめぐらい=巷(ちまた)では噂で賑わって(きゃーは驚きの表現のようです)
春日原(かすがばる)の南瓜(ぼうぶら)どんたちゃ 尻ょふっぴゃあで花盛り=狙っていたであろう他の男たちは尻をふっぴゃる=おてもやんを引き剝がそうとして色めき立っている
花盛りはどこにかかるか おそらくおてもやんにかかっていると考えるのが素直かなと思います。
今がまさにモテ期であるという事です。
嫁入りしたこたしたばってん で時間稼ぐわけですから。
他の男達が色めき立って「尻ょふっぴゃる(引き剝がす)」と「尻を引っ張って」をかけている歌詞と考える事もできます。
夜這いがあった時代ですから、少なからず縁があった男も多かったと思います。
つまり、完全に切れるまで時間がかかったもしくはまだ切れていない男も居ると解釈可能です。
これはかなりのモテ女です。 花盛り花盛り♪
夜這いの描写は次の二番歌詞でも鮮明です。
一つ山越え も一つ山越え あの山越えて♪=完全に夜這いの描写です。
昔の民間では逆ナンである女夜這いもありましたし、おてもちゃんが山越えて・・・という事も考えられます。
惚れとるばってん 言われんたい=好きだからストレートに好きと言えないのよ と、なかなかの恋愛黒帯テクニックです。
追々彼岸も近まれば 若者衆も寄らすけん=来るべき時が来れば男達も諦めるわよ
やっぱり、どう考えてもモテ期のイイ女です。
くまんどんの夜聴聞詣り=熊本の人のよじょもんまいり どうやらお参りがあるようですが遠距離恋愛である事をさらに強調している歌詞と捉える事ができます。
つまり、亭主との距離をさらに強調するわけです。
男振りには惚れんばな=男ぶりに惚れたわけじゃないのよ
煙草入れの銀金具が それがそもそも因縁たい=銀金具で金持ちだと睨んだという解釈もあるようですが、私はおてもやんも喫煙者であると考えております。 器量があってそこそこ稼ぎもあるのであれば労働者としての喫煙も、当時ではそれほど不思議ではない。
おそらく煙草入れの銀金具、それが同じ職人の手で作られており、趣味が合うなと意気投合した事を想像してしまいます。
ラポール構築♪ 恋愛の常套手段です。
「銀金具 たったそれだけ アイツとは因縁なのよ」 煙スパ~
高確率でおてもやんはイイ女だと。
勝手に思い込んでおります。
嫁入りした事はした、だがしかし。
うまく行ってない、うまく行かなそうである事を強調する唄です。
つまり、まだ切れていない男に対するメッセージソングとも言えます。
いつか本命のあの男の耳に入る、その前に複線を張る・・・
お座敷で芸子さんや芸者さんが得意とした唄であろう事がなんとなく想像できます。
結婚した事がバレても良いように、あくまでもそんなに良い結婚では無い事を客に悟らせるのにちょうどイイ楽曲です。
それはそうと、
アカチャカベッチャカ チャカチャカチャ~♪ はネイティブに聞いても判らんらしいですが、皆が噂を広めている情景のように感じます。
とにかくもう巷は大騒ぎ という事でしょう。
その後の歌詞は後年創作されたようですが、男を鼓舞する、尻をひっぱたいて男に魂を入れる女振りが伺えます。
惚れた女に励まされる幸せな男の唄になっております。
生涯男が手にするものは数あると思いますが。
本当に惚れた女を手にした男が一番幸せだよ という唄のようにも聴こえます。
心当たりある男性も多かろうでしょうし。
「もぅ 因縁よ 因縁!」 と 振り返る女性も多かろうと思います。
ちょっとぉ・・・熊本に用事がないか考え中。
月曜日はイオンモール京都五条 出演いたします。
年月日時災い無し めでたし。
本日もご拝読ありがとうございましたm(__)m