第一章 【 騙された村長 】
可愛いリスさんが暮らしている、とても美しい小さな島がありました。
自然がいっぱいで食べ物にも困らない、エネルギーもたくさん使える島です。
リスさんたちは、なにも不自由なく、争い事もなく平和に豊に暮らしていました。
そして、多くの子供達も生まれて、追う毎にどんどんとリスさんたちは増えて
黄色くて大きな花を咲かせるひまわりの種を、みんなで好きなだけ、お腹いっぱいに
なるまでいつもは食べていましたが、もう、ひまわりの種は残り少なくなってしまい
食べる分を少なくして、我慢をしようと、みんなで話し合って決めました。
みんなで我慢をしていましたが、お腹を空かせて我慢が出来なくなった
そんなリスさんたちが多くなりすぎて、我慢なんかすることなんてないんだ
今あるひまわりの種を全部食べてしまおうと、言い出すリスさんも多くなり始めて
リス島を治める村長さんは、ほとほと困り果てていました。
トントン、村長はご在宅かね、トントン、良いものを持って来たんだが、お留守かね。
ひまわりの種が好きなだけドンドン出て来る、凄い機械を持って来たんだけどね。
リス島の皆さんたちの役に立つ機械なんだがね。トントン、トントン、村長お留守かね。
食べるものを我慢する為に、むだに動かないことを決めて、お昼寝をしていた村長は
トントンとけたたましく、ドアを強く叩く音に起こされて、は~ぁいと少し寝ぼけた声で
返事をしながら家のドアを開けました。
訪ねて来たのはシルクハットを被った、外国イタチでした。
村長は、食べられてしまう事を恐れて、一瞬警戒する素振りを見せました。
村長、何も怖がる事ないあるよ、一瞬、村長は、その片言を聞いて中国イタチかと
思いましたが、そのイタチは、自らをアメリカイタチと自分から名乗りました。
なんだ、アメリカイタチかと村長は安心をしました。
アメリカイタチどん、どんなご用件でいらっしたのですかと、村長は訪ねました。
すると、アメリカイタチは、もう得意げな顔をして、泡を口から吹きながら
唾をペッペッと飛ばしながら、休む間もないぐらいに説明をし始めました。
であるからして、多少の毒はありますが、それは基準値以下でありまして
どんなに長く食べ続けても、絶対に安全でありまして、健康被害や事故などは
一切において心配はなく、しかも、食べ残したひまわりの種を入れると
新しい種が製造する事が出来まして、本当に無駄がない完璧な、夢のような機械で
勿論、あのリス島温暖化の原因でもある、有害なCO2も出しません
しかも、良いですか、此処が壊れても、此処の安全装置が働いて、万か一にでも
危険な状況になりましても、安全装置が働きますから、何も心配はないんです。
好きなだけ、ひまわりの種を製造する事が出来るのです。
アメリカイタチからの、一通りの説明が終わると、ウンウンと頷いていた村長は
なんて素晴らしいんだ、そんな機械があるなんて知らなかった、で、お代は幾らなんだね。
すると、アメリカイタチがそろばんを出して、村長に数字を見せました。
なぁに、こんなに高いのか、もう少し安くなりませんのかと、アメリカイタチに言いました。
アメリカイタチは村長の態度に激怒しました、高いとはなんですか、私達の長年の研究を
あなたは、馬鹿にしているのですかと、えらい剣幕で怒鳴り続けました。
コウショウハ、ウチキリデス、モウ、アナタガタニハ、ウリマセン、クロフネヲムカワセマス
それが、狡賢い、アメリカイタチの手だとは知らない、リス島村長は、ちょっと恐くなって
じゃその値段で買うとして、その機械が届くのはいつになるんだね。
すると、アメリカイタチの顔は急に変わり、ニコニコしながら言いました。
私達の国の技術者が組み立てないとなりませんから、半年後ぐらいでしょうかね。
リス村長は半年と聞いて、もっと早くなりませんかと聞きました。
すると、アメリカイタチは、狡い顔をして、じゃ、急ぐのであれば
それだけの割増料金が必要になりますが、それでも良いのですかと、村長に言いました。
