「この世界の片隅に」がこの頭の片隅から離れない今日この頃。

こんな素晴らしい映画作品を作られた片渕監督についてはしかし、私は恥ずかしながらこの作品に出会うまで知りませんでした。

これはいけない。きちんと片渕作品について勉強せねば!ということで、

前作の劇場版作品「マイマイ新子と千年の魔法」のDVDを購入しました。

まず、不思議な題名ですよね。

マイマイとは「つむじ」のことで、新子は主人公の小学3年生の女の子。

表紙の絵の左側の子が新子で、おでこのところにマイマイ(つむじ)がありますね。

だから「マイマイ新子」という題名で、原作は髙城のぶ子さんの小説とのことです。

ちなみに内容の濃い特典DVD付き2枚組みとなっていて、税別5,800円。

内容から言ってリーズナブルですね。映画館3回分ですもん。

 

早速観てみましたが、これもまた素晴らしい作品でした。

子供の世界の物語なので、少年・少女向けではあるけれど、大人が見ても楽しめる・・・宮崎作品や高畑作品に通じる、そして作品のレベルとしてもそれらに肩を並べるほどの出来だと感じました。

怒られることを覚悟で言えば、ハウルやポニョと比べればこちらのほうが遥かに素晴らしい作品と感じます。

私、宮崎監督は本当に尊敬してますが、ポニョだけは一度見たきり二度と見る気がしませんでした。

まあハウルもポニョも児童向けに作られた作品なので、大人が見るものではないのかも知れませんが。

しかしマイマイは、明らかに子供向けの内容にもかかわらず、私のような大人でも二度三度と観たくなる魅力が感じられます。

これ、失礼な例えですが、知らない人に「ジブリ作品だよ」って見せれば、多分何の疑いも無く信じるでしょうね。

それほど、とにかくアニメとしての質の高さは出色の出来です。

こんな素晴らしい作品なのに、映画の興行的には振るわず、知名度も低かったのが不思議。

恐らくは映画会社が子供向け作品という範疇でしか捉えず、大人の観客を呼び込むような活動をしなかったんでしょうね。多分。

ジブリであればそれでも知名度だけで客を引っ張れるんでしょうけど。

 

どこが素晴らしいのかについては、ネットでググれば沢山書き込まれてますので、私などの意見は控えます。

作品を観て思ったことのうちひとつだけ言うと、片渕監督ご自身が言われてることですが、マイマイの描かれた世界は昭和30年で、主人公の新子のお母さんは30歳くらいでしょうか?

ということは、「この世界の片隅に」のすずさんと同い年くらいの女性ということになっていて、「マイマイ」から「この世界」の時代に地続きになっているという感覚が持てた、ということを思いました。

「この世界の片隅に」でのすずさんは、ささやかだけど幸せな日常を戦争によって切り裂かれ、それでも終戦を迎えてからのラストでは小さな幸せを紡ぎながら新たな日々を生活していくわけですが、そこから10年経ったときの日本人はこんな生活、そして再び平和を取り戻して豊かになり始めた風景、というその後のエピソード的な感じです。そんなことを思いました。

その当時の景色や文化についての考証を徹底して、それを丁寧に画面の中に盛り込むという点が、「マイマイ」も「この世界」も徹底されているので、両作品で画風は違っても、感覚として時代のつながりを連想出来る、ということだと理解しました。

「ママイ新子と千年の魔法」  とにかく素晴らしい作品です。