私の超お気に入り作品の
『響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』
遅まきながらこの映画について、あれこれ思っていることを勝手に書いていくシリーズ化 (笑)
今回はその第3回目です
内容的にネタバレは避けられませんので、ネタバレしまくりで書いてしまいます
ネタバレしてほしくない という方はどうかご注意くださいませ
本日のテーマは ↓
【吉川優子部長のリーダー像】
TVシリーズのときには二年生で、シリーズ1期のときには嫌われ役を演じていた「でかリボン」こと吉川優子
1期では嫌われ役だったけど、2期では1期のときの汚名返上!
とても良い先輩である姿が随所で描かれてました
そんな吉川優子
『誓いのフィナーレ』では三年生に進級し北宇治高校吹奏楽部の部長となって活躍している姿が描かれています
「部長になったことで思うところがあって髪を少し短くして、リボンも少しだけ小さくなった」
・・・とはキャラデザインの京アニ 池田総作画監督のお話ですが
観客の立場で本シリーズを見ていてTVシリーズの頃から一番変わった=成長した と感じられるのは吉川部長ではないでしょうか
(以下個人的な親しみを込めて(笑) 優子部長とします)
CV.の山岡ゆりさんの見解では、実は芯の通ってる子なので本質のところは二年生(TVシリーズ)のときから変わってはいなくて、今回は部長の立場として登場しているために変わったように見える
というお話なのですが
TVシリーズの2年のときにはキャンキャンやっていた優子が部長になってからの姿は、率直に「成長したなあ」って感心してしまいます
この優子の部長としてのふるまいが、わたしはリーダーとしてのひとつの理想的な姿だと感じるので今回取り上げてみたいと思いました
まああくまでも創作物語の中の話なので理想的なリーダーとして描かれていただけ、と言ってしまえばそれまでなんですが(^^ゞ
(元も子もないか 笑)
それでも「リーダーとはこうあるべき」というひとつの姿が描かれているので、現実社会に置き換えて考えてみるのも無駄ではないと思うわけです
・・・あくまで「理想としてのひとつの姿」であって、必ずこうでなければいけないとまでは思ってませんが
では優子部長のどんなところに感心したのか
映画の中ではまず、新一年生が入部してからの全体MTGで部活の目標を「全国大会金賞」にすることを全員の前で決定して、全員の共通目標にしています
つまり会社組織的に言うと、
期初に成果目標を具体的に定めて、それを組織内全員で共有してベクトルを合わせている という言い方ですかね?
しかもなぜその目標にするのか という点をきちんと自分の言葉で全員に伝えている点も
「口先だけのスローガンなら誰でも出来る。 やるからには本気でやりたい」
だから全国大会で金賞をとることを目標にするのだ と
このとき身を乗り出して全員の目を見て主張するビジュアル的な演出は、さすが京アニだと思います
組織を束ねるまず第一段階としてリーダーが必ずしなければいけないことを、優子はしっかりと実行しているなあ と私は感じます
そして部長の姿として一番感動するのは
やはり関西大会ダメ金で失意のどん底に沈んでいた部員達への言葉ではないでしょうか?
模範的 と個人的に感心してしまうのは、このとき一切ネガティブな発言をしていないんです
自分自身が恐らく一番落ち込んでいるはずなのに、部員達の前ではそんな素振りは一切見せてません
目標としていた全国金賞どころか全国大会への出場すら叶わなかった
普通であれば「悔しい」とか、「自分の力が足りなかった」とか
そんなマイナスの言葉をつい発してしまいそうなところで、優子部長は皆に向かってこう言います
「なに落ち込んでんの? 私たちは最高の演奏をした! それは事実でしょ?」
「この経験は絶対に明日につながる。来年につながる。」
そしてこの言葉が出ます
「今日という日は来年のコンクールに向けての1日目、明日からの練習、頑張っていきましょう!」
部員達が待機しているこの場所へ来る直前、優子が部員達のいないところで泣き崩れている様子が一瞬出てきていました
(このとき支えていた夏紀の姿もまた泣かせる)
恐らく優子は責任感があるからこそ今回の敗戦に誰よりも一番ショックを受けていたはずで
しかも自分は三年生なので来年のリベンジはもう自分の世代では叶わない
そんな個人的な感情を部員達の前では一切見せることなくあのコトバです
この場でネガティブなことを言ったところで何の慰めにもならないし、これからの部活にとってプラスになることなどひとつもない
だから優子が皆に発したポジティブな言葉は、リーダーとして模範的であることは間違いないのですが
あの場面でそれを実践出来た吉川優子という人物は、本当に芯の強い人間だと思います
この映画に感動したという人の意見で、一番胸を締め付けられたのがこのときの優子部長の姿だという感想が多いのもうなずけます
普通は、現実社会では、
やはり人間ですからねえ。。。
あれだけの状況の中で、
自分自身が完全ノックアウトを喰らってる中で、
ネガティブ発言を完全に封印してポジティブな発言だけを言える人はどれだけいるでしょうか?
