何かに寄り添い、やがて命が終わるまで | それいけ!二代目スケチヨさん

それいけ!二代目スケチヨさん

新しい暮らしが始まります

道すがら、猫の姿を見かけると

 

あたかも人間の子どもにでも話しかけるみたく声をかけてしまう。

 

猫好きの人間ならさほど珍しくもなくやってしまう行動だろう。

 

 

アトリエの近所にガラガラ声で痩せっぽちのニャン太郎というのがいる。

 

名前はワシのつけた勝手な呼び名だ。

 

 

声をかけると必ず酷い声を鳴らしてギィヤーゴと返事をして駆け寄ってくる。

 

いっつも同じ一角にいるので、飼い猫なのかもしれないが、

 

毛並みを撫でると酷く痩せている。抱き上げると軽いので、

 

さもすると野良ではあるが、その一角にいると餌をもらえるもんだと中りをつけて

 

いつのまにか居座っているといったいきさつなのかは知らん。

 

 

個人的に野良ニャンコに餌付けするといった行動はあまり気乗りしない。

 

いやウソついた。言い方が適当ではない。

 

猫に限らず、動物に食べ物をあげて交友するのは正直、むちゃくちゃ好きだ。

 

でもニャンコに餌付けはマジでしたことない。

 

(以前ブログに書いた墓場に住んでる地域猫は別ね。

あの子らはとても安全に沢山のボランティアたちに手厚く可愛がられてるし、

そこで餌を期待して留まっていてくれても全くいいわけだし)

 

でも、そこらの住宅地では絶対やらないという事だ。

猫嫌いの人に迷惑がかかるからではない。

猫嫌いな奴がこうむる迷惑なんてたかが知れてるから、そこに気を回してなんかいない。

 

単に猫がかわいそうかなと思うから。

ずっとやりつづけるならまだしも、そんな責任は持てない。頼りにされるのも辛いから。

 

ニャン太郎にも、もちろんご飯はあげられない。

痩せっぽちやから何かイイ物をたまたま持ってたらあげちゃうかもしれんが、そのためだけに通い始めるとお互いに良くないので。

 

なのでカリカリひと粒すらあげたことがない。

それでも、ニャン太郎は話しかけるとちゃんと駆け寄ってくる。

 

今日は仕事から帰ったお昼過ぎ。

別に何かあげられるわけでもないから、声はかけずに通り過ぎようと思って、

いつも居る一角を見やれば、ニャン太郎の頭が見えた。

思わず小さな声で「あ!(・ワ・)」と漏れてしもた。

 

そんな声にまですぐに反応して嬉しそうに「ギィニャーア」とひと鳴きして、

テッテケテーと塀に沿って駆けて来た。

 

寒かろうにと、ゆっくり手袋のまま撫でたり、道の端の草を食んでる間にお尻をでんでん太鼓のように両側からポンポコ揺らしたりしてからかったりした。

ご機嫌そうにワシの足の周りをウロウロ、股をくぐったりしながら何やらギャーゴと鳴いていた。

 

そろそろにいちゃん帰るね。と言って聞かすと、いつもなら聞きわけよく奥まった住宅の方へ消えていくのに、今日はワシの押すチャリンコの横を忠犬のように早足でソソクサついてくる。

 

ニャン太郎の“一角”から歩いてみて、うちのアトリエの入口の小さな坂の登り口まで

それがたとえ猫の足でも、さほども距離がない。

迷子にもなりようのない距離なので「うちに来ちゃう?」等と、からかいつつ彼の好きにさせた。

 

そうしてると、今度は坂まで一緒に登り始めて、石段をトテトテと登り始めた。

舌の根も乾かぬうちにとはまさにこのことか、ダメダメ迷子になるよ!と諭し始める。

彼の小さなテリトリーで何度もコミュニケーションしてきたけど、

まさかまさかの行動だったのだ。

 

でもちょっと、このまま付いてきて、うちの庭にちょくちょく遊びにきたら可愛いのになどと

邪な気持ちも芽生え始め、

付いてこなくなると、立ち止まって振り返って待ってみたりした。

そしてついに、玄関先まで到着してしまった。

 

 

このあとちゃんと送ってあげればいいや、なんて。

あかんでしょーとか言いながらも、ニヤニヤ写真を撮ったりしていた。

 

一応、神に誓ってスケチヨさんは彼がここへ来るのにアシストしたり

呼び寄せてみたり、食べ物などでおびき寄せたりしてません。

ほんとに後ろを付いてきちゃっただけなのだ。

 

 

ひとしきり玄関をウロウロ。

 

お庭の方も興味津々。

 

で結局、石段の日当たりのいいところへ陣取って、ひなたぼっこを始めた。

 

ほれニャン太郎、写真とろ、写真。

 

ニャンたろってば ホレ

 

ニャニ(何)よ? ニャンニャン(何々)よ?

