※今回はかなり長い文面になってしまいました
最後まで読むのには時間が掛かってしまいますm(_ _ )m
昨日から立川のシネマシティで
と銘打って、片渕監督の劇場版3作品が週替わりでの上映スタート!
今週金曜日までの1週間は片渕監督の劇場映画作品デビュー作
「アリーテ姫」の上映です。
アリーテ姫
この作品は片渕監督ファンには知られているのですが、興収的には不発だった作品なので、ご存知ない方のほうが多いと思います。
2001年公開の作品で、ダイアナ・コールスの童話が原作、
片渕監督の劇場長編アニメーション監督デビュー作です。
ごく簡単にあらすじを書くと
中世の王国の姫として生まれたアリーテは、婿となる男性が現れる日まで貞節を守る掟により、城の高い塔の小部屋に幽閉されていたが、城下の町で活き活きと生活する人々の姿を見ては生きることの意味を考え、そしていつの日か外界へ出て自らの手で何かを成し遂げたいと、こっそり城を抜け出しては町の人々の営みを真剣に観察する日々を送っていた。
ある日、百年以上前に滅んだはずの魔法使いの末裔が城にやってきて、姫が自らの意思で発言したり行動したりすることが出来なくなる魔法をかけ、姫を魔法使いのアジトに連れ出して地下牢に監禁してしまう。
魔法をかけられたアリーテ姫は人の言いなりになる魔法により、心の底の意思とは無関係に地下牢でおとなしく日々を送っていたが、
魔法使いの給仕を強制されていた女性がアリーテ姫を救おうと親身になって語りかけたことがきっかけで、姫の自我が復活して魔法が解け...
という物語
このストーリーを読んで、特に囚われの身となってからの展開はあの話しを思い出しませんか?
ルパン三世 カリオストロの城です
アリーテ姫がクラリス、給仕の女 アンプルがルパン三世、と考えると
・・・ね
しかし、アリーテ姫はクラリスとは違って自ら行動を起こして、自ら未来を切り開こうとします。
そのことこそが、この物語のテーマです。
キャッチコピーの「こころのちから」
DVDパッケージのコピーを引用すると
「自分に迷い、自分にできる何かを探している すべての世代の人たちに観てほしい
こころの冒険の物語。」
「すごい魔法が詰まっているんだよ、人のここ(心)には」
というのが、ラスト近くでアリーテ姫が魔法の力を失った元魔法使いの男 ボックスに語りかけるコトバ
アリーテ姫は私の場合は涙を流すような場面はないけれど、片渕監督らしく実直に作り込まれた絵と演出に引き込まれ、強い信念を持って行動することの大切さが伝わってくる
そういう作品です。
ラストに出てくる、その昔に魔法使い一族が作り百年以上もの間飛び続けているという金色の鳥型飛翔体
アリーテは百年以上も悠然と飛び続けるこの不思議な飛翔体を目の当たりにして、
「これも人が作ったものならば、自分にも無限の可能性があるはず」
との思いを強くします。
これはそのまま現代を生きる我々にも通じるメッセージではないでしょうか
ちょこっとだけ豆情報
魔法使い ボックスのCV
~小山剛志さん:この世界の片隅にでは浦野十郎役
給仕 アンプルのCV
~高山みなみさん:魔女の宅急便ではキキ役
さて、前段が長ーくなりましたが、
そのアリーテ姫を観に行ってきました。
久し振りのシネマシティ シティ・ワン
この世界の片隅にを上映してた1年前は毎週通っていたんですけどね
本日は初日ということで、上映後に片渕監督の舞台挨拶があります
超久し振りのfスタジオ!
ここで「この世界の片隅に」が上映されていたのは昨年の4月くらいまでだったか?
そして、満席です(^∇^)
シネマシティの独自の音響調整がされていたのか? どうかはわからないけど、さすがシネマシティ、音響ではどこにも負けませんね!
