リアル ギャング系スーパースターの誕生物語 | よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

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大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

『RHEINGOLD』

(2022年 ドイツ他)

STORY

 

イスラム革命により迫害された音楽家の両親にもとに生まれたジワ。最初の記憶は刑務所の中だ。数年後、父が有名な音楽家であることから保護され、ドイツのボンへ亡命する。9歳の時にジワはピアノを習い出す。10年後、父は愛人を作って家を出ていき、ジワは反発してピアノを弾かなくなる。その頃、歌がうまい友人・サミーと出会ってHIPHOPに興味を持つようになる。さらにストリートでのし上がるためにボクシングジムで鍛え、「Xatar(カター:クルド語で“危険”)」として有名になっていく。ラッパー・カナコンダやDJ・マエストロと出会い、音楽の楽しさを知っていくものの、クスリの密売容疑で捕まる。出所後、音楽マネジメントを学び始めるジワだが、稼ぎのために闇組織に入り、なんと金塊強盗を実行!ジワは8年の禁固刑が言い渡されたものの、見張りの目を盗んでレコーディングを行い、アルバムを完成させる。獄中から発売したアルバムはヒット、“ギャングスタ・ラッパー”として、さらに音楽プロデューサーとしても、その名を轟かせていく……。
(公式サイトより転載)


ドイツで人気のラッパー

XATARの自伝を元に作られた

実話から着想を得たストーリー。


XATARは映画のために楽曲提供や

台詞の監修までしたそう。

だから本人のお墨付きってことだな。



ジワがシリアの刑務所に

ぶち込まれるところから

いきなり物語は始まる。


狭くて汚ったない雑居房には

受刑者がぎゅうぎゅう詰め。

そんな迫っ苦しい房なのに

人種によって棲み分けされてるのが

面白かった。


しばらくするとジワは呼び出され

「ここから出してやってもいい」と言われるが

その代わりに

「金の在り処を教えろ」と脅された。


「金ならここだ」とジワが口を開いて

奥歯を見せると

刑務官はジワを押さえつけ

ペンチで奥歯を引っこ抜いた。


金の在り処?」

「シリアの刑務所?」

???と思ったところで

ジワが生まれた時に遡り

そこから物語は進んでいく…


めちゃくちゃ面白かった!

人一人分の人生とはとても思えない。

途中で初期設定
忘れそうになったくらいだyo指差し


お母さんはクルド人最強の女戦士。

イスラム革命で迫害された

クルド人たちのコミュニティが爆撃され

身重の体で人々を守り戦い続けるが

産気づいてしまい

洞窟の中でたった一人で男児を出産。

臍の緒を石で叩き切って

ジワ(苦難の子)と名付けた。


肉体も精神もタフなお母ちゃん。

サラ・コナーも真っ青ポーン

それでいて元・良家の子女。

後にジワのお父さんとなる作曲家との

結婚を反対され勘当。

このお母さんの人生もそうとうだよな。



ジワが産まれて家族三人

亡命しようするが捕まってしまう。

だからジワの一番古い記憶は

イランの刑務所の中。


しかしお父さんが作曲家だったため

赤十字に保護され

難民としてフランスに渡ることに。

でもフランスには作曲の仕事がなくて

知り合いの伝手を辿り

ドイツ・ボンへ移った。



ボンでは

難民・移民だらけの団地住まい。

ジワの妹が生まれ家族は四人に。


ジワはお父さんからピアノを教えてもらうが

お父さんすぐ怒鳴り散らす。

教え方ヘタ過ぎ。


見かねたお母さんは

ジワをピアノ教室に通わせた。

お父さんの仕事ではお金が足りないから

お母さんはピアノの先生の家の掃除をして

ジワにピアノを習わせた。



やっとお父さんに

作曲家としての仕事が舞い込んだ。

もうお金の心配は要らない。

そう思っていたのに、、、

お父さん愛人作って出ていった。

お金全部持って。

お父さんクソ過ぎる。


そんなお父さんが

ジワに最後に言い残したのが

「ピアノは続けろよ」だって。

そりゃ

「ピアノなんてぜってーやんねー」

ってなるわなー



難民・移民だらけの街は

猥雑な弱肉強食の世界。

ジワが堕ちていくには十分な環境。


ピアノを弾いていたジワの手は

ボクシングで鍛えた拳に変わった。

やられたらやり返す。

殴られたら殴り返す。

それがストリートの掟。

ジワに手を出すヤツはもういなくなった。

人々は彼を

「XATAR(危ないヤツ)」と呼ぶようになった。



そしてもうここからは

Like a rolling stone。

面白いように転がっていく。

仲間と一緒に転がっていく。


ま、確かに堕ちていってるんだけど

この人の生き方

ものすごくエネルギッシュで

好奇心に満ち溢れてる。

で、行動力がこれまたすごい。



なによりこの人

根っこに音楽が染み付いちゃってる。


ジワにはいつも仲間がいて

で、そこにはいつも音楽があって

それがどんな状況でも。


ジワは自分を表現するものが

音楽(ラップ)だって

根っこで分かってるんだよなー



壮絶で悲惨な物語として

描くこともできると思うけど

マイノリティのど根性

転んでもただでは起きない的な描き方が

初期のファティ・アキンっぽくて 

私は好きだった。


『ソウル・キッチン』の

八方塞がりからの大逆転とかね。


↓『ソウル・キッチン』レビュー


調べてみたら

ボンというのは

住民の約1/3が移民ルーツ。

多種多様な民族、宗教が集まった

雑多な街なんだな。


トルコ系ドイツ人の

ファティ・アキンの作品に出てくる人たちは

いつも様々なルーツを持つ人ばかり。

世の中なんて

所詮マイノリティの集まり。

そう思わせてくれるから好き。


ラップ好き

音楽好き

面白い映画を探してる人なら

きっと楽しめるんじゃないかな。

よしすけ全力でおすすめ‼️


ちなみに

カター役のエミリオ・ザクラヤ

めちゃかっこいい乙女のトキメキ

↓本物のXATARはいかにもギャング系爆笑