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大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

『彼女たちの革命前夜』

(2019年 イギリス)


男性主義社会を変えようと

真正面から挑む活動家のサリーは

娘を連れて離婚した後

内縁の夫に家事を任せて

大学入学試験を見事に突破したが

女性であるが故に

大学で不当な扱いを受けている。


サリーは女性会議で

活動家のジョーと知り合うが

違法行為も厭わない

彼女たちのやり方が理解出来ない。

ジョーもまた堅物のサリーことを

馬鹿にしていた。


1970年、ロンドンでの

ミス・ワールド開催が決まった。


アプローチの仕方は違えど

サリーもジョーも意見は同じ。

「ミス・ワールド阻止!」

サリーもジョーのグループに参加し

共に活動し始めるのだったが



女性の見た目で優劣をつけるミスコン。

産地やサイズで競い合わせる

まるで家畜の品評会。

男性主義社会から生まれた

最悪の慣習だ。


だけど

ミスコン出場者も

それぞれに事情を抱えていた。



主催者は

ミスコンと政治は無関係と言うけれど

そもそも

政治的な抑圧を受けているからこそ

命懸けでこの場に立っている

出場者もいる。

僅かしかない未来への可能性に賭けて

出場者している女性もいる。

女性の品定めそのものに

不快感を持ちながら

この場に立つ出場者もいる。


当初は

出場者が白人女性だけだったため

主催者はリベラル紙の記者から

アパルトヘイトについて厳しく言及され

辻褄合わせで急遽

黒人女性の出場者を各国から呼び寄せた。


よって

母国では同じバスに乗ることすら

許されない白人と黒人が

ミス・ワールドの中でなら

笑顔で肩を抱き合う姿が

全世界に放映されるという

皮肉な事態に。


出身国や家柄など

本人が選ぶことが出来ないことで

生まれる格差。

それは出場者の中だけでなく

反対者の中にもあった。


出場者も反対者も

初めは相容れることが

出来なかったのだけど

ミス・ワールドをきっかけに

お互いを知っていく中で理解し合い

それぞれの進む方向を見つけていくのが

胸アツだった。



また

彼女たちよりも

上の世代の女性たちの

悲哀の描かれ方も良かった。


主催者の妻は

自ら男性主義社会に入り

染まっていくことで

自分の立場を確立してきた人で

男性たちに対し常に

私はあなた方の味方であると

暗にアピールし続けてきたが

結局男性たちは

彼女を仲間とは認めていなかった。


ミス・ワールドの司会を任された

ボブ・ホープは女性に対し

セクハラ的な言動が多かったが

この時代ではこういう男性ほど

視聴者から支持されていたのも事実。



彼の妻は社会的成功者の伴侶として

申し分のない裕福な暮らしをしていたが

若い女性にしか興味を持たない夫からは

放ったらかしにされ

寂しい思いをしていた。


サリーの母親は良妻賢母タイプ。

家事育児の役目は当然母親

という考え方だったから

サリーが家の事全てを

夫に任せていることに不満を持っていた。

家父長制が当たり前だった時代は

サリーの母親のような考えの人たちが

大多数だっただろう。



全ての女性が

何かしらの辛さを抱えている。

それらの辛さは

男性主義社会や

家父長制から生じる歪みが

根源にあるのだと思う。


若さや美しさだけを賛美するような

価値観に傾倒していけば

いずれ年を取って

若い頃のような美しさを

保てなくなった時に

その価値観に苦しめられることになる。

そんな価値観なんてクソくらえだ!


フェミニズムは

女性が生きやすい

世の中にしていくことだと

思っている人が多いけど

フェミニズムは

女性だけでなく

属性などに関係なく 

どんな人も生きやすい

世の中にしていこうという考え方だと

私は思っている。



時代と共に人々の意識は

確実に変わってきているとは思うけど

映画のラストに出てきた言葉同様

家父長制との闘いは

いまだ終わっていない。


いつの日か

「家父長制?古っ!ダサっ!」

と言われるような

世の中になればいいなと

私は心から願っている。



仕事終わり

一週間の中で

一番お客さんが少ないと言われている

月曜夜の映画館へ。

開場されても私以外誰も来なくて

貸切か?と思っていたら

時間ギリギリに入ってきた2名と私

3人での鑑賞となった。

なんとも贅沢なシチュエーション(笑)


本命はこの後の作品だったんで

空き時間にちょうどいいかなと

軽い気持ちで本作を選んだ。

それほど期待していなかったのが

結果的に良かったと言うと

語弊があるけど

思っていた以上に

硬派な印象が私好みだったな。


新しい職場になってから

レビュー書く時間がなかなかなくて。

そもそも映画館に全然行けてない💦

このレビューも書き上げるのが

遅くなってしまったけど

気になった方にはぜひ観て欲しいなニコニコ

映画館でまだ演ってるといいけど…