【幼馴染.1】朝日をたっぷり浴びて目覚めた朝は、気持ちもスッキリして頭もシャキッとしていた。リビングでコーヒーを飲んでいると、寝室からごそごそと音が聞こえる。『…おはよ。』「おはよー?」『起きたなら起こしてくれたらいいのに…』寝癖がついた頭で頬を膨らませている。 #SJで妄想
【幼馴染.2】『朝からどっか行くの?』「うん、今日面接なの。」鏡で全身をチェックしていると、彼はベッドから立ち上がり後ろから抱きしめて来た。『何時に終わる?ご飯 食べに行こ?』鏡ごしに子犬のような目で見つめて来る。「えっと、終わったら連絡するね?」 #SJで妄想
【幼馴染.3】彼から体を離し、マフラーを巻いて家を出た。彼の名前はドンへ。大学時代の同級生で、卒業式の後の打ち上げでみんなの前で告白され、付き合うことになった。彼は大手の会社の営業マンで、大学時代と変わらず人気があった。優しくてお洒落で完璧な彼氏だった。 #SJで妄想
【幼馴染.4】彼と付き合い始めて4ヶ月が経った。春から働いていた職場を辞めて、新しい就職先を探している所だ。今日は面接を受けに行く。バッグの中の履歴書を確認して、前髪を整える。一般企業に就職したけど、どうしてもカフェで働きたいという夢が捨てきれなかった。 #SJで妄想
【幼馴染.5】まだオープン前のカフェで、オープニングスタッフを募集しているのを、通りすがりに貼り紙を見かけたのだ。大きく深呼吸をして、そのカフェのドアを開ける。カランカラン。「こんにちわ…」声を掛けると中から若い女性が顔を出した。「面接をお願いしてる者です。」 #SJで妄想
【幼馴染.6】『そちらの窓側のお席でお待ち下さい、オーナーが参ります^^』指定された席へつくと、テーブルな中央にポツンと一輪だけ花が飾られていた。(これもう少し可愛く飾ればいいのに…下にコースター引くとか…)小さな花瓶に手を伸ばした瞬間、後ろから低く掠れた声がした。#SJで妄想
【幼馴染.7】『お待たせしました、始めましょうか。』花瓶へと伸びていた手をパッと引っ込め、急いで立ち上がり後ろを向いた。その瞬間自分の目を疑った。「あの…」『え?』あたしの声に気付き、真正面に立っているオーナーだと言う男性がは手に持っている書類から顔を上げた。 #SJで妄想
【幼馴染.8】彼と目が合った瞬間、体中に血が駆け巡るのが分かった。一気に顔が熱くなる。『…何してんの?』「なっ、何って面接受けに来たのっ!」『驚いたよ。』彼はクスクスと笑いながら、また書類に目を落とした。彼の名前はキムジョンウン。あたしの幼馴染だ。 #SJで妄想
【幼馴染.9】奥から先ほどの店員がコーヒーを運んで来た。それを受け取り、あたし達は向かい合うように席へとついた。『いつぶりだ?高校…卒業以来?』「それくらい…かな…」相変わらず彼はぶっきらぼうで、あんまり笑わないけれど、切れ長の瞳と優しい声は変わっていなかった。 #SJで妄想
【幼馴染.10】『どうしてここに?』「通りすがりにバイト募集してるの知って…まさかジョンウンのお店だとは思わなかった…」緊張して言葉が出てこない。『相変わらずだな、その癖。』「え?」視線を上げると彼がニッと笑った。『前髪、また触ってる。』また心臓が大きく鳴った。#SJで妄想
【幼馴染.11】目の前に座っているのに、心臓の音が大きくて、彼の声が小さく聞こえる。ずっと、ずっと彼の事が好きだった。親同士も同級生で家も近く、小さな頃からずっと一緒に居た。口数は少ないけど優しくて、時折見せる笑顔が大好きだった。だけど気持ちは伝えられないまま、 #SJで妄想
【幼馴染.12】あたし達は別々の進路へと進んだ。彼は日本へ留学し、あたしは地元を離れ、目標だった大学へ入学した。『…聞いてる?』「あ、ごめっ『また触った。』知らないうちに前髪へと伸びていた右手を、彼がぎゅっと掴んだ。『明後日またこの時間に。』#SJで妄想
【幼馴染.13】『ご機嫌だね?』「きゃっ!」『そんなに驚かなくてもいいのに。』急に声を掛けられ驚いて振り返ると、ドンへが帰って来ていた。彼は上着を脱ぎながら携帯に視線を落とした。「ご、ごめん…」『何か良いことでもあった?』「えっと、久しぶりに友達に会ったの。」 #SJで妄想
【幼馴染.14】『へえー?ねえ、それいい匂い。』ドンへが後ろからあたしの手元を覗き込む。「寒いからシチューに…」その時彼から女物の香水の匂いがした。前にもあった。もう何度もこういうことがある。「先にシャワーして?まだもう少しかかるから。」『ん?じゃそうしよっかな』 #SJで妄想
【幼馴染.15】バスルームのドアが閉まる音を聞いてから、リビングへと向かった。ソファに掛けられた彼のジャケットを手に取ると、案の定さっきと同じ香水の匂いがした。(別れた方が良いのかな…)もう何度目だろうか。たった4ヶ月しか経っていないのに、何度もこういう事がある。 #SJで妄想
