<福島健康調査>「秘密会」で見解すり合わせ
毎日新聞 10月3日(水)2時31分配信
http://amd.c.yimg.jp/im_sigguDGrODA6OcW8mpfmApG6dw---x200-y134-q90/amd/20121003-00000011-mai-000-3-thumb.jpg |
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秘密会を終え、検討委員会の会場に向かう
委員会メンバーら=福島市杉妻町で
2012年9月11日午後1時55分ごろ、
武本光政撮影
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東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が実施中の県民健康管理調査について専門家が
議論する検討委員会を巡り、県が委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開いていたことが分かった。
準備会では調査結果に対する見解をすり合わせ「がん発生と原発事故に因果関係はない」ことなどを
共通認識とした上で、本会合の検討委でのやりとりを事前に打ち合わせていた。
出席者には準備会の存在を外部に漏らさぬよう口止めもしていた。
【出席者に口止め】秘密会、別会場で開いて配布資料は回収し「保秘」徹底
県は、検討委での混乱を避け県民に不安を与えないためだったとしているが、
県は、検討委での混乱を避け県民に不安を与えないためだったとしているが、
毎日新聞の取材に不適切さを認め、今後開催しない方針を示した。
検討委は昨年5月に設置。山下俊一・福島県立医大副学長を座長に、広島大などの放射線医学の
検討委は昨年5月に設置。山下俊一・福島県立医大副学長を座長に、広島大などの放射線医学の
専門家や県立医大の教授、国の担当者らオブザーバーも含め、現在は計19人で構成されている。
県からの委託で県立医大が実施している健康管理調査について、専門的見地から助言する。
これまで計8回あり、当初を除いて公開し、議事録も開示されている。
しかし、関係者によると、事務局を務める県保健福祉部の担当者の呼びかけで、検討委の約1週間前か
しかし、関係者によると、事務局を務める県保健福祉部の担当者の呼びかけで、検討委の約1週間前か
当日の直前に委員が集まり非公開の準備会を開催。
会場は検討委とは別で配布した資料を回収し議事録も残さず、存在自体を隠していた。
9月11日に福島市内の公共施設で開いた第8回検討委の直前にも県庁内で準備会を開いていた。
同日は健康管理調査の一環である子供の甲状腺検査で甲状腺がん患者が初めて確認されたことを受け、
委員らは「原発事故とがん発生の因果関係があるとは思われない」などの見解を確認。
その上で、検討委で委員が事故との関係をあえて質問し、調査を担当した県立医大がそれに
答えるという「シナリオ」も話し合った。
実際、検討委では委員の一人が因果関係を質問。県立医大教授が旧ソ連チェルノブイリ原発事故で
甲状腺がんの患者が増加したのは事故から4年後以降だったことを踏まえ因果関係を否定、
委員からも異論は出なかった。
また、昨年7月の第3回検討委に伴って開かれた準備会では、県側が委員らに
また、昨年7月の第3回検討委に伴って開かれた準備会では、県側が委員らに
「他言なさらないように」と口止めもしていた。
毎日新聞の取材に、県保健福祉部の担当者は準備会の存在を認めた上で「あらかじめ意見を聞き
本会合をスムーズに進めたかった。
秘密会合と言われても否定できず、反省している。
(今後は)開催しない」と述べた。
福島県の県民健康管理調査は全県民を対象に原発事故後の健康状態を調べる。
30年にわたり継続する方針で、費用は国と東電が出資した基金で賄う。
【日野行介、武本光政】
最終更新:10月3日(水)5時13分
<福島健康調査>「秘密会」出席者に口止め 配布資料も回収
毎日新聞 10月3日(水)2時31分配信
http://amd.c.yimg.jp/im_siggeHmEFvsHal1sPwMqZ1WQbA---x188-y200-q90/amd/20121003-00000010-mai-000-2-thumb.jpg |
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秘密会のため福島県庁を訪れた検討委員会の
メンバーら=2012年9月11日午後1時過ぎ、
武本光政撮影
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東京電力福島第1原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査について専門家が意見を交わす
検討委員会で、事前に見解をすり合わせる「秘密会」の存在が明らかになった。
昨年5月の検討委発足に伴い約1年半にわたり開かれた秘密会は、別会場で開いて
配布資料は回収し、出席者に県が口止めするほど「保秘」を徹底。
県の担当者は調査結果が事前にマスコミに漏れるのを防ぐことも目的の一つだと認めた。
信頼を得るための情報公開とほど遠い姿勢に識者から批判の声が上がった。
【日野行介、武本光政】
【福島健康調査】「秘密会」で見解すり合わせ
【福島健康調査】「秘密会」で見解すり合わせ
9月11日午後1時過ぎ。福島県庁西庁舎7階の一室に、検討委のメンバーが相次いで入った。
「本番(の検討委)は2時からです。今日の議題は甲状腺です」。司会役が切り出した。
委員らの手元には、検討委で傍聴者らにも配布されることになる資料が配られた。
約30分の秘密会が終わると、県職員は「資料は置いて三々五々(検討委の)
約30分の秘密会が終わると、県職員は「資料は置いて三々五々(検討委の)
会場に向かってください」と要請。
事前の「調整」が発覚するのを懸念する様子をうかがわせた。次々と部屋を後にする委員たち。
「バラバラの方がいいかな」。談笑しながら1階に向かうエレベーターに乗り込み、
