リアル版 <オツベルと象> | 十勝・帯広を洗濯いたし申し候

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Yahooの勝手な事情からの移民です。トホホ

森から迷い込んだ巨大象…7時間、
住宅100棟を破壊

テレビ朝日系(ANN) 2月11日(木)10時33分配信

 インドで森から迷い込んだ象が村を歩き回り、建物などを破壊しました。

巨大な象の出現に村は一時、騒然となりました。

 インド東部の村に10日、1頭の巨大な象が現れました。

驚いた住民らが逃げ惑うなか、象はゆっくりとした足取りで歩き、建物に突っ込んでいきます。

近くの森から迷い込んだ象は約7時間にわたって村を練り歩き、車数台を潰したうえ、
商店街の店や家など約100棟の建物を壊したということです。

象は驚く住民らを見てさらに動揺してしまったということですが、
麻酔銃で撃たれてようやく落ち着きました。

この後、象は森に帰される予定です。

インドでは、森など動物の生息環境の破壊が進んでいて、
野生動物が村などに迷い込むケースが相次いでいます。

最終更新:2月11日(木)11時54分

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オツベルときたら大したもんだ。

稲扱器械の六台も据えつけて、のんのんのんのんのんのんと、

大そろしない音をたててやっている。

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どうだ、そうしてこの象は、もうオツベルの財産だ。

いまに見たまえ、オツベルは、あの白象を、はたらかせるか、

サーカス団に売りとばすか、どっちにしても万円以上もうけるぜ。

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どうだ、そうして次の日から、象は朝からかせぐのだ。

藁も昨日はただ五把だ。

よくまあ、五把の藁などで、あんな力がでるもんだ。

じっさい象はけいざいだよ。

それというのもオツベルが、頭がよくてえらいためだ。

オツベルときたら大したもんさ。

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「ぼくはずいぶん眼にあっている。みんなで出て来て助けてくれ。」

童子はすぐに手紙をもって、林の方へあるいて行った。

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「オツベルをやっつけよう」議長の象が高く叫ぶと、

 「おう、でかけよう。グララアガア、グララアガア。」

みんながいちどに呼応する。

さあ、もうみんな、嵐のように林の中をなきぬけて、

グララアガア、グララアガア、野原の方へとんで行く。

どいつもみんなきちがいだ。

小さな木などは根こぎになり、藪や何かもめちゃめちゃだ。

グワア グワア グワア グワア、花火みたいに野原の中へ飛び出した。

それから、何の、走って、走って、とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、

オツベルの邸の黄いろな屋根を見附けると、象はいちどに噴火した。

グララアガア、グララアガア。

その時はちょうど一時半、オツベルは皮の寝台の上でひるねのさかりで、

烏の夢を見ていたもんだ。

あまり大きな音なので、オツベルの家の百姓どもが、門から少し外へ出て、

小手をかざして向うを見た。

林のような象だろう。汽車より早くやってくる。

さあ、まるっきり、血の気も失せてかけ込んで、 「旦那あ、象です。

押し寄せやした。

旦那あ、象です。」と声をかぎりに叫んだもんだ。

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百姓どもは眼もくらみ、そこらをうろうろするだけだ。

そのうち外の象どもは、仲間のからだを台にして、いよいよ塀を越しかかる。

だんだんにゅうと顔を出す。

その皺くちゃで灰いろの、大きな顔を見あげたとき、オツベルの犬は気絶した。

さあ、オツベルは射ちだした。

六連発のピストルさ。

ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、

ところが弾丸は通らない。

牙にあたればはねかえる。

一疋なぞは斯う言った。
 
「なかなかこいつはうるさいねえ。ぱちぱち顔へあたるんだ。」

オツベルはいつかどこかで、こんな文句をきいたようだと思いながら、

ケースを帯からつめかえた。

そのうち、象の片脚が、塀からこっちへはみ出した。

それからも一つはみ出した。

五匹の象が一ぺんに、塀からどっと落ちて来た。

オツベルはケースを握ったまま、もうくしゃくしゃに潰れていた。

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このニュースを見た瞬間、あっ、オツベルと象だと思いました。

宮沢賢治先生の作品 オツベルと象をはしょって掲載しました。

全文を読まれたい方は、 宮沢賢治 Kenji Review 

http://why.kenji.ne.jp/index.html  沢山の童話や詩が

掲載されていますので、是非、ご訪問してみて下さいね。

おわり