ひゃあ~、僕の打ち合わせに担当者が二人も来るなんて…
二人は挨拶をした後に僕を打ち合わせ室に案内した。
広い…まるで精神と時の部屋みたいに必要なモノ以外何もない…
僕は我に返り、てっきり相手は一人だと思い、慌ててもう一枚名刺を取り出した。
相手は課長とデザイナーっぽいカタカナの肩書の方だった。
しかし、不思議なもので先ほどまで挙動不審な人物だった僕が、今はさも普通に商談が出来ていた。
僕はまず、いつもの企画書を見せてから話に入った。
商業出版については、今現在F社からの連絡待ちですが、自費出版については、メーカーから画像の使用許諾を得たら必ずプロジェクトとして開始しますので…ですから見積りをお願い致します…と言った。
本来僕は客のはずなのに学歴コンプレックスの如く頭を下げてお願いをした。
もしかしたら共同印刷の印刷料金が高いとさすがのパワーホールさんも、これじゃあさすがに(苦笑)…と中止になるかもしれない…
だから余り高くしないでネ、お願~いの意味もあったのかもしれない。
そしてこの商談は概ね次の内容が決まった。
本の大きさはB6タイプでパチンコの小冊子サイズである。
この大きさに決まったのは、
パチンコ屋は手ぶらで行くものだから、もしパンフレットタイプとコンパクトタイプがあれば貴方ならどちらを買いますか?
が決め手だった。スゴい!さすが共同印刷だけあってマーケティングリサーチがしっかりしている。
感心しきりで次はどうする?とあれこれ考えていたら…
ページ数はどれくらいにされますか?だった。
なるほど!確かにそこまで深く考えていなかった。
え~と…内容は本の1/3くらいですから50ページぐらいで…
と、ここで僕はフト思った。
50ページはあくまでも文章量であり、画像部分は全く考えていなかった。
50ページ分の内容を画像付きで解説したらページはもっと必要になる。
そして…
あっ、ここで僕は印刷業界の基本ルールを思い出した。
つづく
※この日の出来事は全てノンフィクションです。
不屈座