検討委の会場である福島市内の公共施設に歩いて向かった。
県や委員らはこうした秘密会を「準備会」と呼ぶ。関係者によると、昨年7月24日の
第3回検討委までは約1週間前に、その後は検討委当日の直前に開かれ、約2時間に及ぶことも。
第3回検討委に伴う秘密会(昨年7月17日)は会場を直前に変更し、JR福島駅前のホテルで開催。
県側は委員らに「他言なさらないように」と口止めしていた。
◇「今後はやめる」
秘密会の日程調整などを取り仕切っていた福島県保健福祉部の担当者との主なやり取りは次の通り。
--検討委の会合ごとに秘密の準備会を開いていなかったか。
記憶にない。
--昨年7月、秘密会の会場を急きょ変更し、口止めを図ったことはないか。
……覚えていない。
--検討委の約1週間前に委員を呼び出したり、検討委と別に会場を設けたりしていなかったか。
……確認のため時間をください。
<約1時間中断>
--確認できたか。
指摘の通りの事実があった。毎回準備会を開催していた。
--調査結果や進行についてあらかじめ話し合っていたのか。
事前に調査結果を説明し、委員に理解してもらったうえで臨んでほしかった。
◇「今後はやめる」
秘密会の日程調整などを取り仕切っていた福島県保健福祉部の担当者との主なやり取りは次の通り。
--検討委の会合ごとに秘密の準備会を開いていなかったか。
記憶にない。
--昨年7月、秘密会の会場を急きょ変更し、口止めを図ったことはないか。
……覚えていない。
--検討委の約1週間前に委員を呼び出したり、検討委と別に会場を設けたりしていなかったか。
……確認のため時間をください。
<約1時間中断>
--確認できたか。
指摘の通りの事実があった。毎回準備会を開催していた。
--調査結果や進行についてあらかじめ話し合っていたのか。
事前に調査結果を説明し、委員に理解してもらったうえで臨んでほしかった。
事前に調査結果を配りたいが、それができない。
--マスコミに漏れるからか?
それもある。
--なぜ隠していたのか。
隠していたつもりはないが、積極的に知らせるのは避けた。ナーバスになっていた。
--県民に不安を与えないように検討委を進めたかったのか。
それはあった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。こうした準備会は(今後)開催しない。
--マスコミに漏れるからか?
それもある。
--なぜ隠していたのか。
隠していたつもりはないが、積極的に知らせるのは避けた。ナーバスになっていた。
--県民に不安を与えないように検討委を進めたかったのか。
それはあった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。こうした準備会は(今後)開催しない。
最終更新:10月3日(水)5時14分
甲状腺がん:検査で子ども1人確認 原発事故と関係否定
毎日新聞 2012年09月11日 20時33分(最終更新 09月11日 22時13分)
福島県の子どもの甲状腺検査で初めて1人が甲状腺がんと診断されたことが11日、
県民健康管理調査の検討委員会(座長=山下俊一・福島県立医大副学長)で報告された。
同大で担当の鈴木真一教授は「チェルノブイリ事故後の発症増加は最短で4年」などとして、
福島第1原発事故との因果関係を否定した。
昨年度受診した原発周辺13市町村の3万8114人のうち、一定以上の大きさのしこりが見つかった
2次検査対象者186人の中の1人。
性別や年齢は公表していない。
細胞検査でがんと分かった。
甲状腺検査は同管理調査の一環で、事故時18歳以下だった約36万人全員が対象。
これまでに約8万人が終えた。
検討委では、40歳以上の特に男性で、肥満や肝機能異常のある人の割合が
震災前より増えたことも報告された。
避難生活のストレスなどが原因と考えられるという。
【乾達、泉谷由梨子】
福島県「県民健康管理調査」検討委員会委員名簿
平成24年9月11日
○ 委 員 (五十音順、敬称略)
氏 名
現 職
平成24年9月11日
○ 委 員 (五十音順、敬称略)
氏 名
現 職
明 石 真 言
独立行政法人放射線医学総合研究所理事
独立行政法人放射線医学総合研究所理事
阿 部 正 文
公立大学法人福島県立医科大学理事兼副学長
(医学部病理病態診断学講座主任(教授))
公立大学法人福島県立医科大学理事兼副学長
(医学部病理病態診断学講座主任(教授))
春 日 文 子
日本学術会議副会長
(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長)
日本学術会議副会長
(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長)
神 谷 研 二
国立大学法人広島大学原爆放射線医科学研究所長・教授
(公立大学法人福島県立医科大学副学長)
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
国立大学法人広島大学原爆放射線医科学研究所長・教授
(公立大学法人福島県立医科大学副学長)
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
菅 野 裕 之
福島県保健福祉部長
福島県保健福祉部長
児 玉 和 紀
公益財団法人放射線影響研究所主席研究員
公益財団法人放射線影響研究所主席研究員
佐 藤 敏 信
環境省環境保健部長
環境省環境保健部長
星 北 斗
社団法人福島県医師会常任理事 .
社団法人福島県医師会常任理事 .
安 村 誠 司
公立大学法人福島県立医科大学医学部
公衆衛生学講座主任(教授)
公立大学法人福島県立医科大学医学部
公衆衛生学講座主任(教授)
山 下 俊 一
公立大学法人福島県立医科大学副学長
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
公立大学法人福島県立医科大学副学長
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
おわり