スカぴあメンバーの平田真希子です。

今日、9月16日(日)の午後3時から、私は博士課程在校中であるライス大学のダンカン・リサイタルホールにて、この夏日本で弾いた「音で描く絵」を披露します。今年生誕150周年のフランス印象派の作曲家、クローデ・ドビュッシーのその絵画的な作品の中でも特にイメージ的要素の強い作品を年代順に並べて、アラベスク、月の光、喜びの島、グラデュス・アド・パルナッスム博士、ゴリウォーグのケークウォーク、ミンストレル、亜麻色の髪の少女、そして最後に沈める寺と進み、これらを後半で弾くムソルグスキーの「展覧会の絵」のオリジナルピアノ版と比較検討いただこうという独奏会です。

ムソルグスキーとドビュッシーの相似点と言うのは多いです。
―それまでの西洋音楽の常識(主にドイツ主流)から逸脱し、自分の国のアイデンティティーと言うものを追及しようと努力した。
―同世代の詩人、画家、物書き、など他の分野の芸術家や思想家との交流があり、それに自分の作品を多く影響された。
ー東洋を始めとする異文化的なものへの憧れが強かった。
―それまでの音楽の常識的なルールを打ち破り、方はずれな書法を模索した。
など、など。

しかし、このプログラムをこうして多く演奏する機会を得て、見えてきた相違点というのも在ります。ムソルグスキーは「死」とか「妖怪」などと言ったイメージを結構好むのですが、ドビュッシーにはこれは皆無と言っても良い。そして逆にドビュッシーに溢れるほど在る「官能性」「色気」と言ったものがムソルグスキーには驚くほど少ないのです。

ドビュッシーが自分のインスピレーションとして数えたムソルグスキー。このプログラム、今年は10回近く演奏する機会に恵まれましたが、多分今日を最後にしばらくお別れでしょう。大事に、大事にもう一度弾いて、和み惜しもうと思います。