メアリ・ポピンズ | 実以のブログ

『メアリ-・ポピンズのお料理教室: おはなしつき料理の本』P.L. トラヴァース作

メアリー・シェパードさし絵・モーリス・ムーアベティ料理監修
鈴木佐知子訳 文化出版局 1977年初版(950円)

表紙の写真はこちら

 

 

 


今年1月にご紹介した『エミリ・ディキンスンのお料理手帖』は全く読むだけのお料理本ですが、この『メアリ・ポピンズのお料理教室』のレシピには

10代から20代にかけて作ったことがあります。ですから出版年も古いですが、ずいぶん使用感があります(笑)。先日、公共図書館でこの本を見かけたのでレビューを書いておこうと思い立ちました。

「おはなしつきお料理の本」とあるように前半はバンクス家の料理番ブリルばあやがめいの子供たちのはしかの看病で不在となることからはじまるメアリ・ポピンズと子供たちが食事作りに奮闘する一週間の物語。曜日ごとの朝、昼、晩の英語と日本語のメニュー一覧もあります。これを見ると昼食がLunchではなく、Dinnerとなっていてローストビーフ、ビーフパテ、アイリッシュ・シチューなどボリュームのある料理を出します。日本では夕食の方が手間をかけてDinnerになるイメージですが、この本のSupper(夕食はチーズトースト、フレンチトーストなどあっさりしています。


この本を買った時、高校生だった私、家庭科の先生に見せたら

「野菜、特に緑黄色野菜が足りませんね」と言われそうだと

思いつつ、食べてみたかったのは火曜日の昼食メニュー。羊飼いのパイに人参のバター煮、りんごの重ね焼き。緑黄色野菜である人参のバター煮とりんごの重ね焼きは自分でも作ってみました。りんごの重ね焼きはパイ皿にパン粉を入れ、薄切りのりんごを並べ、その上にまたパン粉、その上から砂糖をふり、それを繰り返して皿がいっぱいになったらオーブンで焼きます。本には「赤砂糖」を用いるとありますが、入手できませんので家にあった上白糖で作りました。それでも家族にも好評で何度か作りました。わりと簡単なレシピで子供といっしょに作ったら楽しそう。りんごも「酸味の強い青いりんご」

とありますが、日本で出回っている糖度の高いもので作るなら砂糖の量を加減すればいいでしょう。

 

羊飼いのパイは自分では作りませんが、
後年、勤め先近くにできたアイリッシュ・パブで食べました。この本のレシピよりかなり小さいパイでしたが。ちなみに火曜日の夕食は魚のコロッケにジャムをのせたタルト、日本人の感覚ではちょっと不思議。

40ページ以降は「メアリー・ポピンズのお料理ノート」、お話部分に登場したものも含めたアルファベット順のレシピ集。巻末には「ごちそうになるもの」「つけ合わせとソース」「お食後になるもの」などに分類した索引、登場人物の紹介もあります。ちなみにそもそもメアリー・ポピンズについて知りたい方は下記へ

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%BA

 



私が実際に作ってみたのは主に「お食後になるもの」や「ケーキとクッキー」に分類されるもの。つまりお菓子類。特にダンディケーキ(フルーツケーキ)はクリスマスパーティや招待された結婚披露宴などに出し、比較的高評価でした。ただ中にいれるフルーツ類は本に書いてあるものより少なめにしました。材料のうちカラント(よくあるレーズンよりも小粒な味の濃い干しブドウ)は入手できませんたし、もしあったとしても小麦機1と4分の1カップ、バター130グラム、卵3個ぐらいで作った生地に干しブドウ1カップ、カラント1カップを入れて焼いたものを想像すると小麦粉をつなぎにしたブドウの塊のようであまりおいしくなさそうな気がしました。

「ごちそうになるもの」のメニューのうち、トライしたのは「野菜のポタージュ」だけ。材料の野菜をやわらかく煮込んだ後、裏ごしせよとあるのですが、裏ごしが面倒でそのまま頂いてしまったのをおぼえています(笑)。

 

アイリッシュ・シチューやランカシャー風ラムの煮込み、ローストチキンなどは読んで想像するしかありません。ラムの肉や鶏1羽を入れられる大きさのオーブンなどを都合できませんから。後にアイルランドを旅行した時、アイリッシュシチューがランチに出た時は感激でした。


「朝食用」に分類されているレシピは全て卵の料理。いり卵、つまりスクランブルドエッグはこの本の通りに作ると確かにおいしいです。卵6個をあらかじめボールに割り入れ、塩、コショーと共にかきまぜ、鍋で溶かした大さじ3杯のバターでくるむように弱火で柔らかく仕上げるというもの。しかし卵をかきまぜるボールという洗い物が生じるのが面倒だし、バターも高いので、現在は専らサラダ油をフライパンに入れて、そこにいきなり卵を割り入れて作っております(笑)。

今後、私がこの本の料理を作ることはなさそうです。

でも改めて読んでみますと楽しいし、物語の読者が

作中に出てくる料理を想像したり、調べたりして作った本ではなく、

原作者のトラヴァース自らが関わって英国の家庭料理を紹介している点が

貴重だと感じます。

ちなみにこの本は『台所のメアリー・ポピンズ おはなしとお料理ノート』という題で挿絵を彩色した新版が2014年に出ています。原題が『Mary Poppins in the Kitchen』ですから、新版の方が直訳に近いですね。