村長は、それは困るというと再び、アメリカイタチは、コウショウハ、ウチキリデス
モウ、アナタガタニハ、ウリマセン、クロフネヲムカワセマスとまた言い出しました。
村長は困り果て、副村長と助役を呼びました。
しかし、アメリカイタチは賢いので、村長の家に向かう前に、副村長と助役の家に行き
100年は暮らせる程の、多くのひまわりの種をこっそりと渡していました。
それを知らない村長は、なぁ君達はどう思うかねと聞きました。
すると助役が手揉みをしながら、それは、追加料金を払ってでも直ぐに買うべきです
これ以上、リス島のリス達に苦しい思いをさせる訳にはいきません。
その声に合わせて、副村長も相づちをしながら、ウンウンと言っています。
そうか、それは、今すぐに買いだな、これでもう、ひまわりの種は好きなだけ
手に入るし、この島のリスたちも、ひもじい思いをしなくて済むし
産業の発展と雇用も生むし、絶対に安全だと言っているし、何もかもの全てが
良いこと尽くめのリス島に生まれ変われるなんて、なんと素晴らしい事なんだ。
少しぐらいの毒が出ても健康を害さない、基準値以下なのだから気にする事などない
さあ、明日からどんどんと建てさせて、どんどんとひまわりの種を製造して貰うぞ
アメリカイタチはニヤニヤとしながら、英文で書かれた契約書を出しました。
村長は有頂天になり、契約書の中身を読まずに判子をペタンと押しました。
ペタンと判子を押したその後に、アメリカイタチは含み笑いをしながら
何ページにも渡る分厚い英文の取扱説明書と、運用にあたっての取り扱い注意が
詳しく書かれたこれまた、分厚い書類を村長に渡しました。
リス島の皆さんアリガトウゴセーマシタデゴワス、何か変な日本語を残して
アメリカイタチは、国へ帰ってしまいました。
村長は、アメリカイタチが帰った数日後に、取り扱い説明書を時短を片手に読みました。
スリーマイル島では、と書かれたページには、騙しとか誤魔化しの文字が列んでいて
驚いて、副村長と助役を呼びました。
すると、副村長と助役が書類を辞書も使わずにパラパラと捲り、村長にこう言いました。
たいしたことではありませんね、これは、技術上の問題で希にある事らしいですよ
村長、何も神経質になる事なんてありませんよ、私達はもう、動き出してしまったのですから
後は全て隠す続けるしかないんです、こんな重い責任なんて執れる訳がないのですから
もう、いっしょに泥船に乗ってしまったのだから、如何にこの船を沈ませないか頑張るだけ
嘘を突き続けるしかないんです、村長、こんな事がリス島のリス達に知られたら
リス達が暴徒と化して、村長の家に集まって、力尽くであすこの木に、吊されてしまいますよ。
村長はそこで始めて、ひまわりの種製造機は、とても恐ろしい機械だと知ったのでありました。
日も落ちかけ暗くなりかけた森では、カラスが1羽、元気良くアホウアホウと鳴いています。
つづく
さて、第一章 【 騙された村長 】に続く、第2章 【 リス達の運命 】では
リス島に住んでいるリス達の運命と、怪しい片言を使う謎に包まれた、狡賢い
アメリカイタチに完全に騙された、村長の運命がどの様になって行くのか
猿でも分かるように、原子力発電所に重ねた物語が続きます。
< こ の 物 語 を 読 む 時 の 注 意 >
この物語は五感を研ぎ澄ませ、無心になり呼んだ時にだけ、第六感が働きだして
まるでそれは、飛び出す絵本のように感じますが、殆どのPCのCRT、モニターは
3Dの対応機種にはなっていませんので、それは明かな錯覚ですのでご注意下さい。
手で襟首を掴もうとしたり、憎たらしくて殴ろうとしても無駄です。
CRTやモニターを破損したり、画面に拳を突き出して手を痛める危険性も
十分にありますのでご注意されまして、また、携帯電話でご覧になられている方は
携帯電話を思わず放り投げ、落ちた所を踏み潰して、携帯電話を破壊してしまうなど
不測の事態を招く場合もありますので、必ず、携帯電話のストラップを
手首に巻いてお読みになります事をお願い申し上げます。
第一章は おわり