大正方面までビューンと安全運転で約40分の田舎までの移動
その仕事も無事に終わり、ふと、時計を見ると11時少し前で
なんだか帯広に真っ直ぐ戻るのも、とても中途半端な時間なので
急ぎの仕事ではないですが、幕別方面の仕事も片付けようと考えて
裏道を選択して移動を開始し、現地に到着すると仕事にならずガクッ
じゃ、いっその事、池田回りで帰ろうと思い、国道38号線に出て
車を走らせていると、とある交差点に近づいた時に、透明人間と思われる
交通整理のガードマンが赤い棒を振り、こっちに曲がりなさいと激しく
指示をするものですから、ついハンドルを切って十勝川の堤防方面に
まるで吸い寄せられるかのように曲がってしまいました。
すると、目の前が眩しい銀色の光に包まれ、その途端に意識がなくなり
気が付くと十勝川の堤防の上に車があり、ココに車を止めなさいと


再び、透明人間が赤い棒を振り、指示されるが侭に、車を止めて
まるで、その姿は、夢遊病者のように、遠投補助グッツとロット、ルアーを
手にしていていて、まだ積雪が深く残る堤防を、長靴を履いて降りて行き
その移動距離は約300Mはあるでしょうか、深い雪に足を時折に取られては
河原まで行き付き、壮大な十勝川、道東で一番の大河が見える所に
到着をしましたが、川を眺めると良いポイントに、フライマンの姿が1名あり
ガクッ、では、先行者を避けて上流左手に向かい進んでみましたが
良いポイントがなくて、再び来た道を戻り、下流を目指して歩み出しました。
固雪コンコ、凍み雪カンコ、新美南吉の物語を浮かべながら、歩き続けて
ハァハァゼィゼィと、息も切れたので、川の流れでエグられ出来たのだろう
高さ5M位の崖のような所まで到着し、ふと遠くを見ると下流にも別の
フライマンの姿が見え、ああ、下流も駄目かと思い、一度、腰を下ろして
小休止しながら、上流、下流のフライマンの釣りを眺める事に決定しました。
そして、雪の上で大の字になって、広い空を見上げたりして休んでいると
突然に、大きな音でバキッ、ドスンと氷が割れるような音がして
そのあまりにも大きな音に、上流のフライマンも、私も驚き!まわりを
キョロキョロと見渡しましたが、どこで音がしたのかも結局は分からず
そのように割れる氷床も見あたらず、釣りをしていない私は、どこの氷が
割れたのか高い位置にいましたから、あたりを詳しく確認をしましたが
割れた氷の場所は遂に特定ができず、再び休みながら釣りの様子を
見ていると、また、大きな音で、バキッ、ドスンと大きな音がして
そして間もなく、ググググと足元で小刻みに震えるような低周波の振動が
その2秒後ぐらい後に、地面がグラグラと地震のように揺れて、その揺れば
地震で言えば震度2、あっ!地震だと思った途端に、ドドドドドと
大きな音と共に、私のいる直ぐ、約2Mの横の所から、物凄い勢いで崖が
一気に崩れて、ドシャッ、ガバッ、ドドドドッ、バシャ~ン、ドボ~ン
約15立方メートルの量の土が、水深2M以上はあろう、川の中に勢い良く
一気に崩落をしてしまい、川からは約2Mの奥行き、横の長さは約6Mの
土が一気に大崩落するところを、私は目の前で見て目が点になりました。
マジに、テラに、あと2Mも私が前に進んでいて、小休止していたならば
その直ぐ真下から、完全に土と一緒に私も、深く冷たい川の中にドボン
ヒェ~ィ、正に、これぞ神様に守られたと言うべき、九死に一生を得た
危機一髪で危機から逃れられた、引田天功もビックリの、種も仕掛けもない
大イリュージョン、本当に命が助かって良かった、その瞬間を感じました。
その崖崩れ、一気に川に崩落するさまの、一部始終を見ていたフライマンも
実に驚いた事でありましょうし、私が川に落ちれば事故の目撃者
川に流されて行く人の、第一発見者になり、消防とか警察への通報者に
なってしまい、せっかくの釣りも目の前で、落水してしまった運の悪い
釣り人のせいで、楽しみにしていた一日を、台無しにしてしまうところでした。
気の毒な事にフライマンを巻き込まずに本当に良かったです。
あっ!崖の上に居た人が川にですから、相当に肝を冷やしたでしょう。