 

 

 

でね、ここで話は急転するんやけどさ、

 

ニャン太郎の様子が変なんよ。

 

急に眼をひんむいて、何かを警戒しはじめた。

 

 

 

ここらへんは野鳥がすごくて、今は特に百舌だろうか何だろうかがギチギチとうるさい。

それ以外にも色んな鳴き声がこだまするものの、全部百舌の鳴き真似なのか知らん。

 

でも、実際に色んな大きさの鳥の姿を見かけたりもするし、

そのうちバードウォッチングなんて始めそうなくらいには興味をそそられてはいる。

 

 

ニャン太郎や、あれはね、鳥さんやで。

ここいらで獲ったりしちゃいけないよ。

 

ダメだ。

もうさっきまでの人懐っこいニャン太郎の眼光じゃない。

 

完全にハンティングモード。。。?

 

ハンティングって感じでもないな。

 

軽い警戒モード?

 

 

しょーがないなーもう

スケチヨさん立ち上がって、ニャン太郎の見ている藪の方へ回っていってあげて、

 

 

 

ホレみてみ、ニャン太よ、なあ~んもおらへんガナ( ◠‿◠)

 

 

 

なあ?みてみ、なあ~~~んもおらへんガサ( ◠‿◠)

 

 

 

 

( ◠‿◠)

 

 

 

 

 

 

 

 

ガサ?( ◠‿◠)

 

 

 

 

 

 

 

 

ガサガサガサ!

 

 

 

 

 

ガサガサガサ!!!?( ◠‿◠)

 

 

 

 

 

思わずワシの黒目も、ニャン太郎と揃えに縦に長く伸びた。

 

いつもの人懐っこいスケチヨさんは、そこにいなかった。

 

 

その時スケチヨさんは寄生獣・島田のような目をしていたに違いない。

 

 

五感を総動員し、音の発生源をサーチする。

 

 

まず咄嗟に浮かんだ正体は、人間。

 

 

隣のおばさんか。

 

何度か挨拶はしているが、、、

 

猫と普通に会話する私のイタイ能力を聞かれてしまっていたのだとすれば、、

 

気は進まないが仕方ない口止めの為に殺るしかない。。。。。

 

今はあまり食欲はないのだが。。。と島田は思った。

 

 

 

ガサガサガサ、、、、

 

 

だが人影はない。

草を揺らす音は大きく、

地面を這うほどの高さが揺れて移動してる。

 

鳥じゃないな。

 

 

 

 

ガササ・・・・・

 

そのまま裏山の方へあがっていく。


 

「ああ!!!

 

判った!!!」

 

ここで一気に緊張感が途切れた。

 

 

 

(絶対そうや!!!!)

 

 

私は思わず声に出した。

 

 

 

 

「ハクビシンやろ(゜ワ゜)!!!!!」

 

 

 

声に驚いたからなのか、

生物名を言い当てられたから思わずなのか、

犯人の動きが止まった。

 

思うや否やすぐに、生い茂る草の中から覗く泥棒ヅラにフォーカス出来た!

 

 

出!!た!! これが噂のハ・ク・ビ・シ・ン!

 

※ハクビシンでピンとこない人はもう、タヌキを思い浮かべればいいよ!

 

 

アトリエ仲間からは聞かされていたが、

スケチヨさんははじめましてピンクハートだったのだ!

 

 

思わず数歩駆け寄り、

声を小さく抑えながらも

呼びかけるようなウィスパーボイスで叫んだ。

 

「ハクちゃん!!(人´∀`*)」

 

 

ハクビシンからしてみれば

 

これまた随分と馴れ馴れしいオッサンだと思う。

 

だが頭で考えるより先に、即座に呼び名が口をついて出た。

 

 

 

ハクビシン、キョトーン。。。としている。

 

 

私はもうディズニーランドで着ぐるみに遭遇した女子のようなテンションである。

「ハクちゃんてばー!!(人´∀`*)」←アホみたいな喋り方

まあ、ちなみにディズニーには一回も行ったことないねんけどな

 

 

ハクビシン、キョトーン。。。としてる。

その距離、高低差はあるが、わずか3mほど!