さて、105分の映画が終了してすぐに、片渕監督の舞台挨拶が始まりました。
今回は2列目の席をとったので、監督がほぼ目の前(≧▽≦)
最前列も取ろうと思えば取れたんですけどね、
最前列だとこちらが緊張してしまいますもんで(笑)
以下、一生懸命メモした内容の一部を書き起こしてみます
【以下の舞台挨拶内容はなぐり書きのメモと記憶からの書き起こしなので、多少の言葉とかニュアンスの違いなどあると思いますが、その点はご容赦ください】
・アリーテ姫は35mmフィルム上映なので、久し振りにロールチェンジマークの出る映画です
・今回アリーテ姫を初めて観たという人?
→ 8割くらいが初めての方のようでした
おお、それはすごい! 上映していただいた甲斐がありました。
ありがとうございます!
・アリーテ姫はDVDしか無くて、しかもレンタルは当時VHSしか無かったのでDVDでのレンタルは無いんです。
かれこれ18年前の作品なので製作委員会の人たちがみんな移動してしまって、原作者との連絡をどうするとか、レンタルやブルーレイ化したいんだけどなかなか進まないんです。
うまい方向が見つかればいいなと思っているんですが、マイマイやこの世界のように自分の手の内にないもので、、、
・フィルムは公開時に作った2巻のフィルム缶が自分のところに保管してあって、こうして上映のときにそのフィルムを持ってきて上映しています。
・今日から東京の渋谷ユーロスペースで「かぞくへ」という映画が公開されています
日大映画学科の同期でソ満国境をつくった松島哲也監督が日大で講師をしていて、その教え子の春本雄二郎という人が、90万円で撮った映画です。
・自分も「この世界の片隅に」のようになんとか自分で映画を作りたいと
最初はアニメをやりたかったようなのですが、監督コースの講義で実写映画に目覚めて撮った作品で、応援してあげたいです。
・彼は年齢は30台後半で、これから作品を持たなきゃいけないと考えて初めて映画を作ったんですね。
・思い返すと自分も同じ年齢の頃に、同じように自分の作品を持ちたいと考えて、
そうして作ったのがアリーテ姫なんです。
・劇場公開は2001年だけど、前の年の12月に渋谷パンテノンのオールナイトでファンタスティック映画祭というところで、大きなスクリーンで満席でしたが、それが初公開
いわゆるジャパンプレミアとなります。
・公開された当時はまだ挨拶をする勇気がなくて逃げ回ってました。
・この映画はその時考えていたことがそのまま出ていて、今同じものを作ろうとしても作れないと思います。
・アリーテ姫が地下牢に閉じ込められて、誰も助けに来ないところで自分で何とかしないと脱出出来ない、だけど脚本の段階ではまだどのように自分で自分を救うのかがわからなかった
そこから絵コンテを書きながら少しずつ出来て行きました
・アリーテ姫は公開翌年からは東京では上映してくれる映画館が無くなった
それでも貫き通して自分で何とかしていこうと
自分が負けてしまってはダメだと
まさにアリーテ姫のテーマと同じ状況でした
その当時はしんどかったです。
・そのときの思いが、マイマイ新子のときには劇場を直接まわって毎回舞台挨拶をすることにつながっていきました
アリーテ姫の物語のテーマは、そのまま当時の片渕監督の置かれていた状況にも当てはまるんだなあ。。としみじみ感じました。
〔ここからは観客からの質問タイム〕
(質問)
青空の色が他とは違う独特な青色だと思いますが、何か意図がありますか?
(監督)
この映画はセル画で、日本画の色を出そうとしました
背景画はすべてハガキ大の紙に書いたものを拡大してます
そうすると筆目が見えるんですね
デジタル処理されても手書き感が出るように工夫してます
(質問)
監督のアニメは滑らかな動きが特徴だと思うんですが、どのように作られてますか?
