岡田磨里監督のアニメ映画
『アリスとテレスのまぼろし工場』
公開初日の昨日9月15日と
そして翌日の今日2回目を見に行ってきました
初日の昨日に1回目の鑑賞
ところが
なかなかに内容が手強くて(?)
自分の理解力の低さでは1度観ただけでは色々とまだ咀嚼しきれなくて
今日2回目を観てようやく少しだけ理解が追いついた(かも?)
…って感じです
なんか凄い作品なのです
ひと言で言うと
岡田磨里さんの作家性が全開
と表現すればよいのか、、、
思春期の少年少女が出てきて色々あったけど恋愛してしゃんしゃん
みたいな、アニメでありがちな展開を期待などして見に行ったら
間違いなく「なんだこりゃ?」でしょうねw
もちろん岡田磨里さんのこれまでの作品を観てればそんなありがちなテンプレ的恋愛物語を作るはずもないことはわかってるので
私の場合はそうではなく
前監督作『さよならの朝に約束の花をかざろう』(さよ朝)や
前脚本作『空の青さを知る人よ』(空青)
などの系譜のようなイメージを勝手に想像して初鑑賞したのですが
ことはそんな単純では無かった(?)
いや
情報をそぎ落としてシンプルに考えれば
なるほど岡田磨里さんらしさ全開のシナリオなんだけど
そして今作では今までにも増して物語からのメッセージ性が強い
よく噛み砕くと色々な力強いメッセージや比喩が込められていると感じます
「泣ける」「泣けない」も含めた一切のネタバレ無しで感想を言うと
「これから観に行く人は心して観に行ってね」
くらいかなあ?
なんじゃそれ(笑)
少なくとも
わかりやすくて、ラストで問題解決して感動のフィナーレを迎える
というようなスカッとする物語を期待する人には
多分合わない作品です
なのでレビューの評点はあまり高くならないかも?
刺さる人には強烈に刺さるという感じの作品ですよね
それにしても岡田磨里さんという方はスゴイと思います
脚本家なので頭の中で創造した映像を文章化することを生業にしているとは言え
そのこととアニメーションの監督をすることとは別の話であることは明らかで
だからこそどんなに人気と実力のある脚本家の方でもアニメ監督までしている人はいない
アニメ監督が脚本も書くというケースは多くても
脚本家がアニメ監督をするという作品は
少なくとも今作のようにガッツリ製作委員会が組まれてる商業作品においては、それをやってる人は岡田磨里さんただ一人しかいないはずで
それほど唯一無二の才能の方だとあらためて感じました
本編の内容ネタバレにはならないと思うので個人的に興味深かった点をひとつ上げておくと
劇中に秩父の武甲山を思わせるような山体の山が一瞬出てきて
武甲山というのは埼玉県秩父市にある、秩父のランドマーク的存在の山なのですが
これは『空青』に登場した集会所から見える武甲山
岡田監督の出身地である秩父から本作にも武甲山を入れたのかと最初観た時に思ったら
実際は『アリスとテレス』に出てくる山は岡田監督指示ではなく東地美術監督の発案だということだったのですが
武甲山については調べてもらえばわかるのですが
この山と『アリスとテレス』の舞台設定との共通項は結構あって
実際、本作の協力として「秩父太平洋セメント」がテロップに出てくるし
そして岡田さんが秩父3部作の3作目『空青』で描いていた
地元に閉じ込められた閉塞感のような鬱屈した感情も同様
制作陣の意図的かどうかは別としても
劇中に出てきた武甲山を連想する山を見た時に
私の受け止めとしては『空青』ともつながるテーマとメッセージがこの物語にも内包されているように感じました
ところで早速いろいろな記事で
「さすが MAPPAならではの素晴らしい映像」
みたいな褒め言葉をよく見るのですが
私個人的には
それは半分その通りだけどそれがすべてではないよね
と思っていて
確かに製作スタジオのMAPPAさんの力量によるところは大きいとしても
この作品のメインスタッフが
副監督 平松禎史さん
キャラデザ・総作画監督 石井百合子さん
美術監督 東地和生さん
という
『さよ朝』チームの再集結という点こそが
本作の映像面の素晴らしさを決定付けていると思うのです
特に映像表現の美しさといった面では
東地さんによる絵画作品のような芸術的な美術と
石井さんによる『さよ朝』からさらに進化したキャラクターの絵作り
などによるところがとても大きいのではないでしょうか
そんなお二人はMAPPA所属ではないですし
だから「さすがMAPPA」だけでは説明が足りてないかと
私の2回目鑑賞は公開2日目に行ったのですが
この回は新宿ピカデリーの舞台挨拶回でした
登壇者は
監督の岡田磨里さん
菊入正宗役の榎木淳弥さん
佐上睦実役の上田麗奈さん
五実役の久野美咲さん
菊入昭宗役の瀬戸康史さん
菊入時宗役の林遺都さん
#まぼろし工場 公開記念舞台挨拶ご来場ありがとうございました𖤐´- #榎木淳弥 さん #上田麗奈 さん #久野美咲 さん #林遣都 さん #瀬戸康史 さんの集合写真📸改めて舞台挨拶レポートをアップ予定ですので、皆さまお楽しみに♪ pic.twitter.com/SiIpTzTpEf
— 映画「アリスとテレスのまぼろし工場」公式|大ヒット上映中 (@maboroshi_2023) September 16, 2023
1回目の上映後舞台挨拶がとれなくて2回目の上映前挨拶だったので、物語に突っ込んだ話は聞けなかったけど
久野美咲さんは先日のユーフォ舞台挨拶でお声を聞いたばかりで、すぐにまた別作品でこうして見ることが出来て個人的にウルトララッキー
そして上田麗奈さんは
それこそ今放送中の『わた婚』の美世の声、あのままで
いやあー
生声を聴いているだけで癒されるう
ところで今回の新宿ピカデリーでの舞台挨拶回では観客の男女比が半々かと感じるほどに女性客が多かったけど
これって作品が女性受けなのか?
それとも舞台挨拶登壇の男性陣目当てなのか?
どっちだったんでしょうね(笑)
中島みゆきさんによる主題歌「心音」は
映画本編を観てから聴くと本当に神曲!!
予告編