わかっていても逆らえないし、逆らえたとしても時間の行き着く先は大体は決まっている。
人が100年も持たないように、時間にもきっと最後がある。
わかりきったことなのに。
なにもしないという選択肢だってあるはずなのに。
人間はとても、傲慢だ。
だからだろう。摂理に反しようとして多くを失い、少しを得ていく。
ふたを開けてみればほんの少し獲得が早まっただけとも知らずに。
得るべくして獲得し、失うべくして消失する。
そう決定付けているのだ
運命という神の気まぐれと、時間の流れの中の不変性が。
すべては消失に向かって緩やかに進んでいる。
それに抗おうともがくから、私のような存在が生まれた。
個体名AA-58 Iity
不老個体58番 隔離式独立型
識別名称「リティヤ」
教会の名前を冠する私は、時間という概念を人の手によって強引に引き剥がされた。
永遠に続く無為の中、死という消失に怯え続ける。
せめて世界が時間の終息と共に終わりを告げるその瞬間まで私は生きていよう。
生きているということをきちんと理解している間は、少なくとも死んではいないから。
私は老いることはない。
でも、死なない訳じゃない。
私は衰えることはない。
でも、限界がこない訳じゃない。
私に名前をくれた、どこか不思議でどこか抜けたところのあるあの人を。
あの人が時間の中に残した残滓を出来る限り守っていこう。
それが私の、生きる理由だから。
*
she will continue to live....