(監督)
実際に滑らかに見えるところまで何度も試しながら作っていきます
作画を取り込んで動かしてみることの出来る機械で、試行錯誤しながらやってました
今は一人で見たりしてますが、その頃はスタッフ全員で見ながらやってました
(質問)
アリーテ姫の公開された2000年当時では、他のアニメはデジタル化になっていく中で、この作品は懐かしい感じの作風になってますが、どのような意図ですか?
(監督)
この作品を作っている頃に名犬ラッシー(片渕監督のTVアニメ作品)をやっていたんですが、あの感じでキャラクターを昔のものにしてみよう となりました
エヴァンゲリオンのキャラクターデザインをやった貞本君(貞本義行氏)から
「こういうものでもっと激しくやれば?」と言われて、じゃあそうしてみようか と
(質問)
一番最初に出てくるお城がニュルンベルクのお城と似てますけど、どこかモデルにしたお城がありますか?
(監督)
特にここで というのではなくて、典型的なヨーロッパのお城を考えました
実際にはああいうお城は存在しなくて、色々なお城のいいとこ取りです
町並みも同じです
煙突の上に屋根がある家は、クロアチアのザブレグに同じ形の家がありました
この映画をフランスで上映したら、「なんでフランスのお城の映画を作ったのか?」と言われたんですが、フランスのお城を描いたわけではないんです。
どこでもないんだけど、ヨーロッパのどこにでもある城下町のようになってます
(質問)
アンプルってとてもいい女性ですけど、年令はいくつなんですか?
(監督)
アンプルの声は高山みなみさんなんですけど、キャスティングしたときに「なんで私なんでしょう?」って言われまして
高山さんは魔女宅のキキもやられてますけど、少しおばちゃん寄りの声をだしていただくとイメージが合ったんですね。
いくつなんでしょうね? 30才前後だと思いますけど
女性に歳を聞くもんじゃないですね(笑)
(質問)
アリーテは魔法をかけられた時に姿が変わってしまいますけど(補足:元のアリーテ姫は特に美人とは言えない容姿の子供、魔法をかけられて清楚な美人の大人の女性になる)、なぜ姿が変わってしまったんですか?
(監督)
魔法で変身した姿はお城の人たちの理想とする姫としての女性像だけど、アリーテにとってはそうではないんです。
アリーテは地下牢に閉じ込められたけど、彼女にとって外見を(理想のお姫様像に)変えられてしまったことは、地下牢に閉じ込められるよりも彼女自身の自由を奪うことだったと思います。
自分はそうじゃないんだ、ということを自分自身で見つけていったという物語になっているんです
最後にひとことと振られて
今日は観に来ていただいてありがとうございます。
自分はアリーテ姫公開直後のスカスカの客席を覚えているんですが、アリーテ姫でこうして満席になるのはパンテノンでの上映のとき以外無かったんです。
本当に続けてやってきて良かったと思います。
今日の満員の観客席を見ていると、まさにアリーテ姫と同じで自分に出来る努力を続けていくことが大切だなと思います。
今日はどうもありがとうございました。
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これまでアリーテ姫に関してはほとんど情報が無かったので、自分にとっては今回の監督のお話しはとても参考になりました
なかなか作品の内容がわからないままに映画のDVDを買うというのも、普通には手が出しづらいですよね、、、
・・・と思っていたら、なんとラッキーなことに近々テレビで放送されるそうで
テレビといっても地上波ではなく有料のチャンネルですけど
「日本映画専門チャンネル」というチャンネルで
3月に「映画監督・片渕須直の世界」という企画で、
アリーテ姫/マイマイ新子と千年の魔法/この世界の片隅に
3作品の一挙放送があるんです
今回ご紹介したアリーテ姫も放送
![ウインク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/004.png)
さてさて、今週末は土曜日のこのアリーテ姫での監督挨拶に続いて、
日曜日はシアタス調布での「この世界の片隅に」監督舞台挨拶付き上映にも行ってきましたv(^-^)v
次回は、シアタス調布での監督の舞台挨拶内容をご紹介したいと思います