記事にするのが少し遅くなってしまいましたが
今週の火曜日 8月19日に立川シネマシティで
劇場版『名探偵ホームズ』の鑑賞と
同時に行われた本作脚本の片渕さんトークイベントを観に行ってきました
片渕さんはあの名作アニメ映画『この世界の片隅に』監督の
片渕須直さんのことです
『名探偵ホームズ』というアニメ作品は
ある程度年配のアニメ好きな方であれば、恐らく見てはいなくてもタイトル名だけは聞いたことがあるかも知れません
で、さらに
アニメ関連のアレコレを調べるようなオタク寄りの方であれば
この作品の少し複雑な出自についてご存知かも知れません
『名探偵ホームズ』とはそういう作品です
この作品は初公開が『風の谷のナウシカ』の同時上映作品だったので1984年3月で
その時に公開されたのが
「青い紅玉(ルビー)」と
「海底の財宝」の2本
宮崎駿監督の劇場版でナウシカの次作
『天空の城ラピュタ』との同時上映として1986年8月公開の
「ミセス・ハドソン人質事件」と
「ドーバー海峡の大空中戦」の2本
今回の復刻上映はそれら4作品の上映で
この4作品は片渕須直さんが脚本ということで
今回の復刻上映の目玉として「脚本」片渕氏によるトークショー付きの上映
というのが私が観に行った回の概要です
少し掘り下げたお話は後述するとして
私自身としてはナウシカもラピュタも映画公開当時に映画館に観に行ってるので
映画館へ足を運んだ目的はナウシカとラピュタであるにせよ
今回復刻上映の4本は公開当時に映画館で鑑賞してます
それ以降ビデオ化されたものでは自宅で何十回も見てるけど
映画館で真の劇場版を鑑賞するのは当時以来
実に40年振りということになります
(歳とったなあ、、、)
来場特典として復刻上映のチラシと
同デザインのポストカードをいただきました
作品の出自はとても複雑で
その関係でメインキャラの声優さんが84年版と86年版で変わっていたり
「海底の財宝」は発注元(イタリアの会社)の指示で色彩設計を変更させられたために塗り終わっていたセルを廃棄して新色で塗り直したそうで
そのため「青い紅玉」と2作続けての上映だったのに色が変わっていたり
などなど
裏でのゴタゴタを知ってしまうと作品自体の目に見えるところにもその出自の複雑さが垣間見えてしまうアニメ作品ではあるけど
そういうことを知らずに見れば
(公開当時の私はそうでした)
とても楽しく面白いアクションとコメディの娯楽作品です
端的に例えるとルパンや未来少年コナンなどの時代の宮崎アニメそのものです
(ルパンは宮崎監督以外の作品も多数あるけど、類似するのはあくまで宮崎駿さんが演出・監督されたものに限ります)
やたら飛行機が出てきたり、相棒(本作ではワトソン)と行動を共にしてドタバタアクションがあったり
それら物語の要素はルパンやコナンにも通じる宮崎アニメそのものなので
最近(と言っても6~7年前)までは私はてっきりこの作品のストーリー原案は宮崎さんが考えられたものだとばかり思っていたのですが
… つまり初めて鑑賞してから30年以上ずっとそう思ってた
ところが
片渕さんの自伝書「終らない物語」を読んだ時に私は初めて知ったのですが
実はこれら4作品は原案から片渕須直さんが自ら考えて作られた物語だったのです
しかも
片渕さんが最初の「青い紅玉」の脚本を製作したのは大学在学中に宮崎さんからの依頼で
というのですから
それを初めて知った時(本で読んだ時)は本当に驚きました
1981年から82年の頃のことだそうです
(ということは片渕監督が21~22歳の頃)
トークイベントで片渕さんは
「宮崎さんはコナンでもルパンでも脚本から色々変えてしまっていたけど、ホームズの脚本は自分の書いたセリフがかなりそのまま採用されている」
と語られてました
もちろん片渕さんが提出した原案の脚本そのままではなく、宮崎監督の指示でいくつかの手直しは入ったものの
「ことのほか自分が考えたことがそっくりそのまま完成画面にまで採用されている」
と上記の自伝本の中でも書かれていて
そこら辺の本作脚本の成り立ちについては
片渕さんが宮崎監督から脚本を任されるに至った経緯まで含めて「終らない物語」に詳しく書かれています
そのような脚本の成り立ちに限らず
今回のトークイベントで片渕さんがお話しされていたことは
私自身は「終らない物語」を読んで予備知識があったのでお話しの内容もすんなり理解出来たのですが
もしもそういう予備知識がまったく無しだとしたら
今回のトークイベントで片渕さんが話されたことすべては理解しきれなかったかも知れないかな?
