街路樹に実った 真っ赤なナナカマドの実
美味しそうな実 ちょっと食べてみよう
うあ 渋い ぐへ ニガイ
こんなマズイ実を 鳥達は食べているんだね
甘い実じゃないから誰にも食べられずに
冬の終わり近くまで枝に実った侭
これが鳥達の冬の保存食になるんだね
見渡せば枯れた木々の褐色に包まれた街の風景
時折吹く寒風に肩をすぼめて歩く人々の姿
葉もなく寒々しい木々が列ぶ殺風景な歩道
コートの襟を立て肩をすぼめて歩道を歩きながら
燃えるような真っ赤な実を見付けると
誰が植えたのだろうかと赤い実に目を向ける
真っ赤な実に積もる雪
炎のような赤は雪を溶かす事なくと眠り
小さな生命を守り続けている
誰が植えたのだろう
優しい気持ちが込められた
そんな街路樹のナナカマド
甘い実であれば みんなが寄って集って食べてしまう
食べてしまえば なくなってしまう
なくなってから 泣いても始まらない
なくさないように しないとね
そんな事は 貴様ら平民に言われなくても知っているさ
ちゃんと計画的に 我々は食べている
よけいな心配は無用だよ 我々の言うことを貴様ら平民は
黙って聞いていれば 飢えることはないんだ
さあ実の数を数えようか
公平に分配するから 目の前で数えるからな
始めに役人が貰う分の実の数を10個 数えるぞ
はじめ 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 おわり
さあ 次は 平民達の分を数えるぞ
一 二 三 四 五 六 七 八 九 十
ほら 同じ10個だろ 平民も役人も同じ数 公平なんだ
目の前で数えて分けたから ズルはしていないぞ 分かったか 平民ども