テミン『ヌナ?』
『こ、ここで何してるの…?』
ここまで喋るので精一杯だった。
いるはずがない人がここにいるのだから。
テミン『ヌナを待ってた♪すれ違いにならなくて良かったあ。』
『いや、え?あの、そういう事じゃなくて!何で日本にいるの?』
テミン『今日台湾から着いたばかりだよ。明日ライブだから。』
『そう…なんだ。他のみんなは?』
テミン『抜け出してきたから…』
少しばつが悪そうに鼻を触る。
まゆげを下げて笑った。
その仕草が可愛くて思わず笑い返しそうになったが
この緊急事態にハッと気がついた。
『マネージャーに連絡しなきゃ!』
慌ててバッグから携帯を取り出すと
その手をテミンがしっかりと掴んで上に上げた。
テミン『ヌナは?』
『え?何?』
テミン『ヌナは僕に会いたくなかった?』
『何言ってんっ…!』
テミン『答えて。』
じっと見据えるようにあたしと視線を合わせてくる。
答えるまできっとこの手は離してもらえない。
あたしだって会いたかった。
そう言えたらどれだけ楽なんだろう。
隠さなきゃ、消してしまわなきゃって思っていたのに。
まさか彼の方から会いに来るだなんて思ってもいなかった。
色んな事が頭の中を駆け巡る。
言ってもいいの?
言ったらテミンはどうなるの?
言わない方がいいの?
でもこの気持ちはどうなるの?
テミンはアイドルなんだもん。
世界中の女の子が憧れる存在なんだよ?
あたしに「会いたかった」なんて言葉をくれるのは
きっと社交辞令みたいなものなんだよね?
自分に言い聞かせているのに、頬を涙が伝う。
まだ離してはもらえない手に力が入る。
今は…言うべきじゃない。
そう心に決めてテミンに声を掛けようとした瞬間
それを見据えてか彼が言葉を重ねてきた。
『会いたいなんてそんなk…』
テミン『隠さないで。』