私のブログ上ではロケ地巡りだけ書いている
『空の青さを知る人よ』

そろそろ感想も書いておかねば
・・・ということで

『空の青さを知る人よ』 略して『空青』の感想をまとめておきたいと思います

 

 




まず初めて観終わったときに率直に感じたのは
やっぱ「超平和バスターズシリーズ」は外さないな(^o^)
ってことでした

この場合の「外さない」は
わたしの中での期待値に対してということで
間違っても「上中下」の「中」ではありません
自分の中で「上」レベルの中でさらに上を期待しているレベル、

それを外してないという意味です

少なくとも「超平和バスターズ」シリーズ
前2作の『あの花』『ここさけ』(いずれも略題)には立派に肩を並べる作品だなあ  と

個人的な嗜好があるのは当然だけど、

3部作の中では自分は最新の『空青』が一番好きかな?と

これはそれぞれの作品の熱烈なファンの方がいらっしゃるので、あくまでも自分の個人的感想として、の話なんだけど

『あの花』『ここさけ』よりも、『空青』で見えてくるテーマ、そしてその物語の展開のさせ方の方が自分には切実に響いてきて、

そして3作の中で一番観終わったときの幸福感が高いから
 

という理由なのですが



物語は主人公 相生あおいの姉:あかねの元恋人 金室慎之介が13年振りに故郷の秩父に戻ってきたのと時を同じくして、その慎之介の13年前 18才のときの彼=通称「しんの」がどういうわけかあおい達の前に姿を現すことで展開していく、

これは完全なファンタジーの物語ではあるけれど

わたしの場合はその18才のしんの 

彼が地縛霊なのかどうか、

なぜそこに出現したかなどということにはほとんど興味が無いし(笑)


まして「しんの」の存在自体がご都合主義だなんていうふうには1ミリも感じないし

だから自分は13年前の慎之介=18才のしんの と現在の慎之介が同時に存在すること自体を物語の構成として受け入れられるわけで

受け入れられるどころか、この物語を作るうえでの必然が「しんの」の存在だと感じていて


この、現在の自分と13年前の自分が同時に現在に存在して、それにより現在の自分が世間の荒波で思い通りに行かず投げやりになって忘れかけていたことを、目の前に存在する過去の自分が気付かせてくれるという、本作のストーリーの骨格とも言うべきアイデアはとても斬新で、思い切りが良くスカッとして、不思議だけど何とも素敵な、映画ならではの体験だと私は思うのです

これが単に「あのときはあんなこと考えていたなあ」と過去を振り返るだけの物語であれば、そういう展開の物語はいくらでもあって目新しさもないけれど


霊だかなんだかわからないけど、とにかくそこに過去の自分の実体がいる ということが、この物語にとってのキモになっていて、

それが良いと思うのです

過去の自分の実体と対峙するからこそ、この物語は成立しているし、そのことが大きな共感や感動につながる展開を可能にしている


それが私の率直な感想です

そして『あの花』『ここさけ』では高校生世代の物語であったのが、今回はそれプラス31才が登場する大人の物語でもあるので、そこはやはり大人目線では入り込みやすいなあ  と

だから3部作の中で自分としては一番響くかな?と感じます


などと、ここまで書いた私の感想は、これは年代的にある程度社会でもまれて現実を理解してしまった年齢層の感想かもしれないですね(笑)

本作のメインストリームとしてはやはり高校2年のあおいの恋物語のほうなのでしょう

なので若い人たちがこの映画を観ての感想はあおい目線での感想になるのかな?と思います


つまり、この映画は観る人の年代や立場によって物語の中で響くところが明らかに違うだろうな、というのが私の感想で

私の場合はもちろんあおいの恋物語も切なくて話に惹き込まれはするのですが、


それ以上にしんのや慎之介の思いであったり、
そしてやはりあおいの姉 あかねの境遇と振る舞いに心が揺さぶられたりするのです

そのように空青は、若い人にも少し年令の高い人にも、

それぞれに感動するポイントが練り込まれた物語になっているのではないかな?と思います



それにしても
「井の中の蛙 大海を知らず」
「されど空の青さを知る」

 


(予告編動画より)

 

この「されど空の青さを知る」に込められた意味が清々しい  というのかな

いいですね、とてもニコニコ


題名にもなっている「空の青さを知る」は
映画の中でそれぞれがそれぞれの立場で語るのですが

「されど空の青さを知る」

その意味するところをどう解釈するのかは人によりけりかも知れませんね


「井の中の蛙」は、本作では秩父という土地にいる自分を自虐的に例えてもいるのですが
 

これを色々と自分の例にあてはめることが出来るのではないでしょうか?

そのように自分の置かれた環境で考えた時の
「されど空の青さを知る」
その意味するところを考えれば、


この言葉は自分達が日常でもがく中での救いの言葉として響くようにも私は感じます


物語自体についての私の感想はまとまりがないけどそんな感じです



ところでこの作品、私は映画公開を待ちきれずに(?) 小説版の方を先に読んでいたのですが

 


小説で読んだだけの時点では主人公の相生あおいについては強烈に嫌悪感を感じていました

なんだかクソ生意気なだけで世間知らずの、ちっともかわいくないガキ

それが小説版を読んだときの私のあおいに対する見方でした


ところが映画を観たら、そんなあおいに対する嫌悪感が大幅に薄らぎました

小説と映画であおいは同じ言葉を吐いているのに、です

別にアニメになってアニメキャラのあおいに萌えたわけではありません(笑)

アニメキャラになっても外見だけで見ればクソ生意気で可愛げのない顔をしているし(笑笑)



小説と映画で印象が変わった理由の一番は、その声と演技力だと私は思っています

あおい役の声は若山詩音さんですが、若山さんの声があおいにとても良く合っていると感じるのと


そして吐き出す刺々しい言葉の裏にも、あおいの少女としての揺れ動く感情を見事な演技で表現している感じがするのです

 



だから私の感想としては、若山詩音さんの声と演技があおいというキャラを救ったなあ と思うのです


そして声と演技という点で言えば、金室慎之介(31才)としんの(18才)の二役の声を担当した吉沢亮さんが抜群に良かったのではないかな?


