スカぴあメンバーの高橋希代子です。

7/21(土)14:30~ クラシックピアノ音楽祭「スカぴあ 2012」。

開催まであと3週間となりました。


ラジオ放送「スカッとスカぴあ」(FMブルー湘南 78.5MHz)では、各ピアニストが、自分の演奏する曲をご紹介中です。

インターネット放送もしておりますので、ぜひ聞いて下さいね。




私が演奏するのは、2曲です。

「水の反映」と、「金魚の魚」。
何だかイメージがわきやすいタイトルですね。

ドビュッシーの曲って、「月の光」とか、わかりやすいタイトルが多いんですが、
ただ描写するだけではなくて、もう一歩踏み込んで、
それを見た感情まで、表現しようとしています。

「月の光」も、「月の光がキレイだな」だけでなく、
月の光を浴びて、自分の気持ちがどう変化したか、というところまで、音にしようとするんですね。

優しい気持ちになるかもしれないし、
悲しい気持ちになる人だって、いるかもしれません。
周りの暗闇が、すごく怖くなるかもしれません。

タイトルから映像をイメージ。
自分の気持ちが、どう反応するかをイメージ。
そして、「じゃあ、、ドビュッシーはどう感じたの?」って思って聴くと、
ドビュッシーの音楽の面白さに、ハマれると思います。

1曲目の「水の反映」は、
「反映」というとおり、水そのものよりも、水面に「映っているもの」に、焦点を当てています。
木々の緑、風、もしかしたら自分の姿かもしれません。
その映像が、刻々と変化していく曲です。


2曲目の「金色の魚」は、
間違えて「金魚」と訳されてしまうことがあるのですが、
赤い金魚ではなくて、「金魚の魚」です。

ドビュッシーがコレクションしていた日本の工芸品に、黒い漆の地に、金色で錦鯉が描かれた絵がありました。
その絵を見ているうちに、ドビュッシーの頭の中で、金色の鯉が自由自在に泳ぎだしまして、
この曲が出来たのだそうです。



スカぴあのステージでは、ドビュッシーの人生を交えて、さらに楽しくお伝えしますよ~。


さて、この曲を弾く時のポイント、難しいところはですね、
「黒い鍵盤の攻略」です。

黒い鍵盤って、1cmくらい高くなっていますよね。
長い指(人差指・中指・薬指)を黒い鍵盤、
短い指(親指と小指)を、白い鍵盤に置いているところを、イメージして下さい。
このポジションが、手にとっては、一番自然なフォームです。
なので、「黒い鍵盤率」が半分ちょっとくらいの曲は、手が安定して弾きやすいんです。

ところが、親指も黒い鍵盤に置くとなると、手全体を少し浮かせなければいけないので、
急に弾きにくくなります。
「水の反映」と「金色の魚」は、2曲とも「黒い鍵盤率」80%近く。
手全体が浮いた感じになるので、弾いていても、現実離れした雰囲気になってくるんですね。
これは、鍵盤楽器特有の感覚で、他の楽器にはない感覚だと思います。

ためしに、鍵盤1個分ずらして、「白い鍵盤率」80%にして弾いてみると、
とたんに、落ち着いた雰囲気に変わってしまうんですよ。


この曲を弾き始めるとき、手の高さを微調整するのに、ちょっと緊張します。
ステージでのそんな一瞬も、お楽しみいただけたらな、と思います。
ドビュッシーが描いた世界に浸っていただけるよう、がんばります!

高橋希代子