 

 

タヌキそっくりの目の周りの黒い模様が愛らしく、

都会じゃ害獣扱いの駆除対象だなんて信じたくもない。

 

 

そう、餌付けはいけない。ぜったいにいけない。

 

 

 

しかしである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハクちゃんと友達になりたーーーーーーい!!(人´∀`*)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハクちゃんは終始キョトーンである。

 

 

キョトーンではあるが、逃げない。

 

 

ハクビシンは、にげずにようすをみている!

 

 

 

 

こいつアホやわ、と思ってるような顔つきではあったがな。

 

 

 

あ!

 

ちょっと待って!

ちょっと待っててね!ね!

ハクちゃん!!(人´∀`*)←アホの喋り方

 

 

いつだったか皆で買った一山ナンボのみかんでムッチャ不味かったのがあって、

ラストの一個を長らく誰も手をつけず残ってるのを思い出した!

 

どうせ誰も食べないんだもの、

ならちょっと玄関先に落っことしたりしてても、仕方ないやん?

 

あ!!その前に!!

 

 

何か忘れてる!!

 

そのままゆっくり、振り返るのさスケチヨ!

 

 

 

 

 

 

 

ニャン太郎忘れてたwwwww!まじごめん!!

 

みんなも一瞬忘れてなかったか!??

 

なんていうかホラ、コンパでもあとから来た子の方が注目をかっさらう的なさ。

 

 

 

まあ、ハクビシンが猫を襲うかはいざ知らず、

おまえの安全確保が先やわー!

 

というわけで、赤ちゃんでもあやすように抱っこして、

ニャン太郎の陣地までちゃんと送ってあげるのだった。

 

 

そして送ってあげるその途中で、

帰宅するアトリエのCくん(動物嫌い)と遭遇。

 

マズイ・・・ 

ちょっと気持ちニャン太郎をかばう感じに斜(はす)になりて行き過ぎよう。

 

Cくん、見知らぬ猫を抱えて坂を下りてくスケチヨさんを

 

一旦華麗にスル~しといて  から~の~  後ろからの~

 

 

 

「誰とどこいくねーーーん!!!!」

 

 

 

 

「んとね(-_-;)この子がね勝手にね付いてきてん、ほやから今からこの子のうちっていうかー、いつもおる場所があって、そこにな運ぶねんヽ(・ ・)ノ」←アホの喋り方

 

そしてニャン太郎を届けてすぐ踵を返し!

走ってCくんを追い越し!!

アトリエ玄関口まで戻る!!

 

だって!!

 

だって!!

 

 

あかんやん!!

 

 

がさつなCくんが音立てて帰ってきたら!!

 

 

せっかくあんなに近くで見つめ合ってたのに!!!

 

 

ハクちゃんが!!!

 

 

ハクちゃんに!!ぜんぶ誤解されちゃうよ!!!

 

 

 

なんとか先に玄関先に到着!!

 

 

ああ!!

 

ハクちゃんてば( ✧Д✧)!!!

 

 

偶然落ちてたみかんを嗅ぎに、

 

そ、そこまで降りてきてるーーーうん!!!

 

 

 

写真や!おさめな!

 

もうこうしてブログに挙げる構想すら浮かべてたもの!

 

 

写真がなければ!証拠がなければ!!

 

 

ハクちゃんそのままそのまま!そこでそのまま!( ´∀`*)えへへ

 

 

と、ここで後ろからLINEの例の着信音

 

 

 

Cの電話やな・・。

 

 

「おーもしもし!」

 

 

チッ!アホが!声でかいねん!

ハクちゃんが怖がるやろ!!!

 

 

「ヒャーーヒャッヒャヒャ!!」

 

 

やめろや!!せっかくハクちゃんがーーーー   あ

 

 

 

ガサッ ガサササ。。。

 

 

 

 

 

(  Д )

 

 

 

 

 

せっかく

 

 

 

 

せっ     かく、、、、

 

 

 

せっ      かくここまで上手くやってたのに、、、、

 

 

 

しゃしんも撮ってないよ?

 

 

どうすんの?

 

 

 

 

 

 

 

・・・どうしてくれよう

 

 

この感じ・・・