一方で、今回まとめたことそのものを見ると、「大学と就活は無関係」ということは全然なく、むしろ今でもしっかり一定の関係性があることは伝わってきます。
まあ確かにそれはそうで、これは日本の偏差値教育が悪い、ということではなく、「新卒一括採用」という雇用慣行が生み出しています。
日本の労働市場に、毎年「新入荷」される労働者の、最も多いのは、大卒新卒者。この一斉入荷である新卒の就活時に、すごくざっくり言ってしまえば、採用についてパワーを持ってる会社から順に、いい素材のものを持っていく、という構造になります。
そして、ここでいう「いい素材」とは、専門スキルを持った即戦力というよりは、入社後に育てやすい潜在力を持った人材(プロ野球でいうところの、高校生のドラフト指名に近い感覚ですね、言わば)になります。で、よく言われる「潜在力」として語られるのが、「地頭力」「継続的な努力ができる力」「コミュ力」あたりがあり、前二者を学歴で、後者をいわゆる「ガクチカを面接で聞くこと」で図るというのが今の採用現場になります。
なので、「学歴と面接の出来」を兼ね備えた学生を大手から取っていくとすれば、以前学歴による就活の有利不利は存在することは自然であるということになるわけです。
こと、「MARCHかそれ以外(語弊を恐れずに言えば「以下」)か」は以前想像以上に大きいのは前回までの記事でまとめた通りです。
ここまでまとめていくと、受験の世界における幾つかのことが妙に合点がいくようになります。
例えば、大学の偏差値。いわゆる資格系の学部(薬学部、看護・医療系、管理栄養士、教職など)を見ると、大体60〜57.5を最大値にして、50を切るくらいのところまでに各大学が分布します。
https://www.keinet.ne.jp/university/ranking/
ちょうどMARCHから日東駒専くらいの偏差値です。確かに、と思うのは、子供を心配する親の立場になった時、「大手に就職して安定してほしいと思うものの、それは厳しそう」となった時に、次に考えるのが「資格」です。結果的に、こういった資格系学部が日東駒専の上下に偏差値が分布するのは、ある意味妥当な感じがします。
(資格系ではないにしても、理系の単科大学も似たような原理はありそうですね。日東駒専がどうしても文系学部主体なので、理系人材の輩出には向かないので)
さらにもう一つは、中学高校の偏差値と合格実績の関係。以前、ご紹介した通り、中学高校の偏差値と合格実績は、あるポイントまではかなりしっかり相関しますが、そこを越えると、相関が薄くなります。
最も象徴的なのは、以前紹介した「大学で早慶行きたければ、四谷大塚偏差値55」とかですが。
これも、教育に熱心なご家庭=親御さんが大手にお勤めの場合が多い=親御さんの職場環境では早慶は当たり前で、MARCHより下はかなり少ない、みたいな環境があったりするのかなと想像します。そこが最後、受験校の意思決定に大きく影響していることが積み重なっての、この現象かなと思うと、妙に納得がいく部分があります。
こうやっていくと、日本の学歴社会というのは日本の労働市場に働く市場原理の当然の帰結として生まれているように見えます。だから、別に入試問題をいじったってこれ自体は変わらないし、誰が悪いって話ではない、ということ。
ただ、確かに、受験と最終学歴、最終学歴と就職先は一定の相関があれど、人生で2〜3回受けることになる受験の、その一回の結果で、もう何かの望みを断たれてしまうというケースは、正直あまり多くない、ということもこれまでいろんな記事で書いてきました。そういう気持ちを持って受験に挑むことも大事なんじゃないかと思うわけです。