そんな大事件がありながらも、私は至って冷静に、まあ、物凄い音で土が
川の中に崩れ落ちたので、もう、その深みには、アメマスもイトウも音に驚き
何処かに逃げただろうと判断を下して、もう一度、歩いて来た方向に戻り
長靴で渡れる浅い小川を越え川辺に到着し、釣り座を確保しようとした時に
対岸でロットを振る風切り音が聞こえたので、良く目を凝らし眺めて見ると
枯れ草に完全に同化をしている、アングラーの陰が二つあって、ゲッ
結局は、下流のフライマンと上流のアングラーの間、中間地点しか
遠投補助グッツを投げ込むスペースはなく、どう見ても釣れなさそうな
川面の流れではなく、それでも、ここまで来たのだからと諦め、その場所を
釣り座として決めて、サササッと素早く、遠投補助グッツ「Version2.1」と
ルアーを装着して、川幅、約150M、川幅の約2/3の所まで投げ込んでは
巻きを繰り返し、アメマスからのアタリを待ち続けましたが、流れの場所で
水深にバラつきはありますが、平均2Mかと思う水深で、明らかに浅さ過ぎ
巻き速度をスローにしルアーを沈めると、途端にガッンと根掛かりをする
悪条件のフィールド、こりゃ~駄目だ、釣れる気は10%に大幅にダウンさせ
これも実験、試験の為だと諦め、遠投補助グッツを投げ込み続けましたが
一度だけ、フックが強く根掛かりをしてしまい、アチャ、ルアーか、それとも
両方ともロストかと、釣れない場所で、無駄な痛いロストを強いるのかと
一瞬だけ心に覚悟をしましたが、立ち位置をやや上流5M程度ずらし
持ち前の腕の良さでフックを外す事に集中し、ラインにテンションを掛けたり
ロットの動きで緩めたり、おい!地球よ放してくれ!と、心の中で3回念じたら
スポッと針が外れて、どちらもロストせず無事に手元に帰って来ました。
本日、二回目のラッキー、暫くすると対岸のアングラーが帰りましたので
場所を変えて、遠投補助グッツを投げ込み続けましたが、結局は一度も
アタリはなしで、最後までアメマスの顔は拝めませんでしたが
川の流れの中でも十分に、遠投補助グッツ「Version2.1」が使える事が
ハッキリとした手応えと、動作からわかりましたので大収穫を得ました。
アメマスさえ近くにいれば、必ず、フックに掛けられる自信も付きましたし
必ず、釣れると強く確信をいたしましたし、4.5Mロングなロットであれば
振り続ければ疲れるでしょうが、対岸まで到達する、その距離感もしっかりと
得ましたので、正に、遠投効果が釣果に繋がるのだろうと思います。
そうする内に、風もやや強く吹いてきて、川面もザワザワとざわつき始め
時計を見てみると、14時を少し回っていて、時間が経つのは早いなと思い
昼食も摂らずに崖崩れに遭遇し、ああ~腹が減ったぁ~と思い
もう帰らなくっちゃと、サササッと道具を1分で片付けて、再び300M程の
雪原を足をズボッ、ズボッと時折に膝まで埋め、ハァハァ、ゼィゼィ
八甲田山、雪中行軍演習をふと思い浮かべ、厳しい寒さは無いものの
息も荒くし、やっとの思いで車の所へ戻りました。
アメマスは釣れなかったけれど、あの突発的な、崖崩れに巻き込まれなくて
命拾いをし、神様は、やはり空の上から四六時中、私の事を見ていて
ゴラッ!スキスキ~ッ、仕事をサボるな!と、強く激しく ”Fortissimo”
真面目にしろ!と怒ってくれたのでしょう、ホント、マジ、テラに目の前の
崖が一気に崩落ですから、あと二歩、前に進んで休んでいたら
「 十勝川に 釣り人落ち 行方不明 」なんて、大きな見出しの記事が
地元の新聞 ”かちまい” に、載った事でありましょうし、十勝川に流された
釣り人の捜索は日没となり打ち切られ、明朝7時から地元の消防団員も
参加して捜索が再開される見通しですとか、近くで事故を見ていた
釣り人の話によりますと、初めは、ドスンと言う音がして、二度目の音で・・・
なんて感じで、記者に取材をされた事でしょう。
あのフライマンはアメマスが釣れたかなぁ、釣れていると良いですね。
そう、今年、初めて天然の生きている虫を発見しました。
私にとって、本日は命拾いの日と 「啓蟄」 なのでありました。

おわり