私はアニメの声に俳優を配役するのが基本的に大っ嫌いで

 

安易に人気取りしてんじゃねーよ!  と

俳優をキャストに起用した時点でそのアニメ作品の事前期待値は私の場合マイナス50点オーバーなんだけど

しんの&慎之介役の吉沢さんに関してはとても良かったので、プラス100点の加点をします(笑)


とにかくまずその声質が18才のしんのの風貌と性格にピッタリ!

 



そして31才の慎之介のやさぐれ感も、本当にその年代の人が声をあててるように聞こえるほど

 




普通のセリフも良かったのだけど、自分が「おおっ!」と特に惹かれたのは歌のシーンで

劇中で31才慎之介が「空の青さを知る人よ」をあかねのリクエストで歌う場面があって

もちろん吉沢さんが役として歌うわけだけれど、

元恋人のあかねを前にして

「♪君の横顔を探している♪」
という歌詞のところでの感極まった感が絶妙なんですOK

歌いながら「あっ、ヤベエ」って慎之介が思ったであろう感が絶妙で

それが上手いなあ、って拍手拍手

是非映画館でその場面を見ていただければ  と思います


何といってもこの作品では18才のしんのが物語を動かす中心のわけだから、そのしんのの声や演技次第で作品の評価が分かれてしまうはずだけど

吉沢さんのしんの&慎之介役は大正解だったのではないかな と個人的には感じます


キャストで言えば、小学生のツグ こと中村正嗣役の大地葉さん、

あおいの同級生 大滝知佳役の種﨑敦美さんなど、

プロの声優陣はさすがですね


安心して見ていられます


唯一(とても)残念だったのは姉のあかね役の吉岡里帆さん

声質はあかねの性格・風貌に合っていると思います

 



ただ、ところどころで話し方に違和感を感じる場面があったかなあ?って

すべてではないけど、

中には「シロートかよ!」ってところがもやもや


こういうことになるから、やっぱりアニメには基本は声優さんを起用した方が良いと思うんだけど

あか姉はこの作品では自分のイチ押しキャラだったので余計に残念(>_<)

 

 

 

アニメのビジュアル的には

 

キャラ設定と総作画監督が人気アニメーターの田中将賀氏ですから、

さすがです

 

特に個人的にグッと心を掴まれたのが、あおいが自宅で一人でいるときの何気ない仕草の描き方ですね

 

ダラーッと横になっているところからの起き上がる動作とか

いくつかのシーンがあるのですが

 

それらの動きはアニメの動きの表現として惚れ惚れしました

 

 

そして、これも作画監督や監督の手腕によるところが大きいと思うのですが

 

全編を通してキャラの統一感、

要するに失敗する例ではカットによってちょっと違う顔になってしまったりとか、

そういう点での完成度も良く出来ていると思います

 

この点だけについて言えば『天気の子』よりも上ではないでしょうか?

 

 

そして本作では、最近のアニメ劇場版の多くがそうなのですが

風景などの背景画の描き込みがとにかく美しい

 

それは絵画的な美しさのある自然の風景の描写であったり

 

 

背景画がとても美しく、そして絵画的ではあるけど緻密でリアルに描かれているので

 

・・・だから自分の場合は余計にロケ地巡りをしたくなるわけですが(笑)

 





音楽の面では

やはり本作ではあいみょんの音楽がとにかく秀逸でしょ!

現在ヒットチャート上位になっている「空の青さを知る人よ」は劇中主題歌として流れるけど、

 

それがまた憎い場面でかかるわけです

あの曲の内容であの場面で流れてきたら、

 

それはイチコロです(笑)


そしてこの曲、チャート上位だから当然日常の中でも時々聞こえてくるんですよね

そうすると、

この曲を聞いてしまうと・・・


また映画を観に行きたくなってしまう症候群が(;´Д`A ```

これはズルイ!!(笑)

それくらい作品の中でのある場面で心に響いてくる曲 ですね


そしてあいみょんの曲ではもう一曲

 「葵」が主題歌として
この曲はエンディングで流れる主題歌だけど

この曲がまたとっても良いですね


この作品のエンドロールは単にスタッフクレジットが流れるだけでなくて、そのエンドロールの中で物語が進んでいるので必見なのですが

そこで進んでいく物語の上に重なって流れる「葵」という主題歌が、物語の内容と合わせて映画を見終わったときの幸福感を最高に高めてくれるのです

これはネタバレになってしまうので実際に劇場で見ていただくしか説明のしようが無いのですが


とにかくこの作品のエンドロールは『空青』という映画をハッピーエンドで終らせるために必要な物語と音楽になっていて

その主題歌「葵」の曲は、自分の場合は映画が終わってもしばらくの間脳内リフレイン状態(笑)

 

おかげで思わずあいみょんの主題歌CDを買ってしまったよ(;^_^A

 

空の青さを知る人よ 空の青さを知る人よ
1,080円
Amazon

 

「空の青さを知る人よ」と「葵」の2曲が入ったシングルCDです

 

 

 

以上


語りだしたらついついまとまりもなく長くなってしまいましたがアセアセ

とても良い作品だと思いますグッウインク

 

 

 

 

 

空の青さを知る人よ 公式ページ