テディ・ミュージアム―くまの世界美術史2(中公文庫) | 実以のブログ

テディ・ミュージアム―くまの世界美術史2(中公文庫)

いわゆる『世界の名画』の案内本なのですが、なぜか描かれている人物?がみんな、くま!

 

 

画家の名前もちょっと変です。例えばハンス・ホルバインJrの『ヘンリー八世』はハンス・ホルベアンJrの『ベアンリ八世』。毛皮のついた帽子と金のペンダントをつけた威風堂々とした王はもちろんテディベア。「中立的な背景に、ポーズを取ったベアンリ8世は、ホルベアンの卓越した物質感によって、しっかりと描きとめられ、王自身の記録ともなっています」(本文より引用)。

 

ミケランジェロ・コアラヴァッジョの『バッカス(酒神熊)』。葡萄の葉を頭につけ、白い衣をまとったぼってりしたベア君はカラヴァッジョの『バッカス』の眼つきをちゃんとまねています。「バロックは、当初、マニエリスムへのアンチテーゼとして始まりましたが、その方向性を最も明らかにしたのは、バロック初期のミコアランジェロとコアラヴァッジョとされています。つまり、ワイングミと、グミベアーの神は物事の新しい見方を表しています」(本文より引用)。

 

ベアロナルド・ダ・ビンチの『最後の晩餐』の中心のキリスト熊?は昔私が持っていたクマ君に表情が似ていてかわいいです「ユダは左から四匹目ですが、驚いて振り向き、蜂蜜ツボをひっくり返し、テーブルクロスにしみをつけています」(本文より引用)。

 

ジャン・ドミニク・ベアングルの『トルコ式浴場』はアングルの原作?を観たことがあります。中心でターバンをつけた女性のつややかな背中が印象的でしたが、描かれているのがすべて裸体の?クマですと何だかおもちゃ箱をひっくりかえしたようです。

 

著者はドイツの美術の研究者ですから、クスリと笑わせながらも作品解説は本格的。私自身の美術の知識が乏しく、本歌取りの本歌にあたる作品を知らなくてよくわからない章もありましたが、それらの原作?も鑑賞してみたくなる本でした。

 

日本でもテディの『源氏物語絵巻』とか『洛中洛外図屏風』とか『大坂夏の陣図屏風』なんか作れないかしら?

 

フォルカー・ブルミッヒ著、森野くま訳 中公文庫 2003年刊