と思いました
つまりは、今回のトークイベントはそういうある程度の前提知識があるファン層向けだったように私は感じました
なのでトークイベントの内容をここで要約して書こうにも
まずは前提となる当時話を解説しないと話の前後が成り立たないため
この記事でトークイベントでの片渕さんのお話しをひとつひとつ挙げるのはやめておこうと思うのですが
特に印象深かったエピソードをひとつだけあげると
サブタイトル「ドーバー海峡の大空中戦」は
元々 片渕さんが考えた脚本では「ドーバーの白い崖」だったのが「ドーバー海峡の大空中戦」に変えられてしまった
… ということを少し怒り気味に話されていたことが印象的でした
なぜサブタイトルが変えられてしまったのか
そして単に自分の案が採用されなかったからの怒りなのか、もっとややこしいところでの怒りなのか
「タイトルを変えられてしまった」と語っておられた時の片渕さんの口調からは
世に明かされてること以外でもこの作品にはまだまだ色々なことがあったのだろうな、と感じられるお話しでした
ということで製作から公開に至るまでの色々な逸話の出てくる本作「ホームズ」
表面的なところはウィキペディアを読めば複雑さの一端はわかります
より深いところは
私の知る限りでは片渕さんが書かれた「終らない物語」が一番詳しいかと
私は本にサインももらってますv (ただの自慢ですw)
映画を見て帰ってきて
懐かしくなったので当時のなにか残ってるか漁ってみたら
まず
ラピュタと併映の時の「ミセス・ハドソン人質事件」「ドーバー海峡の大空中戦」のパンフレットは持ってました
今となっては結構貴重かもね
最初に公開された84年版「青い紅玉」と「海底の財宝」の時のパンフレットは残念ながら持ってませんでした
同時上映のナウシカのパンフは持ってるけどホームズのは無い
私が宮崎アニメを追っかけ始めたのはナウシカで衝撃を受けてからなので
このとき同時上映のホームズのことはまだまったく予備知識も興味も無くて
だからパンフレットも買わなかったのかなあ?
と、今頃になって後悔
そのナウシカの時はどうだったのよ、って探してたら
こんなのが出てきた
当時新聞の切り抜き
しっかりと
「同時上映 名探偵ホームズ」ってなってますね
この広告はナウシカのアンコール上映で1984年7月のもの
初公開は3月だったので一旦終了してから夏休みの復活上映って感じだったのかな?
なぜこの広告だけ切り抜き保存していたのか
当時の自分の行動原理は今となっては思い出せないけどwww
名探偵ホームズの復刻上映は期間も地域も限られているけど
作品を見るだけなら現在では配信でも視聴可能です
私が加入しているdアニメストアでは4作とも配信されてました
宮崎アニメが好きだけど『名探偵ホームズ』は未見という方は
一度配信でご覧になってみても良いかも知れませんね
単純に面白い娯楽作品です
同じホームズでも宮崎駿さんが監督されてる作品とそうでない作品ではかなり違うので
私の個人的オススメは宮崎監督分のほうではありますけど