なあ、今日師匠の事務所行くからさあ一緒に行こうよ
上目遣いでカナタがこちらを覗き込むひまりがやったらかわいいのに、こいつがやるとムカつく
まあ暇だし行ってやってもいいもしかしたらひょんなことから俺にデザイナーになってくれ!なんて、お声がかかるかもしれないしね
カラスがゴミを漁ってるのを見て朝からほろ酔いのままカナタとふたりで追っかけた
カラスは少し離れた距離まで飛んだあと俺たちをゴミを見るような眼差しで睨んだ
おれは少し負けた気がして思わず目をそらした
「あーこれから寝ないでデザイン画だあ」
カナタは少し笑って早歩きで事務所に向かい始める
俺には理解ができなかった
朝まで働いてそこからひたすら机に向かって何が楽しいんだろう
こいつは昔からそうだ。
カナタと俺は中学生からずっと一緒だった
その時からテストで学年1位以外をとったことをみたことがない。
テニス部でも部長でありエース。常に動いていた。
そんな男だ、もちろんモテた。
一方俺は最下位にはならずいつも真ん中よりの下
バスケ部は先輩の暑苦しさについていけず、中1の夏に辞めた
当然のごとく女とは日直の時以外では会話などしたこともなかった。
絶対に交わることはなさそうなのに、何故かカナタはいつも俺の所に来ては俺の話を聞いてケラケラと笑っていた
俺がボーリングをやりはじめるとカナタも始めた
ダーツをやり始めるとカナタもはじめた
俺はなんでもうまくこなせるほうで、カナタはどちらかといえば不器用なほうだったと思う
それでもカナタは何時間でもやり続ける
俺より上手くなるまで一人でもやり続ける
俺はカナタが上手くなっていくのをみて、急いで辞めるんだ
最近飽きてきてやってねーやがお決まりのセリフだ
カナタはその度寂しそうな顔をした
その顔にさえ苛つきを覚えた
皆に憧れられてるお前が、俺に憧れている像があるから俺とゆう立場があるんだよ
それがなくなったら俺は、、、、、、
「次の駅で降りるぞ」
カナタに肩を叩かれて目を開ける。
「俺ずっとさ、師匠に会わせたかったんだよ親友を」
窓から差し込む光と屈託のないカナタの笑顔に心底吐き気がした。
そんな余裕な顔するなよ。
俺の才能を知ったらきっと師匠だってまあ見せないけどね。見せないよ。
だってカナタの師匠だからな。
「嬉しいよ、俺も親友の師匠に会えるの。」