ブラームスのかの有名なピアノ5重奏。
実は一番最初に2台のピアノのためのソナタとして書かれています。その後、弦楽5重奏となり(弦楽四重プラスもう一本チェロ)そして、現在良く知られているピアノ5重奏の形となったようですが、クララ・シューマンは「交響曲にするべき!」と言っていたそうです。
この曲の3楽章(大きなフーガがあります!) は今年のスカぴあで、スカぴあリーダーの宮川久美さんと小泉くんが演奏してくれました。手に汗を握る盛り上がりようでしたね。

今日は、珍しくも1860年代のブーゼンドルファー2台でこのソナタを聴いてきました。私がライス大学で師事しているBrian Connelly教授は古楽器の専門家でも在り、現代曲の専門家でもある、凄いピアニストなのですが、彼がやっているContextと言うコンサート・シリーズは作曲された時代の楽器で曲を再現する、と言うシリーズです。そこで今日はシューマンの2台のピアノとホルンと2台のチェロのためのアンダンテと、ホルン「アダージオとアレグロ」そしてこのソナタを聴きました。ホルンはもちろん、バルブの付いていないナチュラル・ホルン。チェロもガット弦を使っています。

1860年代のブーゼンドルファーは確かに全体的に音量は現代のピアノよりも低いのですが、アタックが少ない分、特い低音の響きが結構長く続き、共鳴も素晴らしく、現代のピアノには無い独特の音世界を持っています。調律に少し違和感を感じたりしますが、管楽器や弦楽器とのなじみあいは素晴らしい!溶けるように他の楽器と交じり合います。そして音量が少ない分、むしろこちらがその音世界に引き込まれていく感じ。2台のピアノの時はさすがに音の歯切れのよさなどで、スタインウェイにはちょっとやはり負けるな~と言う感はぬぐえませんでしたが、でもこの楽器でブラームスやクララは自分の音楽と言うものを発展させていったんだと考えると感動しました。

新鮮なコンサートでした。開眼!