【幼馴染.16】学生時代からモテる人だったし、それは働き出した今も変わらないようだ。一緒に住んではいないけど彼があたしの家に頻繁に来るようになってからは、苦手だった料理も頑張ってるし、部屋に彼の物が増えて行くのが嬉しかった。ただ彼はキス以上の事はしてこない。 #SJで妄想
【幼馴染.17】(あたしが本命じゃなくてアソビなんだろうな…)結局辿り着く所はそこだった。彼の上着をハンガーに掛けキッチンへ戻る。用意が整った頃、まだ髪が濡れたままのドンへが部屋へと戻って来た。『うわー!うまそう!』テーブルに並んだ食事を見て嬉しそうに声を上げた。 #SJで妄想
【幼馴染.18】ドンへが浮気をしてても他に好きな人がいても、どこか仕方がないと思っている自分がいた。自分の心の中にも忘れられない人がいるから…。『面接どうだったの?』ドンへがシチューを口に運びながら聞いてきた。「実はね、明後日から行く事になったの。」『マジ?!』 #SJで妄
【幼馴染.19】『凄いじゃんっ!』「あ、ありがと^^だから明後日は『分かってる^^明後日は俺も会議だし遅いと思うから、飯は適当に済ますよ。気にしなくていいのにー。』「ごめんね?助かる^^」そう言うとドンへはにっこりと笑って、またシチューを食べ始めた。 #SJで妄想
【幼馴染.20】約束の日、この間と同じ時間に来たもののカフェは閉まっていた。「え?間違えた?あれ?」入り口から中を覗いてみたが、人の気配はない。「どうしよ…あ、携帯っ」急いで携帯を取り出しジョンウンにかける。彼へのコールが3つ鳴った時、真後ろで声がした。 #SJで妄想
【幼馴染.21】『待たせた?』「きゃっ!」いきなり彼の声がしたので、驚いて携帯を落とした。『え?何?』驚いた表情の彼が、足元に落ちたあたしの携帯を拾い上げた。「びっ、びっくりした…」『何でだよ。』彼はクスクスと笑いながらカフェの鍵を開け、ドアを開けた。 #SJで妄想
【幼馴染.22】中に入ると、まだ新しい匂いのする店内は少しずつインテリアが揃い出していた。Xmasも近いからか、レジの前には小さなサンタとトナカイのオーナメントが飾ってある。『かわいいだろ?』「うん♡癒される♡」『ん。』彼から手渡されたのは黒いシンプルなエプロンだ。#SJで妄想
【幼馴染.23】『制服は特にないんだけど、エプロンだけはみんな揃えるから。』よくある形のエプロンだが、いざつけてみると気持ちも引き締まった。すると彼が大きなダンボールを持ってやって来た。『店内の飾りつけするから。センスの見せどころ。』ニッと笑い箱を開け始めた。 #SJで妄想
【幼馴染.24】箱から次々と出てくる可愛い雑貨達。Xmas用の飾りが多いけど、見ているだけで幸せだった。すると箱の底から、花の形のフェルトのコースターが出て来た。(あ、これ…)ふとある事を思いつき、コースターを手に勢い良く立ち上がった。「ねぇジョンウンっ、これ…」 #SJで妄想
【幼馴染.25】『バカ!おまえ、そこっ』「きゃっ!」足下がぐらりと揺れバランスを崩した。その瞬間、咄嗟に目をつぶった。そうだ、あたし階段の一番上の段に座ってたんだった。でも…階段から落ちたと思ったのに痛くない。『はぁ、…っ、危ないだろ…』ゆっくりと目を開けると、 #SJで妄想
【幼馴染.26】目に飛び込んで来たのは、彼の着ているチェックのシャツだった。『…大丈夫か?』「あのっ、ごめん!」驚いて顔を上げると、ちょうど視線が彼の口もとに当たった。『相変わらずだな。』クスクス笑いながらあたしの頭を撫でた。「ありがと…」ゆっくりと立ち上がると、#SJで妄想
【幼馴染.27】彼もあたしに続いて立ち上がった。『これだけ仕上げて終わりにしよう。』そう言うと、また段ボールから飾りを取り出し作業を始めた。店内のオレンジ色の証明が、彼の髪をキラキラと光らせる。切れ長の目に長い睫毛。彼を見る度に、やっぱり胸が締め付けられる。 #SJで妄想
【幼馴染.28】飾り付けも終わり、店内を片付けてカフェ出ると外はポツポツと大粒の雨が降っていた。「雨降ってる…」『傘は?』「持ってきてないから走って帰るよー」『何でだよ、入って行けばいいじゃん。駅まで行くんだろ?』彼はカフェの鍵を閉めると、綺麗な青い傘を開いた。 #SJで妄想
【幼馴染.29】鮮やかな色の傘が心地良かった。駅までの道程を彼と肩を並べて歩く。(久しぶりだな…この感じ…)すると彼がすっと傘を上げ、あたしを反対側に押した。(あ、変わってくれたんだ。)どうやら車道側から移動させてくれたようだ。『…前にもこういう事あったよな?』 #SJで妄想
【幼馴染.30】「そうだっけ?」『うん、高校の卒業式の日。あの日も雨だった。』「覚えてないよー?」『卒業式の後、みんなで食事するからって。あの時もお前傘持ってなくて…』そこまで話すと彼はピタリと足を止めた。そしてあたしをじっと見つめてきた。「な、なに?」 #SJで妄想