だからこそ このシーン、
リーダーとしてひとつの模範像だと私は思うんです
優子の部長としての活躍は、本作では映画の尺もあるためか描かれていない部分もあって、
原作を読むと優子がリーダーとして行動した、もうひとつ大事なことが書かれてます
それは二年生になった黄前久美子が「黄前相談所」と呼ばれていた理由
映画の中では「黄前相談所」というワードは出てくるものの、エピソード的には一年生の鈴木美玲の件と久石奏の件に関わっていただけなので、「相談所」と聞いても映画を見ただけでは今ひとつピンと来ないかもしれないのですが
「黄前相談所」と名付けて、一年生が悩みを相談したいときには黄前久美子を頼るように仕向けていたのは実は優子部長だった
ということが原作では明かされています
映画の中では黄前久美子と三年の加部友恵を、一年生の指導係として優子部長が紹介しているシーンがありました
その後、久美子が指導係として一年生部員だけを集めてオリエンテーションをしている場面や、基礎練習の指揮をしている場面↓が出てきています
映画的に見れば、それら黄前久美子が一年生指導係として活躍している場面が出てくることによって、本作のラストで久美子が突然新部長になっていても唐突感を感じない演出的効果もあったと思います
そして「黄前相談所作戦」を踏まえてこれらの場面を見れば、久美子は優子部長の作戦にまんまと乗せられて、何も知らされないまま次期部長になるための訓練をさせられていた(笑)
ということにもなります
これらのような黄前相談所作戦は、久美子を次の部長にすることを考えて、一年生への影響力を持たせるためだった ということを、原作では優子自身が言っていて
つまり優子は自分が部長になったときに同時に次の部長候補を選定して、その人物=黄前久美子が一年後に部長としてやっていくための部内の環境整備にも着手していた
ということになります
ただ「後継を誰にするか」を考えただけでなく、「黄前相談所」という仕掛けを発動している点に価値があると思うわけです
これも実際にリーダーの行うべきこととして見習うべき模範的な行動だな と、私は思います
自分が組織を任された時に何をすべきか
・ひとつは組織の目標を設定し、それを達成するための手段を尽くすこと
・もうひとつはその組織が永続的に活動し成長出来る環境を整えること
優子は、自分が部長になった時点ですでに次の世代の組織を想定して今の組織を動かしていた
人が育ち人間関係が構築されるまでにはある程度の時間は必要だから、部活のように1年で自分が引退することがはじめから決定している組織においては、着手は早ければ早い方が良い
だからこその黄前相談所で、映画では新しく入部した一年生を前に優子部長が加部先輩と黄前久美子を紹介しているシーンの裏には、そんな理由があったわけです
以上、
映画の中では吉川優子の部長としての活躍は上にあげた例が垣間見えた程度ですが
それだけでも優子は北宇治吹奏楽部の部長=リーダーとしてまったく文句のつけようのない、実社会でも見習うところの多い理想のリーダー像ではないかな?と私は感じました
今回もまたダラダラと長文になってしまいました
最後まで読んでいただけた方には感謝を申し上げます m(_ _)m
映画の方は上映館もかなり少なくなってしまいましたが
これから上映が始まる映画館もあります
最新の上映館の情報は →こちらです