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内陸開発途上国ラオスでの外資企業による工場建設が増えている。

その現在の経済成長率は、8%前後と中国に匹敵するほど高い伸びである。この成長率は主に菌や銅などの地下鉱物資源の採掘拡大によって牽引されている。また、採掘業以外にも、タイ向けの電力輸出を目的とするラオス国内の水力発電や、欧州向け縫製品の輸出の拡大などが見られる。

さらに2003年以降には世界遺産のルアンパバンや手つかずの自然、安価な物価などにより、欧米人旅行者が急増し、観光業が大きく発展してきている。

ラオスは内陸国であり、近隣国との交通インフラの整備もイマイチであったため、地政学的には重要な交通拠点であったにもかかわらず、タイやベトナムなどの経済発展をよそに取り残されてきた感があった。

しかし、近年 日本や韓国、中国、アジア開発銀行などの支援のもと、ラオスと近隣国をつなぐ交通インフラが整備されてきた。これによってラオスへの投資が増えてきているのだ。

その一方で大きなリスクも存在する。

ラオスでは、経済活動において米ドルやタイバーツが広汎に使用されおり、いわゆる「ドル化」の傾向が顕著である。

日用品の大半がタイからの輸入品であるため、消費財を買うときにドルかバーツで求められることも多いのだ。

経済のドル化こそがラオスの金融システムにとって大きなリスクともなるものだ。
ラオスの外貨準備は非常に低水準であり、銀行の保有するドル資産も少ない。このためドル預金の引き出しが急に増えたときに銀行が破綻してしまう可能性がある。

また「ドル化」が進んだ状態では、中央銀行が本来持つべき「最後の貸し手機能」を大幅に制限されてしまうのだ。

そうはいってもラオスへの投資にはメリットとそうせざるおえない理由も複数存在する。

1.タイやカンボジアでの人件費が高騰し、採算が取れなくなっていること
2.ベトナムやカンボジアへの工場進出がすでに過剰気味であること
3.政治・経済が安定していること
4.タイ語とラオス語に方言程度の違いしかなく、タイで育った人材をそのまま使えること

などである。

近年タイで最低賃金の大幅な値上げが政策として進められたために賃金が高騰し採算が取れなくなっている。加えて大洪水の発生や反政府デモの激化など、様々なリスク要因が顕在化してきているのだ。

さらに付け加えると、ラオス進出のメリットとしては近隣諸国よりも安定的な電力供給の実現とその価格の低さがある。

一方で企業側からは、ラオスはタイやベトナムには及ばないのではないかと危惧する声もある。例えば識字率を見ても、タイ・カンボジア・ミャンマーなどに比べて10%以上低くなっている。さらにのんびりとした国民性から労働生産性の低さを指摘する声もある。

そのため、現在の日系企業の対ラオス投資に多く見られる特徴は、その主目的がタイの生産工場の一部移管であり、あくまでタイ・プラス・ワンとしてラオスを位置づけている点である。

ラオスは人口も650万人と少ないため、その10倍の人口を擁するタイやミャンマーほどの生産拠点になれる可能性は低い。今後もラオスの製造業の基本的性格はタイの生産活動を補填するというものになるだろう。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 参照