半七捕物帳〈4〉(光文社時代小説文庫)より『金の蝋燭』
足腰の痛みを訴える父のために毎朝、足のツボに灸をしています。点火した蠟燭にピンセットではさんだ簡単灸をかざして火をつけ、ツボにはりつけるのです。
先日、納戸を整理していたらいつ買ったものやら金色の蠟燭が出てきました。これを朝のお灸に使い、その後火を消したのですが、しばらくしつこく煙が出続けて困りました。この蠟燭はクリスマスなどに飾るためのもので、火をつけて使うには不向きなのかな
などど思っていたら『半七捕物帳』に『金の蠟燭』というお話がある
のを思い出しました。
この物語の蝋燭はは見かけが金色なのではなく、、金無垢の延べ棒の上に蠟を流しかけて蠟燭に見せかけているもの―4月の夜、両国橋から身投げした三十二、三の小粋な女房が抱えていたのがこの『金の蠟燭』だったのです。同じ安政2年の2月、江戸城本丸の金蔵から4千両が盗まれる事件が起き、それと関係があるのでないかと半七と子分の幸次郎が探索に乗り出します。
女房を死に追いやったのは夫が茶屋の娘に夢中になったから。その娘は夫婦が言い争い、女房が亭主をにらんで「あたしが死んでも蠟燭が物を云うぞ」と口走るのを聞いていました。蠟燭は何を言うのでしょうか?
峠のふもとで茶店を営み、つつましく平穏に暮らしていた二人が
ひょんなことから悪事に手を染め、金貸しとして江戸で裕福な生活を実現したものの、愛のもつれから破滅してしまいます。
身投げする前に女房は貧しくも仲睦まじかった頃のことを
思い出したのでしょうか?
半七たちと橋番、茶屋の女、金貸し夫婦の家の女中らとの
会話の中から夫婦の姿が浮かび上がってくるのを楽しむ
お話です。

