20分近く印刷村を歩いたが、とうとう食べ物屋は見つからなかった。
コンビニか~どこで食べたらいいんだよ…
やはり周囲を見ても食べても構わないと思われる場所はなかった。
ただ、コンビニの端は段差になっていた。
仕方ないここでしゃがんで食べるか…
ほんの2時間前までは僕は業界の救世主如く思っていたのに…
まっ、やっぱりこれが僕なんだよな!
自虐的になったわけではなかったが、無計画な結果が招いたのはいうまでもないのは誰の目から見ても分かる。
だが、人生は何が正解か分からない…
僕はここにしゃがんで食べたのが正解だった…
しゃがんで視界に映るのは大きな工場だった。
それが何なのかを確認すると共同印刷とあった。
えっ、共同印刷ってココだったのか!
共同印刷とはパチンコ業界で例えるとSANKYOかSammyレベルの大企業だった。
後で調べたのだが、印刷業界のベスト3は、1位が大日本印刷、2位が凸版印刷で3位が共同印刷だった。
改めてマジマジと共同印刷の敷地を見ると…
野球場が2つか3つ分あるよな!
しかも5階建てぐらいあるだろうか?
要塞とは違うが完全にこの印刷村では格の違う会社であることは分かった。
ここで僕は自分でも予想外の行動を取った。
なんと見積りのトップバッターに共同印刷を決めたのである。
それは多少なりとも冷やかし部分はあったと思う。
大企業だから見積りもそれなりの金額になるだろうと…
だが、相場の手掛かりにはなる。
あまりにも高いと思えば次の会社で見積りを取ればいい…
5時半まで時間はまだ十分ある。
そんな安易な気持ちで共同印刷の中に入った。
受け付け嬢は二人、ウン間違いなく大企業だよね(苦笑)。
こんな冷やかしな行動を最後にしたのはいつだろうか?
僕は常に、どれにも何にでも全力投球する男だ。
それが…いや、相場の勉強なんだ。堂々としていよう。
受け付けから待合室を案内され、そこで小さく体を縮めて座る僕…
何故か?
だって周囲の商談のスケールが全然違うんだモン!
食玩の入れ物パッケージを商談してたり、イラストを何枚も出してあれこれ商談してたり
アキラカニバチガイナトコロニイルヨナ、ボクハ…
いやぁ、冷やかしをするんじゃなかった~と後悔して10分近く…
ついに打ち合わせの担当者が現れた。
つづく
※この日の出来事は全てノンフィクションです。
不屈座